2021.12.11「不死身の長兄」web拍手お礼画面⑨ 夜中に目をさますと、隣に寝ているはずの彼女の姿がなかった。
何かあったのだろうか。体調が悪いのだろうか。
不安に駆られた俺は、寝室を出て、階下へと降りていった。
階段を下っていくと、リビングに人の気配を感じた。
明かりはなく、格子窓から差し込む月の明かりだけが、仄かな光源となっていた。リビングの椅子に腰かけている人影がある。暗闇に慣れた俺の目には、それが誰なのか、すぐに分かった。
俺が近づくと、足音に気付いたのか、彼女はこちらに目を向けた。
「ヒュンケル。」
いつも通りの声が、俺を呼んだ。
その声色に辛そうな響きはなく、俺は、少しだけ胸をなでおろすことができた。
「どうした。眠れないのか?」
俺が気づかわしげに声をかけると、彼女は困ったように答えた。
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