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    ちょこ

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    ちょこ

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    誰彼小説
    ひのゆさんが前書いてくださった東風くんvs四季の続きみたいなお話
    錦さんお借りしました!

    雨はまだ止まない 肋骨を手で軽く押さえながら雨が降る中ふらふらと四季は歩く。早く彼を追いかけないと、ここで止まってる暇はない。【時風】を鞘に納め、彼が走っていった方へ歩く。歩く度に肋骨が痛むが、そんな痛みに構うほどの余裕はなかった。早く彼を、東風を何とかしないと、あのまま人を襲ってしまったら……四季の背筋に悪寒が走る。
    ふと、道の先で誰かがこちらに向かってくるのに気づいた、東風だろうかとおもったが、背丈からすぐに違うとわかった。その人物は四季より身長が高い大柄の男性で、黒髪に特徴的な赤髪が色鮮やかに雨の中異彩を放っていた。四季は直感でわかった、この人物はただの人ではないと。
    その人物は四季を見つけるとそのまま駆け寄ってきた、どうやら四季の事を知っているような反応を示しながら四季をみて口を開く。
    「お前、東風とよく話していた祓い屋だな」
    「……貴方、ただの人ではありませんね。……もしかして……」
    四季は薄々思っていた事があった、東風の右目から薄らと妖力を感じていたのだ。なにかがこちらを見ている、東風以外の意思みたいなのを感じていた。東風がそれに気づいてる様子がなく、今の今まで素知らぬ顔をしていたが、今になってわかった。あの妖力の正体は目の前の人物からだと。それを四季が言うと目の前の相手は顔色を変えずに話す。
    「ほう、そこまで気づいていたのか。若い人間にしては鋭い。聡明だな、お前は」
    「……東風くんに何があったというのです? 『あいつのせいだ』といって東風くんはどこかに行ってしまいました、早く彼を追わないと、早く探さないと、彼を殺さなければならない……!」
    「……それが儂にもわからん。……お前なら見せても大丈夫だろう」
    そう言って相手はふと、なにかに力を込めた。すると相手の頭から、額から鬼の証である角が出てきた。そして左目は炎のように綺麗な紫色のモヤが包んでいた。そして、彼の特徴的な頭を見て四季はもしや、と思った。
    「……牛鬼……?」
    牛鬼といったら残忍で獰猛な妖怪だ。そして、人助けをすると死んでしまう。相手と東風に一体どんな関係が、四季が内心驚いてる横で相手は話す。
    「そうだ、儂の名前は錦。……東風家とはちょっとな。……小さい頃の東風と一緒にいた事もある。だが、あいつは近づきてしまった、妖怪の世界に。だから、あいつの”見る力”を奪った。東風の右目でお前の事や色んなことを見ていた。……東風は覚えていない、儂の事ももちろんだ。覚えていなかったはずだが……、……突然右目が見えなくなった」
    「……!」
    なるほど、だから相手も東風を探しているというわけか、四季は未だに痛む肋骨を抑えながら考える。先程東風の”見る力”を奪ったことを、自分の事を東風自身は覚えていないと錦は言った。だが、もし、東風がそれを思い出したら? 東風の言っていた【あいつ】が誰を指しているのか、四季ははっとして錦に言う。
    「錦さん、もしかしたら東風くん思い出したんじゃないですか」
    「なんだと?」
    「もしかしたら最悪な場合で思い出したかもしれません、これは私の予測でしかないですが……。東風くんが幼少期過ごした相手と貴方を別人として捉えてたとしたら?」
    「……どういう意味だ」
    「……歪んだ形で東風くんが思い出したとするなら、貴方のことを”自分の見る力を奪った悪者”と認識している可能性が高い、だからあの時……あいつのせいだって東風くんは……」
    四季はこうしてはいられない、と慌てて道を急ぐ。今の東風は危険だ。鬼の力に呑まれてしまう、早く、呑まれる前に祓ってあげないと。彼の命すら奪ってしまう。彼を妖怪に堕ちさせたくない。ふと、突然体が宙を浮いたかと思うと錦に担がれた。
    「なにを……!?」
    「お前、その状態だといくら探しても見つからん! 儂がお前をおぶる。……なにかアテはあるか」
    「……実は東風くんに追跡用の式神を貼りました。式神はあまり専門ではないですけど……、どこにいるかは分かります。私が道を言います、その道を曲がってください!」
    雨はどんどんと降り酷くなっていった、二人の髪、頬、着ている服を濡らしていく。道にはこの天気のせいか、時間帯のせいか人一人誰もいない、雨音以外何も聞こえなかった。【時風】の握る手に力がこもる、早く、早く見つけないと。

    ──最悪の場合が起こるその前に。
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