剣の人柱 スカイロフトの象徴、女神ハイリア像─────
彼女は今日も変わらず、美しい微笑みを浮かべて民を見守っている。
朝になればオレンジの淡い雲が島を包み込み、段々と市場は活気づく。子どもは元気に走り回り、夜になれば灯火の元人々は食卓を囲む。
このような日々の当たり前の幸せは、女神の加護がある限り永遠に担保されると誰もがそう思う。
そんな常日頃と変わらぬ景色の最中、とある少女が私の目の前に現れた。
「お前が次の人の子か」
問いかければ、少女は透き通る空の瞳で私をじっと見つめたのだった。
***
少女はスカイロフトで一番位の高い家に産まれた。
少女がこの世に産み落とされたとき、産声をあげることはなかった。生まれたその瞬間から、透き通る瞳は何かを悟ったように両親を見つめ返した。
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