Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 419

    ちょこ

    ☆quiet follow

    エガキナ

    認可信号組の高校時代の話

    ##エガキナ
    ##認可信号組

    少しでも知りたい、相手のこと 放課後、創はあてもなくフラフラと学校内の敷地内の外を歩いていた。没討伐が重なって中々授業に出ることが出来ず、学校側は認可である創ともう一人の、創の親友である琥珀に対しての理解があるからか、放課後時間がある時に補講を設けてくれていた。この学校側の対応に感謝しつつ、創の方が先に補講が終わり、あてもなくこのようにふらついていた。スマートフォンを見て時間を見る、そろそろ補講を受けている琥珀が終わるはず。教室に戻ろうかな、なんて思っていると何か物音が聞こえた。

    「……なんだ?」
     何か物が倒れたような音、創は眉を顰め、そっと足音を消して校舎の物陰を歩く。普段没討伐をしているからか、いくら学校といえど、もしかしたら没が現れたかもしれない。誰か巻き込まれたかもしれない。そっと万年筆を握る、一応想像力は今朝、学校に行く前にニジゲンから分けてもらっていたのだ。だからもしもの時は、何とか自分で対処出来る。そう思いつつ、そっと物陰から覗くと創は予想もしてなかった目の前の光景に、思わずあっけに取られた。
     そこには、地面に倒れ込んでいる生徒と、立っている生徒がいた。立っている生徒には見覚えがあった、見覚えもあるはず、最近転校してきた鈴鹿だったからだ。鈴鹿は息を乱してる様子がなく、倒れている生徒を見下ろしていた。先程の物音はもしかして、と思いつつ、そういえば鈴鹿にはある噂があったな、と思い出す。それは鈴鹿はよく喧嘩を買っていたという噂だ。鈴鹿に構っている創に対して、他の同級生が心配して声をかけたくらいだ。創は特に本気にしてなかった、あくまで噂は噂。自分で見ないことには、と思っていた。今限に、噂が本当だったことを目の当たりにしてしまったが。

     創の視線に気づいたのか、鈴鹿がこちらを向いて途端に顔色を変える。見られたからだろう。それよりも、創は気になっておもむろに鈴鹿に近づくと、腕を掴んだ。腕を掴まれた鈴鹿は振りほどこうとするが、創は手を離さなかった。
    「ちょ、なんだよ、突き出す気か」
    「その前に保健室な」
    「っ、おい!」
     鈴鹿が何か言っている気がしたが、聞かずに創は腕を引っ張ると校舎の中に入っていく。その間も鈴鹿は腕を振り払おうとするが、そんなことさせるか、と創は顔色変えずに腕を掴み続ける。保健室に入ると丁度先生はいなかった。創は棚を開けて湿布を見つけると、鈴鹿を座らせた。
    「背中見せて」
    「……なんで」
    「動きがおかしい、背中痛いんだろ。ほら」
    「……」
     創が睨んでいるからか、観念したのか鈴鹿は制服を脱ぐ。そして後ろを向いて創に背中を見せた。創の予測通り、背中は真っ赤に少し腫れていた。やっぱり、と思いつつ創は湿布を貼っていく。貼った後、創は背中を叩いた。
    「いった……!」
    「俺でよかったな? 琥珀だったらもっと露骨に嫌がったけど? んで? なんで喧嘩してたわけ?」
    「……別に、売られた喧嘩買っただけだ」
    「それ買うとか倒れてた生徒と同類だな」
     そう言った時、鈴鹿はおもむろに創の胸ぐらを掴んだ。掴まれてもなお、創は驚いた様子を見せず、冷静に鈴鹿を見ていた。
    「うるせぇな! お前に何がわかるんだよ! 俺の事知らないくせにつっこむな!」

     鈴鹿の言葉を聞いて、なるほど、と創の中で納得しつつ創は笑う。突然笑った創に、鈴鹿の方が思わず顔色を変える。馬鹿にされたのかと思っているのだろう、ますます不機嫌そうに顔を歪める鈴鹿に対して、創は口を開く。
    「知らないからさ、知りたいな。鈴鹿の事」
    「……は?」
     予想してなかった返答が来たからか、あっけに取られている鈴鹿を横目に、創は話を進める。
    「だって鈴鹿の事、知らないもん。お前なんか壁作ってるし……噂の事も聞いてたけど……俺は実際に目をしたのしか信じない。鈴鹿の事、知らないから知りたい。……俺の言葉、どっかおかしい?」
    「……」
     創の胸ぐらを掴む手が緩んでいるのを感じて、創はそっと鈴鹿の手を握る。
    「というか、俺さ、鈴鹿の家の事なんも知らないわけ! 認可なのにな! そもそも……家は家、鈴鹿は鈴鹿だろ? 俺は御手洗どうのこうのの鈴鹿より、『鈴鹿』本人を知りたい」

    ───だから教えて、お前のこと。

     創はそう言って笑う。鈴鹿の家の事を知らないのは本当だった。ぼんやりと水彩画で有名、くらいしか分からない。
    「言っとくけど! 琥珀もお前と仲良くなりたいって言ってたからな。琥珀も俺も、鈴鹿を知りたいからさ」
     言葉、信じて欲しいな。と創は鈴鹿の顔を見てそう言った。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    ちょこ

    DONEよそのこさんお借りしてます
     倒された落武者を見て終わった事を察した、里は刀を仕舞うと、燕志の元へ行く。まだ後ろ姿でしか見れてないが、息が上がっているのか肩が上下ゆっくりと動いているのが分かった。里は小走りで走ると、燕志に声をかけた。
    「えーじ……」
     里の声に気づいたのか、燕志が後ろをむく。怪我をしない日はないのではと言うほど、燕志はよく怪我をする。今もこうして、腕を斬られたのか一部服が血で滲んでおり、そこだけではなく他の所も怪我をしているのが見て分かった。これは看護班の所に連れていった方がいいな、とそう思った矢先に、燕志から唐突に抱き上げられた。
    「え、えーじ下ろして……」
    「……」
    「……えーじ……」
     これが初めてではなかった、落武者との戦闘が終わっても昂っているのか分からないのだが、こうして里の事を抱き上げるのだ。里としては、自分を抱き上げるより治療しに行って欲しいのだが、強く拒絶してはいけない気がして、あまり抵抗出来ないのだ。先程のように、一応下ろしてと言ったが、降ろされたことは無い。そうしているうちに、燕志は里を抱き上げたまま歩き出した。このまま看護班の所へ行くのだろう。
    1733

    recommended works