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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    アイドラ小説
    シエリ解散話
    想先輩と瑪瑙の話(昔と最後は今の話)

    その場にいた想と瑪瑙は固まるしか無かった、お互い別の仕事だったが、たまたま一緒の部屋にいたためだったのだろう、目の前に来ていた関係者の淡々とした声から出た話を信じきれてなかった。
    「すまないがcieriのデビューの話はなくなった、急な話だが……わかってくれるな?」
    異論は認めない、と言わんばかりにそう言うとさっさと部屋を出ていった。シン、と静まる部屋の中。瑪瑙は信じきれてなかった。なんで、と口から勝手に出た言葉はすぐに消えた。想は何も言わなかった、いや、言えなかった、と言った方が正しいのかもしれない。今の瑪瑙にとっては、想の事まで気が回っていないため、ただ、先程の言葉がグルグルと頭の中を回っていく。そしてなぜか、胸が苦しくなった、初めての感情だ。手が震える、寒い訳でもないのに。
    「……なん、レッスン……先輩とがんばった、のに。髪だって、イメージに合うように、って……そんな……」
    「……瑪瑙」
    「あんな、あんなあっさり……?分かれって何を……何を分かれって……!」
    あぁ、この気持ちの正体がわかった。悔しいという感情だ、と瑪瑙が分かった頃には勝手に目から涙が出ていた。生まれてからずっと泣くのを許されずにしつけられていた瑪瑙にとっては、勝手に溢れ出てくる涙が邪魔で仕方なかった。悔しい、自分たちが何をしたというのだろうか、レッスンも、歌も頑張っていた。想からつまづいたステップの仕方だって教えて貰ったというのに、ステージで待っているファンに見せたかった。
    「先輩から、教えて貰ったステップ、もっ、先輩と聴いたデビュー曲、も、なにもかもしてない、のにっ、ぅ、ぁ……」
    「………」
    想は何も言わず部屋に置いてあったテッシュを持つと泣いてしまった瑪瑙に差し出す。それを何枚かとり涙を拭くが、拭いても拭いても涙は止まってくれない。泣いてるからか頭も痛い、目も痛い。だがそれ以上に、心の奥が息苦しく痛かった。思わず想にしがみつき、小さい子供のように泣いてしまった。想が瑪瑙の背中を撫でるが、その手が震えている事にその時の瑪瑙は気づかなかった。
    それから本当にデビュー話は無くなっていた、あの時着た衣装も、撮影した画像も、曲も、無かったことになっていた。曲だけは音源で貰っていたのを読み込んでいたため、スマホに保存されていた。あの日からお互い仕事が忙しくなり、まともに話せなかった。けれど、人の噂で想はユニットを組むと聞いた。瑪瑙はそれを聞いてなんとも言えない気持ちになった。cieriの事はどうでもよかったのだろうか、とすら思ってしまった。自分は、同じステージで、あのデビュー曲を、想と歌いたかった。もしかしたら、自分は彼の隣に相応しくなかったからこうなったかもしれない。そう思った時、心の奥がすぅ、と冷えたような気がしたが瑪瑙は気づくはずもなくその場を立ち去った。

    ふと、目が覚めた。学院の中庭でベンチに座りウトウトと寝てしまっていた。懐かしい夢を見た、そう思い出しつつイヤホンから流れる曲がリピートされる。流れている曲はあの時の曲だ、こうして未練がましく曲を聴いてはぼんやりとしてしまう。今日は天気が良かったからかそのままうたた寝をしてしまったらしい。疲れていたかな、と思っているとふと、肩を優しく叩かれ顔を向けると想がいた。
    「……想」
    「久しぶり、見かけちゃったから声かけちゃった」
    「別にいいさ」
    瑪瑙はそう笑い想に向き合う時、ちょうど太陽の光が彼を優しく照らした気がした。それを見た時、彼は太陽が似合うな、なんて思ってしまった。
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    ちょこ

    DONEよその子さんお借りしてます
    二次創作
     その日は、雨が降りそうだと言わんばかりの曇天だった。昨日の天気予報では朝から晴れると言っていたはずなのに、いざ当日になったらこの天気だ。凪は頬杖をついて窓の外の風景をぼぅ、と眺めていた。この調子では晴れそうにない、凪はそう思ったあと椅子から立ち上がり、事務所に備え付けであるミニキッチンへと向かう。お湯を沸かせるくらいは出来るミニキッチンにて、お湯を沸かしコーヒーを淹れた後、コーヒーを飲み外を眺めた。
     何でも屋に定休日はない、依頼が来れば仕事の日になるし、来なかったとしても書類作業をする。ある意味気分で休みが決まると言っても過言ではなかった。そして凪は、二階にいる八重の所へ行こうかと考えていた。八重は朝から体調が優れないように見えた。凪から見たら休んだ方がいいなと感じたため、八重を休ませたのだ。当の本人は大丈夫だと言っていたが、それでも休ませた。依頼主が来る様子はない、なら八重のところに行こうと思った。事務所は二階建てのビルになっており、凪の居る一階は何でも屋の事務所で二階は居室スペースだ。コーヒーを飲み終わったマグカップを流しに置いた後、事務所を出る。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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