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    遥かなるカルディア第3話

    第3話 約束書庫に戻った2人は、それぞれ別行動をした。アイビーは、センに会ったと報告をする為にラルに会いに行き、バベナは、疲れたので書庫の禁書エリアに戻るなり、ハンモックの上ですぅすぅと寝息を立てていた。
    アイビーは、禁書エリアにあったソファーに腰掛けていたラルに近づいた。すると、気配に気付いたのかラルはゆっくりと顔を上げアイビーを見る。

    「ただいま戻りましたわ、ラルちゃん。」
    「おかえり、捨て地はどうだった?」
    「相も変わらず…な感じでした。そうそう、あと、あなたのお姉さん、センちゃんにお会いしましたよ。」
    「………ふーん、あいつにあったのか。ま、どうでもいいな。」
    「ふふ、あなたの事は会えて聞きませんでした。どうやら今は、大切な親友をお探しになられているみたいですよ。貴方よりも大切な親友を。」
    「ふん、あいつのことだから、どうせあたしのことは死んだって思ってんだろうさ。ていうかアイビー、私は興味無いって言ったんだが。」
    「あら、あなた自分の癖、お気づきになられてないの?あなたは、「へぇ、面白そうだな」って言う時は対して興味もなくて、「ふーん、興味無い」って言った時はすごく興味があるのですよ?」
    「…。そう、か?アイビーは本当に人のことよく見てるよなぁ。気持ち悪いほど」
    「あらぁ、褒めても何も出ませんよ♡」
    「(褒めてねぇ…。)んで、あいつを迎え入れる準備は出来てんのか?」
    「あぁそれでしたら何時でも、万事整っております。」
    「そうかい、じゃああいつが来たら…作戦道理に。」
    「かしこまりましたわ」


    -6ヶ月前-
    アイビーが書庫の禁書エリアで何やら楽しげにしている姿を見たラルは彼女の後ろから声をかけた。

    「面白そうじゃねぇか。なぁ、仲間はずれは良くないぜ?、あたしも仲間に入れとくれよ。」

    そう言って方に手を回した。アイビーはとても驚いていた。可愛い顔するんだな。

    「もう、ラルちゃんびっくりさせないでくださいな。」

    「はははすまんすまん、それで?何をそんなに楽しげに笑ってたんだ?ん?」


    アイビーとは4年ほど前からの付き合いで、封印されていたあたしを見つけて解放してくれた。私の唯一の友人で、私の事を理解してくれている。もちろんあたしもアイビーを理解しているつもりだ。アイビーについて分からないことがあれば聞けばこいつは素直に答えてくれる。優しいヤツだ。

    「この禁書に記載されていた星の子を『練り返す』やり方。面白そうじゃありませんか?」
    「星の子を練り返す?」
    「えぇ、なんでも星の子の中にある光のコアを弄ることにより、性格はおろか、人格も全て変わってしまうようですよ?」
    「…ふーん?性格が変わる…ねぇ?」
    「これを使って、あなたの生き別れたお姉様探しをすれば、見つかるかもしれませんよ?正義感強かったのでしょう?」
    「……あいつは、確かに正義感が強かった。悪いことは許さない感じだった。それは今でも変わってないだろうけど、今までも、散々悪い事をしてきた。悪とされるものは全てやってきた。だけど、あいつはついぞ来なかった。あたしは封印されたし。」
    「……もう一度。」
    「え?」
    「もう一度だけ、悪役を買って下さりませんか?私もあなたと一緒に悪役を演じますから。1人で出来なかったのなら、私と一緒にやりましょう?」
    「…………。良いのか?もう、元の『白い』アイビーでは居られなくなるんだぞ。」
    「ふふふ、大丈夫です、あなたと一緒なら傷物になったって。」
    「…後悔しても知らないからな。あたしは…。わたしは止めたからな。」
    「えぇ、大丈夫。相変わらず優しいですわね。ラルちゃんは。」

    そう言って2人で交した『契約』。
    センに会えるまで悪役として演じる事。
    センを誘い出すまで悪役を演じる事を、2人で約束した。
    アイビーは、センも弄ってみたいと言っていた。私も弄られたセンを見てみたかったから快諾した。アイビーに弄られたセンは、一体、どんな姿になるのか。
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    DOODLE過去作

    カヅヒロ
    シンデレラは12センチのナイキを履いて まるで二人にだけピストルの音が聞こえたみたいに、まるきり同じタイミングでカヅキとヒロは青信号が点滅し始めたスクランブル交差点に向かって走っていった。二人はガードレールを飛び越えてあっという間に人ごみに消えていく。さっき撮り終わった映像のラッシュを見ていた僕は一瞬何が起こったかわからなくてたじろいだ。
    「速水くん達どうしちゃったのかな?」
     僕の隣で一緒にラッシュを確かめていた監督もさっぱりだという風に頭を振って尋ねてくる。
    「シンデレラに靴を返しに行ったんですよ。ほら」
    はじめは何がなんだかわからなかったけれど、僕はすぐに二人が何をしに行ったのか理解した。
     赤信号に変わった後の大通りにはさっきまであった人ごみが嘘のように誰もおらず、車だけがひっきりなしに行き交っている。車の向こう側から切れ切れに見える二人はベビーカーと若い夫婦を囲んで楽しそうに話していた。ぺこぺこと頭を下げて恐縮しきっている夫婦を宥めるようにヒロが手を振った。その右手には赤いスニーカーが握られている。手のひらにすっぽりと収まるぐらい小さなサイズだ。カヅキがヒロの背を軽く押す。ヒロは照れたように微笑んで肩をすくめるとベビーカーの前に跪いた。赤ちゃんは落とした靴にぴったりの小さな足をばたつかせる。ヒロはその左足をうやうやしく包んで爪先からスニーカーを履かせていく。
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