レオセイ「ビクトリーレオ」
スターセイバーがそう呼び止めると、ゆっくり振り向いた。
「なにか?」
重々しく鋭い雰囲気に押され、スターセイバーは一瞬言葉に詰まる。しかしすぐに気を取り直し、話を続けた。
「……ビクトリーレオ、きみのことはよく知っているつもりだ。いや、知らなければならないん立場にあるからね。きみのこれまでの行動も評価しているし、その能力にも信頼を置いている」
「ありがとうございます」
「だが、一つだけわからないことがある。なぜあの時、あんなことをしたのか? きみほどの戦士なら、たとえどんな状況でもああいうことは避けるべきだったはずだ」
「…………」
「きみの行動には不可解な点が多い。だから知りたい。あれはどういう意味なのか?」
ビクトリーレオは無表情のまましばらく沈黙していたが、やがて静かに口を開いた。
「あなたを愛しているからだと思います」
「えっ!?それは、どういう……」
スターセイバーは意表を突かれて思わず聞き返した。
「俺は、あなたの命令なら何でもするつもりです。それが自分の命を捨てることであってもです。それはただの忠誠心じゃなく、もっと個人的な感情に基づいたものさ。俺はあんたを愛している」
一瞬ゴッドジンライの姿と重なり、スターセイバーは絶句して立ちすくんだ。目の前に立つ巨大な獅子の姿を凝視する。
「私は―――」
答えようとしたが声が出なかった。何か言わなくてはという焦りだけが空回りする。
「今のは忘れてくれていいですよ」
そう言うと、ビクトリーレオは再び背を向けた。歩き去っていく後ろ姿を呆然と見送る。
「愛している……」
ようやく我に返ると、スターセイバーはつぶやくように繰り返していた。
***
その夜遅く、ブラッカーのもとに一通の報告が届いた。
報告者はデストロン基地に潜入してきた一人の男である。