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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    にこく
    青柳の昔の話、なんで火傷をしたのか。
    よその子さんお借りしてます!

    「鴨居ー、鴨居ー! 遊びに来たー!」
    「よく来ますねぇ、本当に」
     狩呀温泉郷、青柳の親友である鴨居の両親が営んでいる温泉郷に、ほぼ毎日と言っていいほどに青柳は来ていた。元々、最初は青柳の両親がここにアクセサリーを卸しにくるのだが、それに毎回のように着いてきていた。アクセサリーを卸している両親を横目に、鴨居と遊んで温泉に入る、それが一種の習慣となりつつあった。
    「ここ広いし、まだ行ってないところ探検する!」
    「他のお客様もいるんです、迷惑にならないように」
    「分かってるって!」
    「……分かってるんですか、本当に……」
     鴨居が呆れている横で、青柳はタタタッ、と石畳の道をかけていく。あちらこちらに、温泉の湯気が出ており、中には湯気を利用して、野菜や卵を蒸してそれを食べることの出来る施設もあったり、足湯があったり、お土産屋なども並んでいる。狭い小道もあり、子供の青柳にとっては、恰好の探検場所なのだ。

    「……あ! この道通ったことない!」
    「あ、ちょっと、お待ちなさい……!」
     ふと目に付いた道を見つけ、そのまま走っていった青柳を追いかける鴨居。少し足場の悪い道を暫く走っていくと、青柳は所々に穴の空いた空間を見つけた。
    「……なんだろ、この穴」
     青柳は座り込んで、穴をのぞき込む。鼻から温泉特有の硫黄の香りが入った。そして、暖かい空気も伝わる。なんなら、少し湯気が出ていたからだ。
    「……んー……? 下に温泉のお湯でも通ってるのかな……?」
     もう少し見てみようかな、とじっと穴を見ていると、何やら少しずつ音が聞こえてくるような気がした。なんの音だろう、と思っていると、咄嗟に腕を掴まれ、後ろに強い力で引っ張られた。
    「危ない!」
     鴨居の普段聞かないような、切羽詰まった声と同時に、青柳の顔半分に熱湯よりも熱いお湯がいきなりかかった。
    「わあぁぁ!」
    「あ、っ……!」
     鴨居も、左腕にお湯がかかり、そこが赤くヒリヒリと熱を持っていたが、それよりも、と鴨居はすぐに大泣きしている青柳の顔の火傷を確認する。真っ赤に腫れ上がり、所々既に水膨れが出来ていた。誰が見ても、酷いやけどなのは分かりきっていた。
    「……目には辛うじて……けど周りが……早く病院に行かないと……」
    「かも、い、かもい、熱い、ひぐっ。顔、痛い……。……あ、かもい、も、腕……」
    「私の事はいいんです!」
     鴨居がそう言った後、誰かを呼ぶ。すると、どこにいたのか、黒服を来た体格のいい男達が出てきた。そして、鴨居と青柳を運ぶと、すぐさま病院へと連れて行かれた。

    「……あったなー! そんな事!」
    「そんな事、ではありませんけどね? 貴方、私がいなかったら失明してましたよ?」
    「えへへー」
    「いや、えへへではないですが?」
     温泉郷の休憩スペースで、昔話に花を咲かせていた鴨居と青柳。あの時の青柳は、あの後気絶してしまって覚えていなかったのだが、目が覚めたら病院のベッドで横になっていた。両親が大泣きしており、医者の説明もあまり分からなかった、が。鴨居がいなかったら危なかった、そして、顔の火傷の跡は、皮膚移植の手術をしても、元通りにはなりにくい、とだけは分かった。
    「……鴨居……ごめんなさい」
     左腕に包帯を巻かれている鴨居を見て、青柳は普段出さないような小さい声で、泣きそうな声で謝った。
    「……貴方らしくないですね」
    「だってぇ……鴨居の腕……」
    「泣かなくてよろしい。これからの事を考えなさい。目立ちますよ、顔の火傷は」
     化粧をして誤魔化す方法はある。けれどまだ青柳は子供だ。暫く、包帯を巻かなければならない生活が続くだろう。青柳はしばらく考えた後、閃いたのか口を開く。
    「髪伸ばす!」

     今、青柳の髪は、子供の頃は襟足ぐらいだったのが、高くポニーテールにしてもお尻に届くほど伸びている。前髪も、丁度火傷の跡が隠れるほどに伸びていた。なお、踏むから、とその髪をマフラーのように巻いているのはよく見る光景だ。そんな昔のことを思い出しながら、青柳は笑う。
    「鴨居、やっぱ変わらねーなーって思った」
    「貴方も大概ですよ」
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