ずるい人 嗚呼、ずるい子どもだなァと、KKはひとりごちた。
子どもとは弟子で助手で相棒な、伊月暁人その人のことだ。短くて長い夜を二心同体で過ごしたふた周りは下の青年は、社会的には成人済みであるがKKからすればいとけない子どもだ。同時にその子どもはKKにとっては唯一で、代えなどない魂の片割れだ。
そう、なのにだ。
今あの子どもはKKを諦めようとしている。勝手にこちらを慮って、気持ちにふたをして距離を置こうとしている。
――ずるいだろう。
と、もう一度KKは思う。
諦められる程度の気持ちでいるのかオマエは。オレはとうにオマエを手放せないというのに? オマエなしに生きていくことなど無理だというのに?
そんなことけして許さない。自分たちは二人で一つで、今更離れていくなんてそんな選択肢あってはならないのだ。
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