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    Thyllmitto

    @Thyllmitto

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    Thyllmitto

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    シリアスでかっこいい文章(?)の練習がてら
    この文章には真面目な変態付喪神や死ネタ、内輪ネタしか含まれてません。
    ふんわりした内容で書いたので何が起きたかは想像にお任せします。

    《一部某歌の歌詞を使っていますが使いたかっただけなので意味はないです》

    悲し 悲しの わだち跡
     指を折り 折り 数えましょ

    「此度も失敗してしまいましたね、やはり私は”神”と名乗るにはあまりに未熟ですね」
    目を覆いたくなるような周囲の惨状、総てを失い、”自ら”を懐に抱えて暗雲が立ち込める空を仰ぐ。

    ”今回”の結末はあまりにも残酷で、付喪「神」を名乗る彼ですら、見るに堪えない光景だった。

    月と太陽のような黄金と青銀色の下がり目から、白く透き通る肌の頬を伝う雫は雨か涙か。
    土砂降りの空の下で過ぎ去りし日々を思い出し、想いを馳せる。

    「憶えていますかバルシャ君、私と君が初めて出会ったあの時を」
    「幾星霜もの孤独の中で、君の・・・温かくて、優しい小さな手に触れられたあの瞬間、君が私を振るったあの時、私は初めて自分の存在意義を感じることができました」
    「”君のためにこの力を揮おう”、”君を護るためにこの魂を捧げよう”と」

    傍らに倒れこむ銀色の鱗がついた愛しい者の冷たい手に触れる。

    「情けないでしょう?そんなにも意気込んでおいてこの様です、笑ってくださいよ」
    「滑稽でしょう?カガミさん?」

    傍に落ちている紺色の髪の毛の切れ端を摘まみ上げて力なく微笑む。

    「最初こそ私は貴方に興味などありませんでした」
    「ただバルシャ君があまりにも君の隣で幸せそうに笑うので、いつしか私は貴方にも特別な感情を抱くようになりました」
    「そしていつしか、私は貴方にも幸せになって欲しいと願うようになりました」
    「『幸せになってほしい』と思う私の我儘で、君に強く当たってしまったことも何度もありました、だってあまりにも貴方は頑固で、意地っ張りで・・・」

    手にしていた髪の毛をはらりと地面に落として、自分の胸元の布を強く握り、絞り出すように云う

    「”こんなことになる前に”君たちには幸せになって欲しくて」

    何度も、何度もこんな光景を見てきた。
    ある時は片方の未来が途絶えて、あるときはどちらも絶望の淵に立たされて。

    「私が高望みをしているとでもいうのですか?彼らを・・・私が幸せになることはそれほどまで罪深く、欲深いことですか?」

    「今」を生きることをあきらめた反田は、ぬかるむ地面の上に崩れ落ちるように座ったまま天に向かって嘆きの言の葉を吐き出す。
    そして、手に握りしめたの紫を帯びた銀色の刀の刃を、自分の首にピタリとあて、言葉を零す。

    「大丈夫です、君たちのいないこの世界で私が消えたところで誰も憂うことはない」
    「次こそは必ず、必ずや君たちを幸多き世界に導けると信じて・・・しばしの別れです」

    白い首筋にあてがった刃に力を込めて自らを断ち切った。


    —――――

    この世界の君たちへ

    バルシャ・・・カガミ・・・ 
    未熟な私をお許しください。

    私はいつか、君たち二人が絶対に幸せになれる世界に導けるまで、この世界の君たちの、罪過も、苦悩も、今までの歩んできた君たちの人生”全て”を背負って旅立ちます。

    君たちへ

    バルシャ君、カガミさん
    私はいつか、君たち二人が絶対に幸せになれる世界に導けるまで、君たちの罪過も、苦悩も、幸福も、今まで降り積もった君たちの人生”総て”を背負って、君たちを迎えに行きます。
    どうか「私の望む」最も幸せな世界にたどり付けるその日まで、私と一緒にこれからもずっと、歩み続けてください。






    ~おまけ~

    反田一にとっての最も幸せな瞬間は、バルシャと出会ったあの瞬間だった。
    反田一にとっての最も不幸な瞬間は、バルシャと出会ったあの瞬間だった。

    あの時、君に出会わなければ、私は自分の手で君に触れられなかった。
    あの時、君に出会わなければ、私は永遠の安寧を手に入れることができた。

    私が存在してしまったあの日から世界は始まったのかもしれない。
    私が存在してしまったあの日から世界は終わりに向かったのかもしれない。

     あの日、あの時、あの瞬間、「反田一(わたし)」が生まれたことは

    「僥倖」かそれとも「災禍」か
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