雨の話(貝ひた)天気予報によれば局地的な豪雨だと言う。
外からは遠くで雷雨が鳴っているのが聞こえる。合宿日は悪天候と重なってもみんなは足を止めることなく声を揃えて駆けていたっけと昔の記憶がふと蘇る。
懐かしいというエモーショナルな感情はそこにはない。今の自分の体たらくと重ねた時、無性に爽やかを演じてた自分に対して雷が落ちればいいのに等と考えてしまった。
プツッと電話が繋がる音によって私は現在に戻される。
応対してくれたのは通院先の看護師だ。私は簡潔に無感情に「雨で足を滑らせてケガをする可能性があるので本日の検診をキャンセルしたいのですがー」と言った。
電話口で外へ出れない理由を話せば代わってくれた担当医は納得し「どうぞ身体を冷やさないようにね」と締めの挨拶を交わし何の躊躇もなく通話は閉じられた。
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