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    greentea

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    greentea

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    わんちゃんになったハングマンのハンルス小話

    #ハンルス
    heartbeat

    素直な君はちいさなわんこ 何があったか突如としてハングマンが小さな犬になり、今そのからだを元気よく動かして俺のベッドの上を縦横無尽に走り回っている。俺は朝からの騒動に疲れてしまって、軽くシャワーを浴びて直ぐに横になってしまおうと、小さい生き物がシャカシャカと走り回るそこを今にも閉じてしまいそうな目で見下ろしている。
     いつ戻るのか分からないが、誰にも分らないことが俺にも分かるはずもなく。とりあえず獣医によると元気しかないという事なので、まずは睡眠を確保したい。
     ハングマンは走り回ってはシーツにからだを擦り付けたり顔を埋めたりと忙しい様子で、いつもふたりで寝ているベッドの何が楽しいのかずっと動き回っている。だがそれだといつまで経っても俺が寝れないので、ブランケットを片手にハングマンを潰さないようにベッドに横になって深く息を吐いた。
     目を瞑っていると、ベッドが軽く上下しているのを感じて、ハングマンが俺の体を飛び越えながらはしゃいでいるのが分かった。ワンとかヒャンとしかしゃべらないので人の意識があるのかわからないが、なんだか楽しそうな雰囲気だけは伝わってきた。
     ハングマンの忙しない呼吸音が聞こえるが、段々とそれが落ち着いてきたようで時々ぺちゃりと音が聞こえた。舌で舐め音だ、俺の鼻を。ぬめっとした感触がしたから間違いないだろう。
     俺の体のまわりをうろうろとしている気配を無視して、俺は目を瞑ったまま気持ちの良い眠気に身を任せていたが、そのうち足や腕を蹴られ続けてヒャンと鳴かれてしまえば目を開けないわけにはいかなかった。
    「……なんだよ」
     じっと見つめてくる小さな犬の小さな瞳はうるうるとしていて、それでいてどこかハングマンを覆わせる顔つきが俺を見つめていた。横向きで体を丸める様に寝ていた俺は、空いた背中が寂しいなと今更ながらに思ったが、深く考えないように目の前にいるハングマンの背中に手を滑らせた。
    生き物の体温としっかりとしたからだ、滑らかな毛並みに何度か手を往復させていると、空いた腕の隙間にするりと潜り込んできたハングマンは俺の腕の付け根あたりでぐるぐるとからだを動かしている。ひと以外の生き物と過ごしたことの無い俺は、ハングマンが何をしたいのか分からずにいると、ちいさなからだを丸めてその頭を俺の腕の付け根あたりに乗せてフンと鼻を勢いよく鳴らした。
    「え、なに。お前まさかそこで」
     寝るの? そう聞くと、ちらりと俺を振り返って見てきたハングマンがまたフンと鼻を鳴らす。なんだか馬鹿にされたような気がするが、このままだと寝返りが打てないし腕も痺れる。小さな頭から腕をそっと抜いて、ハングマンを潰さないように反対側に寝返りを打った。
     するとシーツを蹴る音が聞こえたかと思うと、俺の腕にふさふさとした頭を擦り付けて、力強く押しながら隙間を縫って腕の中に潜り込んでくる。また腕の付け根に頭を落ち着かせたハングマンは鼻を鳴らして俺に背を向けて寝始めた。
     以前試した時のような重みは感じなかったが、それでもこのまま寝ると朝の痺れに地獄を見る気がした。だが寝返りを打ってこれだと、堂々巡りだろうとあきらめて自由になる方の手でゆっくりとその背を何度か撫でて抱きかかえるようにして目を閉じた。
     ちいさなからだに鼻を寄せると、いつもとは違う太陽の香りがして。いつも香るはずのあいつのシャンプーの香りが恋しいなんて、きっと気のせいだろう。
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    greentea

    MENU4月9日のオフイベにて頒布予定のハンルス本のサンプルです。
    価格1,000円、文庫、本文116P、再録込みとなります。
    よろしくお願いします。
    愛に飛ぶ準備は出来ているか 任務後の仲間たちの顔は晴れやかで、トップガン卒であり空の実力者だと自覚のあるものたちでもかなりのストレスとプレッシャーがかかっていたのがその表情から分かる。任務を達成できるのか、だとしても仲間と生きて帰還できるのか。紆余曲折があったものの、結果として任務は成功して誰も欠けることなく全員が生還することが出来た。
     喜びと解放感からハードデックに集まるやつらのビールを美味しそうに飲む様は楽しそうで、店内に流れる曲に合わせて体は揺れている。さっきまではルースターのピアノと歌声が周囲のコーラスと一緒に聞こえていたが、今ではジュークボックスの味のある音と笑い声が響いている。
     音楽の中心だったルースターであるが、店内を見回してもその姿は見当たらず。だが帰った様子もなくさてどこへ行ったのかと視線を巡らせると、窓の向こうに色鮮やかな布の端が見えた。それはルースターが来ていたアロハシャツの柄で、窓から顔を覗かせると人気の無い店外に置いてあるイスに座って海をのんびり眺めるルースターがいた。
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