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    greentea

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    SPARKマヴェルス新刊サンプル

    日々のかけら いつも僕の名前を呼んでくれる君が、弱々しくベッドに臥せっているのを見るのは胸が苦しい。同時に、この子の傍にいるのは僕なのだと、ふつふつと湧き上がるこの感情はきっと口にしない方が良いものだろう。

     幼い頃のブラッドリーは、キャロル曰く小さい子供によくある発熱をした時に、いつもよりもにこにこと笑って家の中を走り回り、体力のかぎり動き回ったかと思うと急にエネルギーが切れて眠い眠いとぐずるのだ。国からの援助があるとはいえ、小さいブラッドリーを抱えて働いているキャロルはつきっきりでそんなブラッドリーの面倒を見る。
     小さい命に何かあってはいけないと普段以上に気を張る看病に僕が立ち会った時に出来ることと言えば、動き回るブラッドリーの相手をして、ぐずるこの子が眠れるまでベッドの横で付き添う。グースを恋しがって涙を浮かべれば、汗でしっとりとした額をを詰めたいタオルで拭ってから、目尻の涙をそのタオルでそっと吸わせて冷やす事だけ。
     キャロルはその間に家事をすませて、少しの間ベッドで休むことが出来た。
     だが目の前にいるブラッドリーは僕が傍にいない長い時間にとっくに大人になっていて、体調の悪い日はぎゅう、と身体を丸めて耐えていたのだろう。いまそうしているように。心が痛む。
     汗をかいている首筋を濡らしたタオルで拭う。額にもタオルをやさしく汗を吸い取るようにすると、幾分がすっきりしたのか眉間の皺がうすくなったが、起きたらシャツも着替えさせた方が良いだろう。シャワーを浴びられればいいが、起きられないようならホットタオルで僕が体を拭いてから着替えさせよう。
     この子の世話をするのは苦ではないし、大変なこともあったがそれも含めて僕がしたいとやってきたことだった。大人になって同じ家に住み始めてからこの子がここまで体調を崩すのは初めてで、一緒にベッドで寝起きしていたのにブラッドリーの様子に気が付いたのは朝方に体調が悪くなってからだったことが悔やまれる。ずっと見ていたはずだったのに、と。
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