みらいよち/ペパアオ彼と一緒に旅をしているときが、一番幸福だったと言ったら、彼は何と言うだろうか。
「そりゃあ嬉しーぜ。ちっとばかし恥ずかしいけど……よ」
そう言って照れて頬をかくだろうか。きっとこういってくれるだろうと想像はつくのに、そこはわたしの、ほんの少し意気地なしなところだ。
「アオイ!」
「……ペパー先輩、こんにちは」
彼に会いに行って、その笑顔を見るたび、いつもぎゅっと胸が詰まってしまって、何も言えないのだ。
――今日こそは。今日こそは感謝を伝えなきゃ。
「あのっ、ペパー……」
「ん?」
「わた、し、」
だめだ。たった一言言うだけなのに、面と向かうと言えなくなる。ボールの中のメリープに代理させたくなってきた。
「なんだよ、言いたいことあんなら言えって。お前案外無口ちゃんだから、そうやって言ってくれんの嬉しい、つーか」
ふいっとそっぽを向く。耳が真っ赤だ。
「…あのね、ペパー先輩。わたし、ずっと言いたかったことがあって」
「おう」
「わたしね――」
想像したとおりの言葉と、想像以上の答えが聞けるまで、あと。