第7話 変光センが書庫でラル達と行動し始めて3週間が経過したある日の事だった。
「うぅ」
急にセンが頭を抱えて苦しみ始めた。
センは、アイビーの手で転生させられた後から、度々頭痛がする発作が起きていた。
頭を必死に押さえて。苦しみ出すセンにアイビーは、いつものように頭を撫でて落ち着かせようとした瞬間だった。
パシっ
センは、アイビーの手をはじいた、凄い速さで。
「ふ、れる…な!」
「」
アイビーは、驚いた。
ふらふらと立ち上がるセンは、アイビーを鋭い眼光で睨みつけた。
「はぁ…はぁ……。ぐっ、う、今、まですきにやってくれたな……もう、油、だん…しない!書庫様のところに…お前ら全員……突き出してやる」
センは、自力で戻ったのだ。通常であれば原罪に行って、転生し直せば戻るのだが、センは、自力で己の光のコアの歪みを治してしまったのだ。
「なんて事…自分で戻してしまうだなんて…やっぱり面白い子ねぇセンちゃんは。」
「は、勝手に言ってろ。全員…大人しく腕を前に出しな。縛ってやる」
「素直に差し出すわけないでしょう…バベナちゃんセンちゃん捕まえて」
バベナはアイビーの声に応じ、センを捕まえに飛びかかった。が、今はセンの方が速かった。
センを捕まえるために伸ばされた腕に、センは、小さな体を上手く利用して素早くバベナの両腕をロープで拘束した。これにはバベナも驚いた。がすぐ大人しくなった。
「よし、まずは1人目…、お、すぐに大人しくなって偉いねぇ…素直なやつは嫌いじゃあない。そこで大人しくしててくれ。」
センはゆっくりと後ろに振り返り、ラルとアイビーと相対する。すると、ラルはセンに向かって歩き出した。そしてセンの前まで来るとしゃがみこんでセンに両腕を出した。
「……。縛ってくれ。抵抗はしない。」
大人しく降参したラルにアイビーは、驚きを隠せなかった。
「ちょ、ラルちゃんなにして…」
「アイビー」
「」
「アイビー…、もう、終わりだよ。私達の目的……約束はもう達成した。私はセンに会いたかった。会う為に悪い事をもう一度した。アイビーは、センを転生して変えた。もう十分だろう…。」
「……そうだけど」
「アイビー!」
ラルは悲しそうな顔をしてアイビーを見る。
そして首を振る。
「あたし達の役目は終わった。もう悪い役をしなくていい。私もこれ以上は悪い事をしたくない。お前にも、バベナにもこれ以上させたくない。なぁ…、分かってくれ、アイビー。」
「…………はあ、仕方ないですわね。」
そう言ってアイビーも、センの前まで行ってセンの前に腕を差し出した。
「…………………。縛る、からな。」
センは、2人の腕を縛り。書庫の最上階へと向かったのだった。