素敵な贈り物 零一は悩んでいた、レミの誕生日プレゼントを何にするかと。一緒に買い物に付き合ってくれた麗亜は目星がついたのか、零一と別行動をしていた。
麗亜に助言を聞こうにも、零一がちゃんと考えた方がいいと言われそのまま別行動になったのだ。零一は悩む、何が喜ぶのだろうと。
なんとなくぶらぶらと歩いては雑貨などみたが、どうもしっくり来ない。どうしよう、と零一は悩む。ふと、とある店の前で立ち止まる。
そのお店はアンティーク調の、いかにもレミが好きそうな佇まいだった。何かに惹かれるように、古めかしい扉を開ける。
そこには店の趣きと良くあっていた雑貨が置かれていた。店主は人の良さそうな高齢の男性だった、店主は零一をみてニコリと笑うと眼鏡をかけて本を読む。
零一は辺りを見る、どれもレミの好きそうなものばかりだったから。色んなものを見た時、ふととある物に目が止まった。零一はそっと、壊れないように優しく手に取る。
「それを買いますか?」
店主が優しい声で声をかけた、零一はだまってそれを見たあと、店主のところに持っていった。
「これを下さい、ラッピングお願いします」
零一が店から出た後、丁度麗亜が駆け寄ってきた。事前にスマートフォンで連絡していたからか、すぐに合流できた。
「零一、買えた?」
「うん、買えたよ〜」
麗亜もこんなところに店があったのは知らなかったらしく、今度個人的に言ってみると言いつつ帰路に着く。麗亜は歩きながらレミの当日の話をする。
「零一、零一はレミを連れてくるのよ。ちゃんと目隠ししてね!」
「分かってるよ〜、麗亜もちゃんとしてね」
「誰に言ってるのよ、完璧にするわ」
そう言いつつ麗亜と別れた零一、先程買ったものを見つつ零一は笑う。気に入ればいいが、と。
当日、零一は麗亜の言う通り、レミを捕まえて問答無用で目隠しをして手を繋いで廊下を歩く。突然の事だったが、レミは普段通りの声で話す。
「おやおや、どこに連れていくんです?」
「もう少しで着くから〜」
そう言いつつ、いつも三人が使っている教室を開ける。開けた後、零一は素早く目隠しを取った。目隠しを取れた瞬間、レミは目を少し見開いていた。
「レミ! お誕生日おめでとう!」
「おめでと〜、はい、これプレゼントね」
麗亜と零一はお互いにレミにプレゼントを贈る。レミは少し黙ったあと、ニコリと笑った。
「……麗亜、零一、今私は……すごく幸せです……。プレゼント、開けても?」
そう言ったあと、レミはプレゼントを開けた。零一のプレゼントを開けた時、おや、と声を出す。
「……これは、羽根ペンとインク? そしてこの便箋は……素敵ですね、触り心地もいい」
「レミ、僕の誕生日にガラスペンくれたでしょ? それで、レミと文通したいなぁって思って」
零一はにこにこと笑ってレミをみた、そう、あの店で買ったのは羽根ペンとインクだったのだ。レミの髪色によく似た羽をしたペン、そして真っ黒なインク。
レミに絶対似合うだろうと思ったのだ。零一の予測通り、よく似合っていた。
「零一、あんたセンスいいじゃない」
「でしょ〜?」
ふふん、と零一は笑った後、改めてレミに言った。
「誕生日おめでとう、僕を見つけてくれてありがとね、ファントム」