Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 403

    ちょこ

    ☆quiet follow

    高月

    素敵な作品の返歌です

    ##高月

    冬の星は何かをみつけて、気づいた「今日は何をしよっかー」
     訓練施設内で、大太刀を手に祀はニコニコと笑いつつ隣にいる冬星を見ていた。冬星は何度か祀からこうして稽古を付けてもらっていた、冬星は大太刀を使う訳では無いが、習って損はないだろう、との冬星なりの判断だった。後ろの壁に腕を組んでこちらを見ている鼎にぺこり、と頭を少し下げる。あまり話したことはないが、いつも祀と一緒にいることは知っていた。
    「……この前の立ち回りをもう少し上手くなりたいです」
    「あーあれ? 冬星くんもう十分だと思うけど……まぁいいや。それと並行して新しいの教えるねー」
    「分かりました」
     そう返事をした後、ふと上をむくと自分の双子の兄である渚月がこちらを見ていた。隣には小西家の五男である千惺もいた。何故ここに居るのだろう、と思っていると渚月がこちらに向けて手を振る。冬星が小さく手を振り返していると、後ろにいた鼎が二人に向けて怒鳴る声が聞こえていた時、祀が口を開く。
    「冬星くんはあんな風に話すの?」
    「……いえ、別に……」

     三人の様子が面白かったのか、祀は何となくそう聞いたのだろう。冬星は三人の様子を横目で見た後、目を伏せる。あの子が亡くなってからというもの、他人と話す事が格段に減ってしまった。周りも、変わってしまった冬星と、距離を置くようになったからのもあるだろう。なんせ、高月に来る前まで渚月以外との誰かと話した記憶もあまりない。
     チラリ、と隣にいる祀を見る。祀に関しては、今まで出会った人達とはまた違う気がした、祀が自殺未遂を何度もしているのは知っていた、それを止める権利は自分にはない。何度も自殺未遂をするということは、それ相応の理由があると思っていたのだ。自分も、死んだらあの子に会えるのでは、と何度も思っては、自分が惨めになってなぜ自分は生きているのだろう、と何度も思う。
     そう思うと、祀が何度も自殺未遂をしているのを見てしまうと、行動に移せる相手の事を、そう簡単に責めることが出来なかった。
     今更、自分が死んでも誰か悲しむというのだろう。けれど、もし祀が本当に自殺か、はたまた分霊が原因で死んだとしたら、嫌だなと思う自分もいた。その感情は、もしかしたら『悲しい』という感情なのかもしれない。
     自分が祀に向ける感情の名前がわからない。分かることは、この感情は悪い方の感情ではないのはわかっていた。けれど、分からない。
    「どうしたの、黙っちゃって」
     冬星が黙り込んでしまったからか、顔を覗き込むように祀が見てきた。それに少し驚き、後ろに下がりつつ、口を開く。
    「……少し考え事をしていただけです、すみません。手合わせお願いします」
    「おっけー、いいよ」

    「冬星、心ってどこに存在すると思う?」
    「え?」
     祀との手合わせが終わったあと、冬星を迎えに来た渚月と共に歩いている時、そう問いかけられた。心、そう呟いたあと、渚月の顔を見た。
    「……分からない」
    「本当に?」
     渚月が冬星を見てきた。冬星は渚月の言葉に思わず口を閉じる。心なんて、本当に分からないのだ。あの日から感情がどこか抜け落ちて、自分の気持ちなどぐちゃぐちゃになってしまった自分にとって、心など言われてもよく分からなかった。
    「冬星はわかってると思うけどね」
     まるで自分の心を読んだかのように、渚月は冬星の目を見て言った。
     分かってる? 自分が? と冬星はそんな訳がない、と言おうとしたが、いえなかった。なぜいえなかったのかは、分からない。一方、黙り込んでしまった冬星の頭を撫でる渚月。
    「ごめんね、お前を困らせたね」
    「……いや、大丈夫」
     渚月の事をちらりと見つつ、自分の服を強く握った。なぜ渚月が突然そんなことを言ったのか、ずっと考えたが分からなかった。心、と小さく冬星は呟いた。

     あぁ、今更わかるなんて。冬星は渚月から毒の札を貼られ、身体中が眠たく、だるく、目を開けるのがやっとになった時、ぼんやりとあの日の渚月の問いかけを思い出していた。
     心はどこに存在するか、それは自分自身から生まれる壁を取り払った先にある。と冬星は考えた。その壁は、自分自身で壊すことも出来る。けれど、誰かの言葉や行動が後押しされて、結果的にその心は、相手との信頼となるのだろう。あの時、分からなかった感情が、たった今わかった。
     自分は、祀の事を信頼したのだろう。信じれる相手と、分かっていたのだろう。自分の心の奥底の、吐き出せない気持ちを、相手なら分かってくれるかもしれないと。祀なら、わかってくれる気がしたのだ。それが、冬星なりの心というものなのだろう。
     本当に今更分かるなんて、と冬星は自分の鈍感さに呆れてしまった。祀の過去など知らない、何故あんなにも自殺未遂を繰り返すのかも分からない。
     けど、もしかしたら、祀も冬星に教えてくれる未来があったのかもしれない。だが、今、その未来は消える。自分の選んだ選択肢に後悔はない。渚月が死んだ後の自分が今後生きれる自信がない、だから渚月と心中する事に、抵抗などなかった。
    「……」
     今まで自分の人生が幸せだったかと言われると、あの子が死んだ後の人生は幸せだとはいえなかった。けれど、高月に来てからの人との出会いは、悪くなかったような気がする。自分は先に逝ってしまうが、どうか祀が自分のように死なないで欲しい、と冬星は目を閉じる。

     ──こちら側に来ないでくださいね、ずっと、自分の代わりに長く生きて欲しい。

     こう思ってしまうのは、自分のエゴなのだろう。けれど、本当の気持ちだ。何度自殺未遂されても構わない、けど、生きて欲しい。こんな考え、矛盾してるのかな、と冬星は遠のく意識の中、口を開いたが、言葉は出なかった。

     ──もし生まれ変わったら、  になって下さい。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    ちょこ

    DONEよその子さんお借りしてます
    二次創作
     その日は、雨が降りそうだと言わんばかりの曇天だった。昨日の天気予報では朝から晴れると言っていたはずなのに、いざ当日になったらこの天気だ。凪は頬杖をついて窓の外の風景をぼぅ、と眺めていた。この調子では晴れそうにない、凪はそう思ったあと椅子から立ち上がり、事務所に備え付けであるミニキッチンへと向かう。お湯を沸かせるくらいは出来るミニキッチンにて、お湯を沸かしコーヒーを淹れた後、コーヒーを飲み外を眺めた。
     何でも屋に定休日はない、依頼が来れば仕事の日になるし、来なかったとしても書類作業をする。ある意味気分で休みが決まると言っても過言ではなかった。そして凪は、二階にいる八重の所へ行こうかと考えていた。八重は朝から体調が優れないように見えた。凪から見たら休んだ方がいいなと感じたため、八重を休ませたのだ。当の本人は大丈夫だと言っていたが、それでも休ませた。依頼主が来る様子はない、なら八重のところに行こうと思った。事務所は二階建てのビルになっており、凪の居る一階は何でも屋の事務所で二階は居室スペースだ。コーヒーを飲み終わったマグカップを流しに置いた後、事務所を出る。
    2369

    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
    1309

    recommended works