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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    よその子さんお借りしてます

    ##高月

    足掻いて、足掻いて、そして、約束は守るから 一体、この地獄はいつになったら終わってくれるのだ?

    「なん、だよ……あれ……」
     突然蘇ってきたあの時死んだはずの死者たち、皆口では逃げろ、と言っていたがこちら側を攻撃していた。見た目は天使のような輪っかを頭に浮かべていたのに、やり方はまるで悪魔のような、まるでコントロール出来てないように、人達を、かつての仲間である自分達を殺しにかかっていた。
     その時だ、上空に大型分霊が現れた。その分霊は、今まで自分たちが生死をかけて討伐してきた大型分霊の非でもないほどの存在だった。あれを倒せというのか? 高月上層部は完璧に破壊されたと誰かが話しているのを耳にした。侵入できないと思っていたのだが、この混乱で誰か侵入したのか? と瑞季は思ったが、それよりもと改めて刀を構えた。

     どうすればいい? どう戦えばいい? それよりも、自分たちが果たして戦えるのか? 手が震えてしまう。戦意喪失に似た感情が占めてしまった、このまま逃げてしまいたい。
     その時、瑞季の背中を力強く叩く人がいた。突然叩かれ、思わず体制を崩しそうになったが、なんとか倒れずに後ろをむく。瑞季の背中を叩いたのは、バディを組んでいる吏琉だった。
    「魂抜けてる相棒に気合い入れた、どうだ?」
    「……お前……」
    「やるだろ? 約束守れないじゃん」
    「……」
     こんな時でも約束を出すのか? と瑞季は言いそうになったがそれは言葉として発することが出来なかった。
     約束、それは目の前にいる吏琉とバディを組んだ頃にしたものだ。お互いの家は昔から仲が悪い、けど、その仲の悪さを、自分たちで終わらせよう、と。あの時、家から逃げたばかりの瑞季はそんな事できやしない、と言ったが、吏琉はそんな事ないと言った。
     現に自分とお前はお互いに信頼出来る仲になっている。だからバディを組むのも抵抗無かった。自分たちが出来たのなら、家を変えるのも出来るはずだ、と。
     その言葉を聞いて、吏琉の目を見て、なぜだか瑞季は本当に目の前の相手となら変えられるのでは? と思えてしまった。その時から始まった約束は、一度たりとも忘れることなく、今まで結んでいた。相変わらず家同士は仲が悪い、本当に仲良くなれるのか? の矢先にあの初めの大型分霊だ。そこから、有耶無耶になりつつも、吏琉はその約束を今持ってきた。
     吏琉は瑞季の返答を待ってるように見えた。周りは大惨事だというのに、不思議と、時が止まってるかのように静かに思えた。

     あぁ、なんで自分はさっき、即答出来なかったんだろうな。

    「……ここで死んだらお前との約束果たせないな」
    「勝手に死んで約束果たせないってなったらあの世まで追いかけてやるからな」
    「追いかけっこはやめろって」
     軽口を叩きながらも、他の職員が鳥居に攻撃しているのが目に見えた。あの時のように攻撃すればいいのだろうか、あの大型分霊の攻撃を避けながらの鳥居破壊は下手したら死にそうだ、と笑いつつ刀を握り直した。
    「お前に当たらないようにするから、瑞季は鳥居破壊に集中しな」
     吏琉はそう言ってくれたが、高月上層部がいないとなると、札の在庫に限りがあるのは安易に予想出来ていた。吏琉に無理させる訳には行かなかった。瑞季は鳥居に向け刀を振るった。刀で傷なんてつくのかと思われるだろうが、そんな事考えている暇などない。容赦なく分霊の攻撃がやってくる、肩を掠ったのか、痛みが走り、血が出てるようだったが、それでも構わず刀を振るった。
    「吏琉! 無理すんなよお前!」
    「大丈夫だからお前はそっち集中しろ!」

     吏琉には死んで欲しくなかった。もし、本当にどうしようもなくなった時は、吏琉を逃がそうと瑞季は考えていた。もしそれで自分が死んだとしても、吏琉が生きてくれていたらそれだけでいい。
     恐らく、そんな事をしたら吏琉は怒るだろう。目に見えてわかる、けど、吏琉なら自分との約束を果たせられると思うのだ。ほんの少しだけ、自分が居なくても、と思ってしまった。だが、すぐにその考えはやめた。お前がいないと意味が無い、と聞こえた気がしたから。
     もちろん、そんな未来にはさせるつもりもない。ましてや、この考えは吏琉には見透かされてるような気がしてならない。吏琉はそういう奴なのだ。
     刀が折れそうなほど、鳥居に攻撃を続ける。その合間にも大型分霊の攻撃をなんとか受け流しながら、最後まで足掻いてみせる、と瑞季は息を切らしながら手をとめなかった。

     足掻いて、足掻いて、そして、約束は守るから。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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