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    blackyunmo

    @blackyunmo
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    blackyunmo

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    3部後のヴァニテレと承花の、この世に居る人たちとあの世に行くハズの人たちの話
    …のあらすじ。
    いろいろ独自の発想が入っているあらすじなので、雰囲気で読んでいただけたらなぁと…

    彼らは此処にいた館の主人が倒れたのち、テレンスが目を覚ます。
    勝負に負け、それまで築き上げたものは全て失われていた。
    さらに悪いことに、廃墟となっていた館には、ヴァニラの遺品が残されていた。
    それだけで彼の結末を理解できた。密かに思いを寄せつつも、ついにその気持ちを伝えることなく死別することとなったのだった。

    館の外でも激しい戦闘が繰り広げられていたようだった。
    ふと、激しく損傷した給水塔を見つけたテレンスは、そこに一人佇む花京院を発見することとなる。魂が見れるテレンスだからこそ確認できたそれは、紛れもなく魂しかない存在…いわば幽霊であった。
    咄嗟に手元に残されていた人形に彼の魂を詰め込んだテレンスは、間もなくSPW財団へと連行されたのだった。

    このとき花京院は、テレンスの身に纏う黒い影を目撃する。
    どうも花京院にしか見えていないらしい。

    DIOに近い存在として特に厳しい尋問を日々受けていたテレンスの姿は、さながら死人のようであった。ましてや数少ない身内であった兄も精神崩壊しているとなれば、いよいよ頼れる人間も居ないだろう。同意なしに捕獲されていた花京院も流石に彼の身を案ずるようになる。偶然だが衝動的に捕獲していた花京院の存在は、精神が疲弊していたテレンスにとって唯一の救いだった。
    そんな中で、二人はかつて思いを寄せていた人について少しずつ話すようになる。
    花京院は自分の命を救ってくれた承太郎のことを密かに思い慕っていた。DIOの手に堕ちた時点で生きることを諦めていた自分にもう一度チャンスを与えてくれた、自分を対等に信頼してくれた承太郎のことを傍で支えたいと思うようになった、と。
    一方テレンスは、心を読まずとも手放しに信頼できたヴァニラの傍に、居心地の良さを感じていた。そんなささやかな温もりを守りたくて、己に課せられた使命を全う…したかった、と。
    花京院はこの際、一目でも構わないから承太郎に逢いたいという気持ちが沸いていた。そもそも花京院は何故か死んですぐには成仏できなかった。それを二人はきっとこの世に未練があったのだろうと考えていた。
    二人は、花京院を承太郎と接触させることを当面の目標として定めることにした。そのためにはまず、厳しい尋問を耐え抜き、ひたすら大人しくする必要があった…



    数か月が経過し、財団がテレンスから得られる情報はこれ以上無いと判断すると、晴れてテレンスは条件付きで自由の身となった。それでも財団の要人である承太郎に接触することは未だ難しい状況であった。
    そんなとき、花京院は以前からテレンスに付きまとう黒い影について、ある可能性を感じていた。自分が元々死人であったからこそ認知できたソレの正体を暴くために、館へ行くことをテレンスに提案した。財団から条件付きで許可をもらって向かった場所は、館の中でもヴァニラが討ち捕られた場所だった。
    すると、黒い影が実体を伴うようになる。花京院はそれが(実質の)初対面だったが、それがかねてから話だけはよく聞いていた、ヴァニラその人であるというのは何となく分かった。
    するとヴァニラが実体を伴うとともに、いわゆる悪霊も顕在した。先の戦闘で敗北し、家族も、帰る場所も失い、心が死にかけていたテレンスがあちらへ逝くように彼らが促していたようだ。それを防ぐべく、ヴァニラがずっとテレンスの傍で守護していたらしい。ただちに顕在した悪霊を粉微塵にしたヴァニラは、その透けた体でテレンスを抱きしめる。
    何も持たない彼にとって、テレンスが帰る場所だった。彼相手なら取り繕う必要も無い。数少ない、安らげる場所。
    そんな彼を守りたいという思いは、他ならないヴァニラ自身が決意したことだった。

