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    基本らくがき。きたない。トレスして遊んでる。
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    PFF極道パロエピソードゼロ
    天宮さんとうさぎ頭のわくわくはっぴぃな話。

    「君」が生まれた日悲鳴。絶叫。嘲笑。嗚咽。懇願。哄笑。
    スプラッター映画に出ていそうな可愛いうさぎと名前も知らない可哀想な犠牲者によって作られた舞台を部屋の隅で眺めながら、噛み過ぎて口が潰れてしまったストローで生温くなって刺激の抜け切ったコーラを啜る。
    手持ち無沙汰につまんでいたポップコーンは既に食べ切ってしまった。
    残り少ない時間で創作活動に勤しんでいる可愛いうさぎのあの子、まどかが丹精込めて「自分」を作る為の行為を何度か見ていたがその誰もがあの子の満足する水準には届かず廃棄されてしまった。
    あの子の手腕を持ってしても、器の方の耐久性が低いのは私にもまどか本人にもどうしようもない。壊れるか壊れないかは、結局壊してみないとわからないのだし。
    他の誰にも、君の代わりは務まらないんじゃないかなと「スペア」が壊れる度に言ってはみるが必ず「自分」を作るのだとまた新しい材料を連れてくる。
    そんな不毛でしかない努力も、全て私の為だと言われてしまえばそれ以上無粋を言うのは野暮でしかない。
    もうすぐいなくなってしまう可愛いあの子の代替として、あの子と同じ「もの」をあの子自ら創り上げる。そうして私が退屈で死なないよう、あの子の愛を持って退屈を殺し続けてくれる永久機関を組み立てる。
    ただただ、生き損なっている私を生かすためだけに。
    生きる理由も、死ぬ理由も特に無い。だから別にいつ死のうが生きようがどうでもよかった。
    そんな、誰に何を望まれる訳でもない私に、唯一「生きて」と望むのがあの子で、それならとなんとなく生きてみる事にはしたが、不意の事故や病気でもしない限り人生というやつは長すぎて酷く退屈なものだ。映画のように劇的でもなければドラマチックでもない。普通の人生とは大概が平凡で変わり映えの無い風景を流し見するようなものだ。
    「退屈で死にそう」とは良く言ったもので、実際退屈は死に至るに値する重大な疾病だと思って、どうせ死ぬなら何の面白みの無い自分の死に際ぐらい、鮮やかで刺激的な、それこそ映画みたいに鮮烈なものを味わってみたかった。
    だから可愛くて、多彩な殺し方を知っている私のまどかならきっと一度だけなんて勿体無いぐらい素敵な事をしてくれるだろうから、あの子に殺されてみたいなと思った。
    まあ、その提案はあっさり却下されて、更には絶対に退屈になど殺させないから生きてと願われてしまったのだけど。
    可愛いまどかの頼みだから私だって極力叶えてあげたいけれど、やっぱり君がいなくなった後も生きていられるような自信はちょっぴり危うい。
    まどかは「ずっと一緒にいる」と言ってくれるけれど、やっぱり君以外には私の退屈を潰す役目は難しいと思うんだ。そう伝えたところで当の本人は元気な肯定と共にはやく『私』を作りましょうねと張り切っていた。まあ、そういうところも可愛いからいいんだけどね。本当に伝わっているのか天宮さんはちょっぴり不安になっちゃったぞまどか。
    そう物思いに更けながらまどかの舞台を眺めていると、ずっと鳴っていた「スペア」の声が途絶えた。
    何の因果か可愛いまどかに残された時間はあと僅か。まどかがいなくなってしまうなら、それも良い機会だから私も一緒に死んでも良かったのにやはりまどかはそれを許してはくれなかった。
    という訳で、後数時間もすれば「彼ら」は無事に入れ替わりを終えるのだろう。

    「まどか」
    「Hi どうかされましたカ? Master」
    「終わったら戻っておいで。私は先に戻ってケーキでも焼く事にするよ」
    「understood. 『仕上げ』が済んだラすぐに参りますネェ!」
    「うん、待ってる」

    「君」の最期を見てあげたかったけれど、きっと私はいない方がいいだろう。
    一観客が舞台に上がるなどあってはならない。それなのに、きっとそれを目の当たりにしたら柄にも無くあの子の前に飛び出してしまいそうだもの。
    ・・・庇って倒れるのも、それはそれで劇的できっと美しい死に様だと思うけれど。
    それはどこかの初恋に譲って、私はあの子の願いを叶えるためにとりあえず生きていないといけないのだから。

    「Master. ・・・花月」
    「なぁに」
    「No problem. 「私」は貴方とずット一緒にいまス。貴方の退屈を殺し続ケますカラ。「私」が貴方の『わくわくはっぴぃ』を作らセますからネ」
    「うん、そうだね。またね、私の可愛いまどか」
    「ハイ、それでは。また後ホド」

    ・・・こんな時でも泣けないなんて、やっぱり私はヒロインとやらには死ぬほど向いてないらしい。

     ***

    「やあ、おかえり。・・・『瞬』」

    のろのろとした動きでだらりと気の抜けたような可愛いうさぎ頭に声をかけると、ハッとしたように頭を振る。まだ混乱しているのかな。まあ無理も無いけれど。
    「初仕事」を終えた可愛いうさぎを迎えて、椅子に座らせてやる。

    「ちょうどケーキも焼けたところだよ」
    「けぇき、デスか」
    「そう。今日は君の誕生日だからね」

    そうでしたっけ、と首を傾げて記憶と照らし合わせている様子の頭を撫でて「初仕事、ご苦労様」と言ってやれば誕生日とはそういう意味かと納得したようだ。
    君と同じように、素直ないい子みたいだ。

    「折角の誕生日なのに急で悪いけれど、それを食べ終わったらすぐにパレードの準備をしようね」
    「…分かりマシタ。 My little master」
    「うん、よろしくね。可愛いまどか」

    君の遺してくれた新しいまどか。
    やっぱりそれだけで私にとってはどうしようもなく愛しいんだな。

    さぁ。
    君の願いのためにも、世界をわくわくはっぴぃにして少しでも多くの娯楽を楽しもう。
    私が、退屈で死なないように。

    ***************************************

    Happy DEATHday.
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