第8話 光源センは、3人を連れて最上階にたどり着いた。
書庫の大精霊もすぐ現れた。
「おかえりなさい。セン、今回の事件の主犯者を連れて来たのですね。」
「…はい。ラル、アイビー、バベナの3名が今回の事件の主犯格です。」
「ありがとうございます。セン。ラル、あなたは書庫で封印していたはず、どうやって抜け出したのかは分かりませんが、あなたはもう一度封印します。」
「え?ラルが…封印されて…」
「あぁ、センは、知らなかったですよね。ラルは、幾度となく悪行を極め、行った罰として書庫の最奥で封印していました。」
「な…本当なのか…ラル」
「……………………。」
ラルは下を向いたまま何も答えなかった。
道理でどこを探しても見つからないはずだ…。センは、バベナが行方不明になる前まではずっとずっとラルを探していた。何処を探しても見つからなかった、死んだとばかり…思っていた。
「あなた方3人はもう二度と外に出られぬ様に厳重に封印します。これは然るべき罰です。あなた方はそれほどの事をしたのだとその胸に刻みなさい。」
書庫の大精霊は冷たく言った。3人の意見も何も聞かずに刑を執行しようとした、その時だった。
「ま、待ってください書庫様」
センが静止の声を掛ける。
「確かにこの3人はとても非道な事をしました。人の人格を勝手に変えること、それはとてもとても非人道的です。ですが、封印するのは待っていただきたいのです。彼らは、この事件を心の底から反省しているのを私は見ました。してはいけない悪いことだと本人たちも分かっていました。分かっていたのにも関わらず悪い行いをさせたのは、ラルの姉である私に責任がありますだからどうか、ラル達を封印するのは待って欲しいです!」
センは、泣きそうな声でそう書庫の大精霊に訴えた。何とか減刑出来ないかと。
「…………。セン、この方達は罪人です。罪人を庇うということですか」
「け、決して庇っているつもりは…」
「……。」
俯いてしまったセンを見た書庫の大精霊は、静かにラル達の姿を見た。皆、心の底から反省していたのは、事実だ。実際、一番最初にラルを封印した時はラルは、大人しく封印された。それは反省している証拠だった。
今回も前回同様に心底反省しているように見えた。センは、姉である自分に責任があると言っていた。それは、自分が最後まで探しきることが出来ず、探しやすいように悪い事をさせてしまった事の責任なのだろう。
「…分かりました。セン、貴女の言葉を信じましょう。」
書庫の大精霊は、センの頭を優しく撫でて言いました。
「セン、貴方は自分に責任があると仰りましたね。なのであればその責任を全うして頂きます。覚悟はよろしいですね?」
「……。はい。」
センは、真っ直ぐ書庫の大精霊の顔を見る。不安な気持ちがよく見て取れる。
「ラル、アイビー、バベナの3人を連れて原罪に行き、そして、その後を貴女が監視しなさい。」
「……え。」
「早い話が執行猶予です。」
センも、ラル達も思いもよらぬ書庫の大精霊からの返答に驚きが隠せなかった。
「さぁ、セン、どうしますか。別に私は、直ぐにでもこの方達を封印の部屋に閉じ込めてもいいのですよ。」
「や、やります。やらせて下さい!私がしっかりとこの子達を原罪に連れて行き、私がその後監視します!」
「よろしい。貴女方もそれで宜しいですね」
3人は、顔を見合わせる。そして
「はい。」
「よろしい。では、セン。後は頼みましたよ。」
「はい書庫様、ありがとうございます」
センは、3人の縄を解き、原罪へと向かったのだった。
そして4人で無事に転生をした。