ある「元」光の戦士の6.02その4 ペンダント居住館の前を通りかかったエルフは、甘い香りに誘われた。窓の空いている一室からハーコットの香りが流れ出ている。
そういえば最近甘味を食べていない。
元より香りの強いハーコットが目立つが、他にも果物を使っているように気がする。それなりの手間をかけて作られているのかもしれない。
あの部屋の住人は何か祝いごとでもあったのだろうか。
「ご所望の品です」
うやうやしい態度で妖精王に器をお届けする。
「くるしゅうないのだわ」
器には果物を煮詰めてゼラチンで固めた涼菓、ハーコットゼリーが盛り付けられている。
「ふーん」
と、ゼリーの周りを飛びながら観察するフェオに、フィーネは謝罪する。
「お茶かけちゃったのごめんよ!!」
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