自覚無自覚ある日のメメントス
珍しく自ら顕現したヤノシークがきょろりと辺りを見回す。
何か探しているのだろうか…。
「今日はあの男は居ないのか」
「あの男?」
今日は浅い階層だから自分だけで潜入したが、探索メンバーに良く入る男性といえば、ソイか、リオンか、キー…あとは…
「お前が恋慕しているあのジョーカーという男だが」
「っゲホッゴホッ!」
パーティを編成する際必ずメンバーに入ってもらうせいでつい選択肢から抜け落ちた名前を撃ち出され、死角からの被弾に過去類を見ないほど噎せ混んでしまった。
銃撃属性はやはり伊達にならない…というか、今、恋慕、と言ったか?
「れ、恋慕とか、そういうんじゃないよ…憧れ…っていうか、その」
言い淀む自分に、ヤノシークはからかうように顔を覗き込んでくる。絶対に楽しんでるな、こいつ。
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