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    基本らくがき。きたない。トレスして遊んでる。
    自キャラとFGOとあんすた。
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    POIPOI 92

    佳月君がお熱出て赤ちゃんになっている。

    あちち腕の中の佳月の普段よりも紅く色付いた頬と額にはうっすらと汗が浮かび、はふはふと落ち着かない呼吸を繰り返している割には身体は弛緩しきっていて全身の骨が無くなったようにぐんにゃりとしている。
    息をする以外は目を開けているのも言葉を発するのも億劫なようで膝の上に抱えてからまだ一度も声を聞いていないが、その分普段より要求はストレートなので甘んじて膝に乗せているが、買い物を頼んだもう一人が戻ればおそらく注意が飛んでくることだろう。
    そもそも、宥めて捕らえてようやくこうやって大人しく収まっているので、少しばかり鍵を緩めてしまえばふらふらと覚束ない足取りで一人自分の家に帰ろうとする筈だ。
    見るからに平素と違う顔色と、僅かにラグのあるリアクションに違和感を覚えて聞いても返ってくるのは「だいじょうぶ」の六文字で、仕方なく幼馴染から預かった体温計が示した温度を見せても「へいき」と文字数は減ったものの、液晶に表示されたデジタル数字で現状を自覚したためか明らかに頼りない足取りで保健室を出ていこうとするので送っていくと申し出れば、簡潔にさらに少なくなった文字数で拒絶を返してきたので、何も聞かなかった事にして抱き上げた。
    ようやく観念したのかそれとも気力の限界だったのかは定かではないが大人しく身体を預けてきた佳月共々早退を幼馴染に告げて、もう一人の恋人に共有したのはつい数十分程前のことだ。
    そのまま家に帰しても結局は誰かが帰るまでは一人にしてしまうし、自分にすら不調を押し殺して緩やかに拒絶してきたところを見るにわざわざあの忙しそうな保護者に訴えるようなこともしないだろう。
    なるほど、確かにこれはこれでわかりやすくはなったのかもしれないと以前あの人に言われた事にようやく合点がいく。
    諸々の事情を加味して「帰リましょうネ」と自宅へ連れ帰ろうとタクシーへ行き先を告げても特に異論はないようだった。聞こえてなかっただけかもしれないが。
    自室のベッドに寝かせたところでとりあえず今有るもので使えそうな物を集めてくるかと一旦離れようとした腕に僅かなひっかかりを感じて、あまりにも弱々しい抵抗に引き止められたと気付くのに数秒かかってしまった。
    単純に肌寒かっただけか、それとも風邪で人肌恋しくなったのか、ぼんやりとした赤い顔で「だいて」としな垂れかかってくる普段よりも熱い身体を抱き止めて、大きく咳払いをしてから勝手に離れていこうとする理性ごと熱に浮かされた子供を毛布で包み込んで膝上に押さえ込むと、特に不満も抵抗もなくおとなしく収まっているのでどうやら御所望の通りらしい。
    安心したような、ほんの少し残念なようななんともいえない気分と一緒に細く息を吐き出してくたりと力の抜けた身体を抱え直すと、毛布を抜きにしても感じる熱は先程見た数値よりも高いように感じた。
    おそらく食事は食べたがらないだろうが、水分ぐらいは飲ませるべきか。
    かづき、と一度呼びかけると朦朧としているのか返事も億劫なのか薄く目を開けて顔を見る事で返事に代えてきた。そのままなんだ、と言うようにゆっくりと瞬きをするものだから、今日はなんだか気難しい猫のようだ。
    「オ水、飲ミます?」と聞けば小さく首を振った。断られてしまった以上、無理強いも出来ず僅かに浮かせた尻を元の位置に戻した。
    病人の椅子になる以外にしてあげられる事がなくなってしまい、汗で額に張り付いた前髪を払う。やはり冷やしてあげた方が良いと思える程熱い額に、あまり意味は無いだろうがひたりと掌を当てるとするりと甘えるように擦り寄った。
    かづき、と声を出す前に熱くなった吐息を吐き出して、それで。

    「────あら。ダメじゃない、ちゃんとベッドに寝かせてあげないと」
    「ラテ」

    ビニール袋を片手に提げて、入り口から顔を覗かせたラテには思ったとおりの注意が飛んでくる。んもぅ、と様になる仕草で呆れたように仕方ないわねと呟くと、手際良く買ってきた物を机に並べていく。

    「だッテ、佳月が甘えルノで。可愛ンですモん。」
    「だからって・・・、もう。佳月くん、お薬飲める?」

    本当はおなかに何か入れてからの方がいいんだけど、と言いながら佳月と自分の額に掌を当ててラテが温度を比べている間の佳月からの返答は否定とも肯定ともつかない小さな声で唸っただけだったが、特に気にした様子も無く熱々の額に冷却用の粘着シートを貼り付けると、明確な温度差が気持ちいいのか少しだけ佳月の表情が緩む。

    「じゃあ佳月くん、ベッドで寝ましょ?身体辛いでしょう?」

    しばしの無言のあと、毛布の中でもそもそと動いているのを見るに肯定ということだろう。
    佳月をベッドに寝かせ、てきぱきと次の作業に移ろうとしているラテを捕まえて病気の子供へのお見舞いとして届けてやる。

    「七司之先生?」
    「佳月が寂シいようナノで。私がヤるノで傍に居テあげて下サイ♡」

    何か言われる前に佳月の隣に押し込むと人恋しい子供が次の温もりを見つけて安心したように身体を寄せる。
    ラテが弱った子供に縋られて突き放せる筈も無いのはわかりきったことで、佳月ごと布団をかけ直せば諦めたように一つ息を吐き出して、懐く子供をあやし始めた。

    ***********************

    終わりどころがわからんので終わる。
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