    今のヴァニラの姿をテレンスは見れるかもしれない。そう思った花京院だったが、そこはヴァニラから断られる。ヴァニラは死人である自分がテレンスと会うべきでは無いと考え、あくまでも死んだ自分の代わりにテレンスに生きてほしいと願っていた。亡き主人の為とかの目的があるわけではない。ただひたすらに、生きてほしいと思ったからだという。

    見えていないハズのテレンスも、この場所へ来たことでヴァニラとの思い出を振り返り、その中で彼もまた、ヴァニラの分まで生きる道を選ぶことを決意した。彼が、確かに此処に生きていたことを自分が忘れないことこそが、今の自分にできることなのだと考え、気持ちを整理することができたようだ。


    憑きものが落ちたように心が軽くなったテレンスは、提案してくれた花京院に感謝した。そのお返しとして承太郎と接触する機会を得るべく財団内で模範的に活動することで、職員から信頼を得るよう努めていた。するとテレンスならではの仕事として、心を読む尋問を頼まれることになり、さらにその現場にジョセフも立ち会うことになった。
    絶好の機会を逃さないように慎重に準備を進め、予定通りに仕事を終えた後、ジョセフと花京院を接触させた。最初こそ以前の所業故に警戒心を剥き出しにしていたジョセフだったが、花京院から積極的に状況を説明することで理解を得られた。
    そこで分かったこととして、日本へ無言の帰国を果たした花京院は家族の元へ返されたものの、その後は近親者のみで葬儀が営まれたという。そのため、承太郎らが葬儀に参列することは叶わなかったのだとか。
    問題はその後。日本に帰国した後の慌ただしい日々の中、花京院ときちんとお別れできていない承太郎はどこかでその死を受け入れきれておらず、もしかしたらあのとき自分が救えたかもしれないと、何度も後悔しているのだという。
    それを聞いた花京院は、一層承太郎に会わせてほしいと頼み込む。お互いに、未練なくお別れするために。
    死人と再会することで余計に未練が勝ってしまう恐れも考えたジョセフだったが、まだ高校生である若い孫のことを思ったとき、最終的にそれを許可することにした。
    かつて若かった自身にも、お別れしたくてもできなかった友人がいたことを思い出しながら。


    ようやく面会の機会を得られた花京院は、ほとんど一年ぶりくらいに承太郎と再会した。ゆっくり、お互いが満足するまで最後の会話を交わす。結びで承太郎に未来を託し、それこそがあの時の自分の最後の願いであり、それは今もなお変わらないのだと、花京院は伝えきる。
    もう、花京院に未練は無かった。
    承太郎も、改めて花京院という男の強さを感じていた。承太郎は長い後悔の中でいつしか花京院を庇護の対象と考えるようになっていたのだが、彼は決してそんな柔い存在ではなかった。承太郎の背中を任せられる、そんな頼れる存在だったと再確認させられた。
    花京院に託されたものを確認できた承太郎もまた、迷いのない眼をしていた。
    もう大丈夫だ。



    花京院の魂を、人形から取り出す日か来た。
    今や花京院と強い友情で結ばれていたテレンスだったが、別れがくることは彼も覚悟していた。しかし彼はもう一人でも大丈夫だろう。
    テレンスの傍に、見えないながらもずっといたヴァニラもまた、別れを決断していた。
    もう彼に死の気配は無かった。

    簡単に挨拶を終えると、花京院は天へと召された。
    今度こそ、成仏したようだ。

    そして後に残された人形の処理について、テレンスは兼ねてから実行しようと決めていたことがあった。
    人形を火葬する。つまり葬儀を執り行うことだった。



    託したもの。託されたもの。
    彼らの願いは、今を生きる人の道となる。
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