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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
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    ちょこ

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    エガキナ

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    ほんの少しの変化 創は待ち合わせ場所に着く前に、琥珀からの連絡に気づいた、どうやら少し用事が出来たから先に行ってて欲しいと。珍しく遅刻しないようにしていた創は、さてどうしようかと周りを見る。
     どこか暇つぶしにカフェにでも、と思った時、一人の女性に目が移り、ぱぁ、と笑顔になる。可愛い子だったからだ。服装からして学生なのは分かったが、それでもかわいい。長い髪をリボンで結んでるのも、スタイルの良さに思わず顔が緩む。創は見失わないように後を追いかけて声をかけた。

    「ねぇねぇ! 可愛いね! 暇ならさ、俺とお茶しない?」
    「え?」
     相手───集は突然ナンパしてきた集にキョトンとした顔で創を見た。その表情すら可愛いな、と創は顔を緩みきってニコニコと笑顔で集に笑いかける。
    「わぁ……。あは、おにーさん暇なんですか? 私、友達を待ってるんですけど…それまでならお話できますよ」
    「えー! うそー! いいのー? えへへこんな可愛い子とお茶できるの嬉しいなぁ」
     どう見ても集の反応はナンパしてきた創にどこか呆れてるようにも見えたが、創はそれに気づかず、なら早速とカフェに案内しようとした時、背中に痛みが走る。ぎっくり腰ではない、誰かに背中から殴られたのだ。

    「いった!」
    「お前ってやつは……! ……あ……」
     それは約束に少し遅れると連絡していた琥珀だった。琥珀は目の前にいる集を見て思わず顔を少し強ばらせたあと、蹲りそうになった創の頭を強く掴み、力いっぱい頭を下げた。
    「いた、こはく、痛いっ」
    「ほんと……このバカがすみませんでした……」
    「あは、いいよ。その人、もしかして万年コート君の知り合い?」
     集の言葉に、琥珀は微笑んだ。相変わらず、万年コート君という呼ばれ方には慣れない。
    「……あー、あの時話してた親友です。終わったあと見つかったんです」
    「……あー、あの時のね。てか生きてたんだ……あの口ぶりじゃてっきり……」
    「ねぇ! なになに? 二人とも知り合い? めっずらし、琥珀に女の子の知り合いねぇ」
    「お前は反省しろ」
    「痛い!」

     そう言って創を叩いた琥珀。呆れている琥珀に対して、頭をあげて不貞腐れそうになりつつも、口を尖らせて創は言った。
    「てかね、よく言われるんだよね。生きてたんだって、生きてますけどぉ! まぁいいや、自己紹介! 創って言いますー! 琥珀は俺と親友! よろしくね!」
    「え、あ」
     琥珀は思わず集の顔をちらりと見た、初めて知り合った時自分に名前を教えないようにして、と話していた事を思い出していたからだ。今創が高らかに自分の名前と琥珀の名前を言ってしまったが、大丈夫だったのかと。集の表情は、苦笑いをしていた。

    「…………、まぁ、こうなるよね……。よろしくお願いします。創さん、それに……琥珀くん?」
    「えへへー、よろしくぅー。あ、さんじゃなくて、くんって呼んで欲しいなぁ」
    「……よろしくお願いします」
     少し申し訳ないことをしてしまったような気がしたが、創は気づいてないのか、どこのカフェに連れていこうかという考えでいっぱいだった。そんな創に呆れていると、集が創に聞こえないようにか琥珀に言った。

    「フルネームじゃないからギリ大丈夫だよ。危険度が上がっただけ…。まぁ、フルネームを知られたところで君は私に好かれるだけだから、蔑ろにしてくれていいよ」
     集の言葉に、思わず琥珀は返した。
    「……少なくとも、あの時連れ戻してくれた貴方を蔑ろにするとか考えてなかったですけど……」
     そう、あの海で現実に戻してくれたのは他でもない集なのだ。もし、彼女が居なかったら自分は、創とこうして再会できたか分からない。
     確かに、女性は苦手だ。助けてくれた集にも、やはりどこか女性ゆえの恐怖心は持ってしまう。集は琥珀が女性が苦手なのを知っていた。それゆえの言葉だ、けれど、その言葉を言わせてしまったのは自分のせいだ。そんな自分が、一番最低だろう。
     琥珀の言葉に、集は笑った。

    「私の事苦手だろうに。あはは、君って本当にお人好しだ」
    「よく言われます。けれど、苦手だったらあの時協力してくれなんて言ってません。……それだけは、伝えたいです」
    「あれ、ふぅん? ふふ、意外と好いてくれてるって思ってもいいのかな?」
     そう言っていきなり顔を近づけた集に、心臓が飛び上がるほど驚いてしまった琥珀は、思わず創の後ろに隠れてしまった。
    「うお、琥珀? 久しぶりだなこれ」
    「と、突然、あの、顔は」
    「あ、ふふ。これも慣れて言って欲しいところだけどね」

     その時、ピロン、となにか聞こえた。何かの通知音にも聞こえたため、創と琥珀はお互いにスマートフォンを取り出した。けれど、特に通知は来ていない。
    「……? あれ、何も来てないや」
    「ならさっきの音は……?」
     お互いに顔を見合わせた時、集は誤魔化すように笑った。
    「あー! いや、何も無い。気にしないで欲しいな。今後も」
    「はぁ……?」
    「まぁまぁ。……それよりー、あそこのカフェ行こ!」
    「え、おいっ……!」
     創はそう笑うと琥珀と集の手を取り近くのカフェへと行く。そんな時、創は思った。あの琥珀が女性と話せてたな、と。前までだったら、すぐに気分が悪くなって、真っ青な顔で自分の服を掴んだというのに。
     少しずつ、変わってるのかな。なんて創はそう感じた。
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