トシワスレモノ/こりゅさに師走の忙しさにようやく一息つけば、白い息が空を満たす。ああそういえば今日は雪が降るんだったっけと思い出す。
「こんなところで休憩かい?」
縁側に座っていたら頭の上から声が降ってきた。小竜景光。最近遠征から帰ってきた、彼。
「ちょっとだけ……つかれちゃって」
「そう?」
――なら、付き合うよ。
そう言って隣に座る。
「今年は本当に早く過ぎたよね」
「うん。そうだね」
他愛のない会話を、こんなに寒い場所でしている。なんだかふたりぼっちで年末を過ごしているみたいだな、と思った。実際にはそんなこと、ないのだけれど。
「……さすがに、寒いし、戻ろっか」
立ち上がろうとして、くいと腕をひかれる。
「主、まって」
「え?」
「忘れ物」
年末だから、後腐れの無いようにしないとね。
そんなことを言って、彼はひとつ、私の唇の上に、落とし物をした。
「……じゃ、戻ろっか」
「……うん」
遠征が終わったら、何かご褒美をあげる。
そんなことを、言っていた気がする。
「年忘れが早かったね」
ごめんなさい。