カレイドスコープ・リフレクション１．

「なんか今日、女の子多くない……？」

　あおいに続き、俺と風太もステージ袖からフロアを覗き見る。

「本当や、多かね」
「いつも来てくれるお客さん達、後ろに居るな」
「場所譲ってくれたのかも」

　吉祥寺のライブハウスで月に一、二回程度定期ライブを行うようになった。上京後、LRフェスへ参加する知名度から興味半分で観に来てくれるお客さんはチラホラ居た。しかしノリだけで演奏技術は他バンドに劣ると評価される俺らだ。せっかく興味を持ってくれた人達を如何に掴んで離さないかが議題になる。そこで打った施策。前回のチケットの半券があれば次回のライブのチケット代は半額というリピートチケット制度を導入し、それが功を奏した。俺らのマージンは下がるかと思いきや、最近出したデモCDやグッズのタオル、ステッカーを複数買ってくれる人が多く、有難いことに売上は右肩上がり。ライブに来てくれたお客さんが宣伝がてら身近な人達に配ってくれているらしい。

仕事終わりの帰り道に少しだけついているイルミネーションには、目をとろけさせて笑ったり、クリスマス特集の料理番組で紹介されたケーキをおずおずと作って欲しいとおねだりをしてきたり、家の中のクリスマス用の飾りつけも、ジョンのためとプレゼントを用意しているのを知っているし、極めつけは『俺さ、クリスマス初めてなんだ』って少し恥ずかしそう且つ寂しげな顔をして微笑まれてみろ！
もう胸にキュンですよ。キュン死ですよ
脂下がりそうな顔をこの年若い恋人の前では常に格好をつけたいという精神力でなんとか持ち直して「だったらさ、私と初クリスマスを目いっぱい楽しもう」と指を絡めれば、こういった触れ合いに未だ慣れない恋人は、顔を真っ赤にして「嬉しい」ってまた笑うからさぁ～～～～