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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    エガキナ

    よその子さんお借りしました!

    猫との散歩と、それから「あ、ネロにネラ」
     リヒトは自分の足元にぐるぐると人懐っこそうに回る二匹の猫に顔が綻び、しゃがんで頭を撫でる。この猫は、ニジゲンである灰純の猫だった。この前名前を教えてもらって以来だったが、猫の可愛らしさに顔が綻ぶ。触り心地も気持ちよく、猫が喜ぶというおやつを持ってくればよかった、と思っていた。
     その時ちょうど、リヒトを探していた琥珀が駆け寄った。
    「リヒト、こんな所に……あれ、その猫」
    「あ、琥珀さん」
     琥珀が近寄ってきたからか、猫達は琥珀に駆け寄る。琥珀は少し悩んでしゃがみ、頭を優しく撫でた。
    「……かわいいな」
    「ですね」
     ゆったりとした時間はすぐに終わる、その後ろでフレイと創がやってきたからだ。その瞬間、ネロとネラは勢いよく散った。
     その光景を見たフレイと創はやんや、と声を出す。
    「おい! おい! なんで俺らを見た瞬間逃げた!?」
    「さっきまでゴロゴロしてただろ!?」
     リヒトと琥珀は察した。恐らくサクリが猫達に教えこんだのだろう、この二人をみたら逃げろと。そもそも、猫は騒がしいのが苦手な動物だ。騒がしくするからだ、と琥珀が呆れていると二人の顔色が変わる。なんだろうか、と後ろを向いた時、琥珀は固まった。
     そこには、自分達より大きくなったネロとネラがいたのだ。一度テレビで見たことがある、大きな猫を人間が乗って走り回る映像を、その大きな猫の大きさにそっくりだったのだ。ネロとネラはじっとこちらを見る。
    「え、えっ……!? お、おっきぃ……!」
    「……!」
     思わず興奮してしまうリヒトと琥珀を横目に、なにか嫌な予感をひしひしと感じたフレイと創。
    「嫌な予感するなー……」
     創がそう呟いたのと同時に、猫は動いた。まず、ネロが琥珀の首根っこを優しくくわえ、ネラの背中にのせる。ネラも同じようにネロの背中にリヒトを乗せた。身体中に感じる猫の毛並みの良さと、触り心地の良さに二人は思わず感動していた。
    「わぁ……すごくもふもふ……!」
    「……きもちいい」

     楽しそうにする二人を横目に、ネロとネラはフレイと創の頭からカプリ、と噛みつきくわえた。それを見ていた琥珀はぎょ、とする。生きてるのか? と心配になったがじたばたと暴れる二人を見て大丈夫なのか、と迷う仕草をした。
     実際のところ、生きてはいるのだが藻掻く二人。そんな二人をよそにネロとネラは歩き始める。屋根の上を軽々と飛び歩く。高いところを歩いているが楽しかった、このまま自分の住んでいるマンションまで歩くのだろうか、なんて思っていたら、道が逸れていく。
     雲行きがどこか怪しくなった。
    「あ、あれ……琥珀さんのお家向こうなのに……」
    「……まさか」

     ネロとネラの歩く道の街並みに見覚えがあった、そして、琥珀が気づいた時には遅かった。そこは、あのマンションだったから。
     ネロとネラはゆっくりとおり、ぺっ、と吐き出すようにくわえていたフレイと創を離すと前足で踏む。ぐぇ、と声が聞こえたがお構い無しに今度は琥珀とリヒトを降ろした。そして、耳に聞き覚えのある声が聞こえた。
    「おかえり。おや、お土産持ってきてくれたのかー。偉いなぁ」
     ネロとネラを撫でながら笑うのはこの猫達の飼い主、灰純だ。琥珀は思わずリヒトを庇うように立った。

    「……やってくれたな……」
    「なんの事です? 創の旦那も連れてきてくれるなんて。いやぁ、隣同士並べられますね!」
    「……」
     少しでも動いたら猫達が自分たちに飛びかかるだろう、先程から隙のない目がこちらを見ているから。フレイのエガキナだったら脱出できたというのに、そのフレイは今猫に踏まれており、エガキナを使う所ではない。
     どうすればいい、と思った時。誰かに足首を掴まれた。それはリヒトにも同じように。
    「え?」
    「わっ!」
     そのまま影の中に引きずり込まれた、急いで引っ張ってくれたからか、猫達が飛びついたと同時に消えた二人。一方、猫が離れたからかやっと起き上がることのできたフレイと創。

    「こんの猫………!」
    「あ、あれ、琥珀の旦那とリヒトは?」
    「あー! また逃げられた!」
     二人を横目に、灰純が悔しそうに地団駄を踏む。フレイはチャンスだ、とエガキナである地図を開こうとする。それを阻止しようとまた猫達が飛びつこうとしてきた。
    「うおっ! あぶね!」
     そのままぐるぐると鬼ごっこのように逃げ出すフレイ。そして何故か既に追いかけられている創もいた。
    「旦那! 引きつけろよ!」
    「無茶言うな!? 猫どんだけ速いか知ってる!?」

     そのころ、どさり、と落ちた先は自室だった。琥珀とリヒトを引っ張ったのはサクリだった。ぽかん、と状況が追いついてない二人に対して、呆れた顔をする。
    「……あの猫には気をつけろよ、知能が高いんだからな」
    「……ほんとすまん、助かった……」
    「ご、ごめんなさい。……ありがとうございました」
    「……あれ、創とフレイは?」
    「知らん」
     少しして、満身創痍でエガキナで琥珀の自室まで飛んできた創とフレイであった。
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