雨の日の缶詰 雨、雨、雨……。梅雨の宣言が出てから二週間あまり連日の雨、しかも窓の外は叩きつけるような大雨だった。雨は嫌いだとドラルクは言う。故郷の冷たい雨とは違って日本の梅雨はじめじめと不快感を感じる、それにこの退屈さにいい加減死にそうになってる。百年ほど前、日本にやって来たばかりの時はこの梅雨と言う季節についていつも文句ばかり言っていた。でもそれも数年経った時には慣れた。たった一月我慢すればいいだけだから。年月の流れも瞬く間のはずだったのに。この三十年は違う。まるでゆっくり時間が進んでいく。人間の世界に馴染んでいくと時間の感覚まで似てくるのかもしれない。
しかし……
「退屈で死にそうだ」
そう呟くドラルクの身体の一部は本当に砂になっている。スマホの天気予報アプリを見ると見事に今週はずっと雨。しかも今日は記録的大雨で外になんか出れる状態じゃない。
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