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    愛と平和が好き。只今ブレトワ推し。二次創作の小説を書きます。

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    ブレ→一人称はおれ。トワのことを、リンク、と呼ぶ。十七才。

    トワ→一人称はオレ。ブレのことを、リンク君、と呼ぶ。十六才。性格は温和。天気病という病を患っている。


    天気病→湿度や気圧によって身体に影響を受ける病気。身体と同じほど、精神にも揺らぎをきたす病。


    舞台はトワの方のハイラルです。

    #ブレトワ
    bretwa

    花かんむり麗らかな日和。小さな花が咲く樹の下で野原に群生する白い花々が風に揺れる姿を眺めた。
    おれ達が暮らす村の外にあるちょっとした野原に、ピクニックと称してリンクとふたり、やって来ていた。今は平和なこのハイラルでこうしてふたりで過ごすのはおれの夢でもあった。
    籠に入れて持ってきたサンドイッチとリンゴジュースをのんびり飲食しながらのどかな景色を心ゆくまで楽しむ。小鳥がどこかでさえすり、風が草木を撫でる音が耳を癒してゆく。
    陽光はあたたかいが風は少し肌寒く、体調が万全でないリンクは肩にショールをかけて景色を眺めていた。
    「あの花」
    静かにリンクが言った。
    「故郷の森にも咲いてた。なんだか懐かしい」
    おれは口に入れていたサンドイッチの欠片を飲み込んで、手についた屑をパンパンとはたくと、しばしその群生した白い花々を見つめた。
    花と草の香りを乗せた風がふわりとおれ達を包んで吹き抜ける。
    そこでおれは思い立って、丈の短い草から立ち上がると、隣に座るリンクの身体を両腕で抱え込んだ。彼の肩の後ろと両膝の裏に腕を回して横抱きにして立ち上がる。リンクが急なことに驚いて、バランスを取るためにおれの首に腕を回した。
    所謂お姫様抱っこをしたまま、花の群生地中央にやって来て膝を折った。リンクを抱え、おれの腿の上に降ろしてやりながら、
    「はいお姫様、到着しましたよ」
    と言うと、リンクはクスッと笑った。
    おれは一輪のその白い花を摘み取り、リンクの耳の上辺りに挿してあげた。リンクは目をぱちぱちさせておれを見る。
    「へへ、かわいいよリンク」
    おれがにこっと笑いかけると、リンクはもう一度青いキレイな瞳を瞬かせて頰を仄かに赤く染めてはにかんだ。
    見つめ合っていると、リンクは照れからかやがて視線を花の方へ向けた。
    「…そうだ」
    リンクは言って、おれの首から腕を離して、白い花々の茎を長く残して摘み取った。花と花を組み込みもう一輪花を取ってまた組み込む。そうやって何本もの花を次々に組んでいき、最後には輪にして、リンクはそれを大事そうに両手に掲げておれの方に向いた。
    「はい、リンク君」
    出来上がった花の輪をおれの頭に乗せた。おれはきょとんとして彼を見た。花かんむり、と言って彼はおれの冠を被った全貌を認めて、それから春の風のように爽やかに、そして愛らしく声を出して笑った。
    おれの感情が動いて、自分の瞳が煌めくのが分かった。
    あたたかな陽光のもと彼もまたキラキラと輝いて、幸せそうに笑っているその姿に、たまらなく愛おしさが込み上げた。
    腿に座らせたままのリンクを抱き寄せてぎゅうっと力一杯抱き締めた。彼から花の香りがした。彼という存在が愛しくて愛しくて、おれはそのまましばらく彼を、白い花達に囲まれながら抱き締め続けた。
    やがて身体を離し、片耳の上に白い花を咲かせたリンクを見つめた。
    「結婚するならこんな花が咲いた場所で式を挙げたいね」
    唐突におれが言うと、リンクは少し驚いてみせて、それからまたなんともキレイに微笑んでくれた。野原の緑を背景に、「うん」と言って頷く彼そのものが、そこに咲く花のように映った。
    「リンク!」
    かわいくて、キレイで、愛しくて。おれはたまらなくなって彼にその場で飛びついて押し倒した。その勢いで周囲の花から花びらが舞い上がり、おれの頭上で花かんむりがふわりと浮き上がった。
    「あははははっ!」
    おれが笑い声を上げて手をついて、押し倒したリンクを見ると、彼は驚いた様子で白い花に囲まれて、さながら花になってしまったように見えた。
    「リンク大好き!キレイだよ」
    彼の耳上に挿した花を撫でてその手で彼の頰をひと撫でした。くすぐったそうに目を伏せ睫毛を震わせて、その瞼がパッと開いて美しすぎる青色が次の瞬間おれの目を捉えた。草の緑の上に彼の髪の金色、瞳の青色、そして花の白色がキャンバスに塗られた色彩のごとく展開した。目を奪われる光景だった。花に倣って彼があまりにも清純に見えるから、奪ってしまうのが惜しくて、彼の唇を外れてその横にちゅっとそっとキスをした。花の蜜のような甘い味がするようだった。
    「いつか絶対結婚しようね」
    顔を至近距離に詰めてそう告白した。穏やかな気候と花々の祝福がそれを後押しする。緑のキャンバスに仄かな紅色を添えたリンクが、一段と幸せそうな表情をして頷いておれに微笑みかけてくれたのだった。
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    エンジェライト

