今からツラヌキの実家に正式にご挨拶に伺うため金沢に向かう。
アイツは大宮まで迎えにくるって最初言っていたけど、理由をつけて新幹線に乗りたがるハヤトじゃあるまいし家で待っててっと伝えたが「金沢駅には絶対来る」と言い張ってた。到着時間を伝え時間通りに来てもらうことで決着したが、かなり早めに待っていそうな気がしてならない。
彼氏の実家に行く女子以上に緊張している彼氏なんて珍しいんじゃない?ツラヌキのお義母さまには何回かお会いしているから昨日まで緊張していなかったのにアイツのが感染ったのか、なんだか此方まで緊張してきた。
そんな気持ちで大宮から2時間ちょっと、新幹線に乗って目的地に向かう道中。本州の背を越え幾つかトンネルを抜けると空っ風が吹くだけの関東とは一変、冬の世界が広がっていた。真っ白とはまだ言えないが山肌や町並みの彼方此方に雪が積もりはじめている。私は珍しい雪景色に目を奪われ窓の外に釘付けになった。
そこでふと気付いたのが、屋根瓦が何処もかしこも黒いこと。形もなんだか似ている家が多い気がする。なんだろう、とても格好いいはいいんだけど、あまり
「可愛くは、ない」
昔ながらの家だけではなく新しそうな家も黒い。屋根の色や素材は今は沢山あるのに。なぜ黒いのか調べてみると諸説あるようだが黒い屋根は雪を溶かしやすくする工夫らしい。大宮なら屋根は赤でも青でもいいし形だって可愛くできるけど、ここで暮らす人達は雪と生きているんだ。
到着してアイツにそんなことを思ったって伝えたら何て言うだろ。「そこからかよ」って呆れるだろうか、それとも嬉々として歴史を含め色々喋りだすのだろうか。どんな反応をするか考えたらなんだか楽しくなってきたし、聞いてしっかり覚えないとね。
私もこの冬から観光客ではなく、この雪と生きていくのだから。