ヒュー…ヒュー…と熱い息が漏れる。
身体は燃えるように熱いのに途切れることの無い寒気が全身を苛み、安静にしているはずなのに頭の中…いや、脳がグルングルンと回っているような感覚に陥る。
(こんな酷い風邪ひいたのは何年ぶりだろう……)
子供の頃は熱が出ても使用人達やかかりつけの医師がいたから、どうにかなった。父上や母上は顔も見せに来なかったけど。
家が没落してからは、誰も傍にいない中、熱が下がるまで一人でジッと耐えていなかったか。
(……オルトやテメノスさんと出会って気が緩んだのかな)
そこまで考えて、ブンブンと頭を振る。……痛い。
(イタタタタ……、じゃなくて。ただ自分の弱さが招いたことじゃないか。なに二人のせいにしてるんだ)
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