    PASTトワが嫉妬に似た気持ちに戸惑うお話。

    ブレ→一人称はおれ。トワのことを、リンク、と呼ぶ。十七才。

    トワ→一人称はオレ。ブレのことを、リンク君、と呼ぶ。十六才。性格は温和。天気病という病を患っている。


    天気病→湿度や気圧によって身体に影響を受ける病気。身体と同じほど、精神にも揺らぎをきたす病。

    舞台はトワの方のハイラルです。
    白い花眠っていた。夢を見ていた。
    大切で大好きな人が、見知らぬ誰かと連れ立っていく姿を見る。なんてことのない風景とばかり思っていたのに、夢の中でオレは、息が苦しくなるほど胸が痛かった。嫉妬したことはなかったのに、一体。この感情は―。


    目覚めて、目尻に涙が溜まっていることに気付く。オレは悲しかったのか。よく分からない心境のまま隣を見ると、いつも隣に眠る彼はもう任務に出掛けてそこにはいなかった。それが、夢の中の光景に重なって、無性に悲しさを煽った。

    嫉妬。いや、なんだか微妙に異なる気もする。オレはいつも、例え怒り等を感じたとして、それが通り越して悲しみに直結しやすい質だ。だから多分、あの光景を見てなにかを感じて、またそうして通り越して悲しくなって涙が出たに違いない。
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    PASTブレ→一人称はおれ。トワのことを、リンク、と呼ぶ。十七才。

    トワ→一人称はオレ。ブレのことを、リンク君、と呼ぶ。十六才。性格は温和。天気病という病を患っている。


    天気病→湿度や気圧によって身体に影響を受ける病気。身体と同じほど、精神にも揺らぎをきたす病。


    舞台はトワの方のハイラルです。
    花かんむり麗らかな日和。小さな花が咲く樹の下で野原に群生する白い花々が風に揺れる姿を眺めた。
    おれ達が暮らす村の外にあるちょっとした野原に、ピクニックと称してリンクとふたり、やって来ていた。今は平和なこのハイラルでこうしてふたりで過ごすのはおれの夢でもあった。
    籠に入れて持ってきたサンドイッチとリンゴジュースをのんびり飲食しながらのどかな景色を心ゆくまで楽しむ。小鳥がどこかでさえすり、風が草木を撫でる音が耳を癒してゆく。
    陽光はあたたかいが風は少し肌寒く、体調が万全でないリンクは肩にショールをかけて景色を眺めていた。
    「あの花」
    静かにリンクが言った。
    「故郷の森にも咲いてた。なんだか懐かしい」
    おれは口に入れていたサンドイッチの欠片を飲み込んで、手についた屑をパンパンとはたくと、しばしその群生した白い花々を見つめた。
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    天気病→湿度や気圧によって身体に影響を受ける病気。身体と同じほど、精神にも揺らぎをきたす病。


    舞台はトワの方のハイラルです。
    花かんむり麗らかな日和。小さな花が咲く樹の下で野原に群生する白い花々が風に揺れる姿を眺めた。
    おれ達が暮らす村の外にあるちょっとした野原に、ピクニックと称してリンクとふたり、やって来ていた。今は平和なこのハイラルでこうしてふたりで過ごすのはおれの夢でもあった。
    籠に入れて持ってきたサンドイッチとリンゴジュースをのんびり飲食しながらのどかな景色を心ゆくまで楽しむ。小鳥がどこかでさえすり、風が草木を撫でる音が耳を癒してゆく。
    陽光はあたたかいが風は少し肌寒く、体調が万全でないリンクは肩にショールをかけて景色を眺めていた。
    「あの花」
    静かにリンクが言った。
    「故郷の森にも咲いてた。なんだか懐かしい」
    おれは口に入れていたサンドイッチの欠片を飲み込んで、手についた屑をパンパンとはたくと、しばしその群生した白い花々を見つめた。
    1807

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    ブレ→一人称はおれ。トワのことを、リンク、と呼ぶ。十七才。

    トワ→一人称はオレ。ブレのことを、リンク君、と呼ぶ。十六才。性格は温和。天気病という病を患っている。


    天気病→湿度や気圧によって身体に影響を受ける病気。身体と同じほど、精神にも揺らぎをきたす病。

    舞台はトワの方のハイラルです。
    白い花眠っていた。夢を見ていた。
    大切で大好きな人が、見知らぬ誰かと連れ立っていく姿を見る。なんてことのない風景とばかり思っていたのに、夢の中でオレは、息が苦しくなるほど胸が痛かった。嫉妬したことはなかったのに、一体。この感情は―。


    目覚めて、目尻に涙が溜まっていることに気付く。オレは悲しかったのか。よく分からない心境のまま隣を見ると、いつも隣に眠る彼はもう任務に出掛けてそこにはいなかった。それが、夢の中の光景に重なって、無性に悲しさを煽った。

    嫉妬。いや、なんだか微妙に異なる気もする。オレはいつも、例え怒り等を感じたとして、それが通り越して悲しみに直結しやすい質だ。だから多分、あの光景を見てなにかを感じて、またそうして通り越して悲しくなって涙が出たに違いない。
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