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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    エガキナ

    よその子さんお借りしてます

    ##すずこは

    夏祭り カン、コン、と下駄の歩く音が心地よく耳に入る。今日は近くで夏祭りが開催されていた。琥珀も、鈴鹿から誘われて待ち合わせの場所へと行っていた。夕方とはいえ、まだ蒸し暑い気温と少しだけ生ぬるい風、それでも、昼間と比べるとやっと過ごしやすい時間帯、と言ってもいいだろう。琥珀とすれ違う人達は浴衣を着ているのが目立っていた。
     会場の入口まで行くと、丁度甚平に身を包んだ鈴鹿を見つけた。琥珀は笑顔になると、声をかけた。
    「鈴鹿、ごめん待たせた」
    「琥珀……。……すげー似合うな……」

     琥珀と顔を合わせた鈴鹿がそう言葉を漏らす。琥珀の今の格好は、普段着ることのない浴衣と、髪も赤とんぼ玉の簪でまとめていた。浴衣は以前、鈴鹿が行きつけの呉服屋で仕立てて貰ったものだった。浴衣の仕立てなど初めて、店主もいい人だった。この人も鈴鹿を支えてくれた人なのだろうな、と思いつつ店主と鈴鹿が選んでくれたのを思い出す。
     簪に関しては、一度鈴鹿には内緒で呉服屋に行った時に相談したのだ。浴衣を仕立てて貰っている時に簪を勧められたのだが、その時は断ったのだ。自分には似合わないだろう、という考えが強かったのだ。
     けれど、鈴鹿とこの夏祭りに行く時に、少し着飾ったら鈴鹿は褒めてくれるだろうか、なんて思ってしまったのだ。普段アクセサリーなどつけない琥珀であったが、好きな人から褒められたいだろう。

     その事を店主に話すのは些か気恥ずかしかったが、話をした時に店主は琥珀に勧めたいものがある、と綺麗な赤とんぼ玉で出来た簪を勧めたのだ。この前仕立てた浴衣にもよく合うはず、と。本当は一緒にあの時勧めたかったのだが、その時はまだ製作途中だったらしく、丁度いいタイミングで琥珀が相談しに来た、という事だった。
     男に簪はおかしくないだろうか、と不安の声を漏らしたが、店主だけではなくその場にいた従業員全員が似合う、と言われ思わず呆気にとられたものだ。
     そんなことを思い出していると、チャラ、と鈴鹿は簪の飾りを優しく触る。
    「簪、浴衣とすげー似合ってるな」
    「鈴鹿驚かせたくて、この間あのお店で買ったんだ」
     髪のまとめ方も店主から教えてもらった、ここまで来るのに何度か人からチラホラと、なんなら今も感じており居心地は悪かったが、鈴鹿から褒められるのは嬉しかった。
     そうすると、鈴鹿が琥珀の手を優しく握る。
    「行くか」
    「……うん」

     祭りの会場へと歩いていく、様々な屋台が並んでいたり、奥に入った広場では踊りや演目もあった。だが、人混みが多かったからか、鈴鹿とはぐれないように必然的に距離が近くなっていた。鈴鹿の手に力がこもったような気がした、自分とはぐれないように、としてくれてるのだろう。屋台で琥珀はりんご飴、鈴鹿は狐のお面を買った。
     今日は花火も上がると聞いていたが、これほど人が多いとゆっくり見れないだろうな、と琥珀がりんご飴を舐めながら考えていると、鈴鹿が口を開く。
    「琥珀、花火のことなんだけど。実は穴場見つけたからそこで見ないか?」
    「え、穴場なんてあったのか?」
    「こっち」
     そう言って鈴鹿は会場内を歩き、少し道に逸れた。大抵の人たちは、先程演目をしていた広場で見るのだが、ちょうど脇の道に入って歩くと、分かりにくかったがどうやら小さな小道があった。そこを歩くと、丁度小さな高台にでた。本当に人が訪れないのだろう、少しさびれたベンチが一つ、寂しそうにポツンと置かれていた。

    「こんなところあったんだな……」
    「……呉服屋の人から教えて貰った」
     鈴鹿の知り合いは全員、琥珀が鈴鹿の恋人であることを知っていた。そして皆、琥珀との仲を応援してくれていた。自分たち二人は、色んな人から見守られ応援されてるんだな、と思いつつベンチに座る。
     座って二人の間に会話はないが、琥珀はちらりと鈴鹿を見る。普段の格好と違うからか、新鮮で、キラキラと綺麗に見えた。そう見えた時、ドキ、と心臓が煩くなった。
     すると、鈴鹿と目が合う。

     そして、花火があがった。

    「あ、花火。よく見える」
    「綺麗だな」
     色んな色の花火が空を舞って、儚く消える。穴場と言うだけあって、とても綺麗に見えていた。まるで自分たち二人だけに用意された場所かのように、誰にも邪魔をされずに花火を見つめる。
     チラリ、と琥珀はまた鈴鹿をみる。花火の光で鈴鹿の髪、目などがいつもより綺麗に見えた。思わず、琥珀は鈴鹿の甚平の裾をそっと掴んだ。
    「……? 琥珀?」
     どうした? と鈴鹿が顔を向けた時、琥珀はそっと触れるだけのキスをした。琥珀は外では中々自分からキスなどしようとしない、人に見られたら、や恥ずかしいが勝るからだ。それらもあるからだろう、固まった様子の鈴鹿に対して、少し照れながら口を開く。
    「……綺麗だったから、その……」
    「……琥珀、もっと近づいて」
     ぎゅ、と鈴鹿は琥珀の背中に手を回す。鈴鹿が今からすることが分かった琥珀は、心臓の音が花火よりも煩い中、琥珀はそっと目を閉じた。
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    ちょこ

    DONEよその子さんお借りしてます
    二次創作
     その日は、雨が降りそうだと言わんばかりの曇天だった。昨日の天気予報では朝から晴れると言っていたはずなのに、いざ当日になったらこの天気だ。凪は頬杖をついて窓の外の風景をぼぅ、と眺めていた。この調子では晴れそうにない、凪はそう思ったあと椅子から立ち上がり、事務所に備え付けであるミニキッチンへと向かう。お湯を沸かせるくらいは出来るミニキッチンにて、お湯を沸かしコーヒーを淹れた後、コーヒーを飲み外を眺めた。
     何でも屋に定休日はない、依頼が来れば仕事の日になるし、来なかったとしても書類作業をする。ある意味気分で休みが決まると言っても過言ではなかった。そして凪は、二階にいる八重の所へ行こうかと考えていた。八重は朝から体調が優れないように見えた。凪から見たら休んだ方がいいなと感じたため、八重を休ませたのだ。当の本人は大丈夫だと言っていたが、それでも休ませた。依頼主が来る様子はない、なら八重のところに行こうと思った。事務所は二階建てのビルになっており、凪の居る一階は何でも屋の事務所で二階は居室スペースだ。コーヒーを飲み終わったマグカップを流しに置いた後、事務所を出る。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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