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    amgoenir

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    ロスモ 原作軸、スモーカーがG5に移動する前の話です。ピアス描写あり。通常ファーストピアスには16Gを使います。

    #ロスモ
    rossmo

    子供とピアスだらだらとしたピロートーク。一字一句に意味はなく、セックスの余韻と微妙な眠気が言葉を紡いでいた。無駄に頭が冴えているから、腹の上に散った細胞のこととか、起きた時のこととか、G-5支部に持っていく荷物のこととか、少し先のことが頭の中に浮かんでは"今じゃなくていい"と先送りにして、また新たな何かを考えていた。
    「なんでピアス開けねえの?」
    「開ける意味もないだろ」
    ローは細くてぶ厚い耳たぶをいじりながら、頬のあたりに軽く口ずけをした。空いた手が下に降りて、ももの内側にを焦らすように撫でている。スモーカーは悩んだ後、どうでもいいと思っていた起きた時ことを優先してベッドから降りた。だいぶ減ってしまった吸い差しを口に戻せば、目の前にあるシャワーに向かうための気力が湧いてきた。後ろから舌打ちが聞こえてこないからローもあまりやる気がなかったのだろう。窮屈なシャワールーム。干からびた体液を洗い流した。ローとセックスするようになってからは、次に女を抱く時は体にかけないようにしようと思うようになった。ロギアだからか、煙だからか、何かがまとわりついているのは不快だ。服とは違って他人のものだからなのかもしれない。前に寝た女はそのまま眠っていたが、その前の女はシャワーを浴びていた。結局のところ人によって違うのだろう。そのまま中に出せる袋のようなものが開発されればいいと思ったがそれはそれで滑稽だ。どちらにせよ、踏みとどまらなければいけないのは挿入するほうだというのは未来永劫変わらないのだろう。
    再びベッドに戻ると、ローは寝息を立てていた。ひとつのベッドで寝る必要を考えて、一糸乱れぬ隣のベッドに寝転がる。あれだけ冴えていた頭も今では眠ることしか考えられない。ふと、帰ればよかったと後悔しても、閉じたまぶたをあげることはできなかった。日が昇る前に目覚めたスモーカーは宿代とまだ寝ているローを残してコートを羽織った。

    ローは本部に来ると目敏くスモーカーに声をかけていた。あれはどこだこれはどこだと聞いてくるが、返事は「海賊風情に渡す情報はねェ」のみ。違うとすればローが葉巻の火を消す時だけ。返答は火をつけるか、捨てるかのどちらかで、スモーカーがそれを捨てたらその夜は二人で過ごした。海賊だからと関係を切れないのは誘う時の子供のように縋る表情が理由なのかもしれないと、火を消される度に考える。死の外科医だなんて大層な名前をつけられているが、中身はただの寂しい子供。いやいや、そんなわけないだろう。と、悪びれも無く一口しか吸っていない葉巻の火を消したローを見た。
    「白猟屋」
    ああ、ほら、その顔だ。深いため息とともに葉巻を灰皿の上に置いた。

    「G-5に左遷されるんだって?」
    「なぜてめェが知ってる」
    「親切な海兵さんが教えてくれたんだよ」
    無駄話ではすまなそうなピロートーク。正確には左遷ではないが傍から見れば左遷も同然なので、事情を知らない海兵が勘違いしたのかもしれない。それはいい。だが海兵とあろうものが、王下七武海とはいえ海賊に情報を与えるなんて言語道断だ。眉間を抑えて今日一番のため息をついた。
    「優秀なスモーカー中将が左遷だなんて、俺と寝てるのがバレたのかもな」
    今日一番のため息が更新された。否定するのも面倒だ。
    「ああ。てめェと会うのも今日で終わりだ」
    「本当なのかよ…」
    「冗談だ」
    「どっちが」
    「セックスしたぐらいじゃ左遷なんかされねェよ」
    形を確かめるように両手でスモーカーの片耳をいじっている。もう一回戦という訳では無いらしい。
    「G-5か...」
    「だからなんだ」
    ローはRoomを展開すると、いつの間にか手にしていた刃物で耳を切り落とした。
    「動くな」
    覇気が込められているのか、能力で逃げられそうにない。ローは背を向けてベッドに腰掛けた。何かを破る音。冷たい布のようなものが耳たぶにふれると、続けて鈍い痛みが走った。押し広げられるような、熱く、質量がある痛み。初めてローとセックスした時と似ていた。
    「なにしやがった」
    「ピアス」
    「は?」
    自慢げにニードルが刺さった耳を見せつけてくる。こうやってクズ共が自慢げに集めているのを思い出した。
    「返せ」
    「ダメだ」
    「なら抜け」
    「抜けば出血する。あと10分は我慢するんだな」
    二度目の今日一番のため息を更新した。目の前の海賊はニードルに触れないように軟骨や穴の縁をいじっている。脈打つように熱と痛みが来るせいで何もわからなかったがだんだん波が引いてけば、いつものように愛撫されていた事がわかった。熱いのは耳だけで心は冷めきっていたから、快感もを得ることはなかったが。
    「抜くぞ」
    固まった血を剥がすようにニードルを回転させスルスルと抜いていく。一拍置いてカチャカチャと金属が取り付けられると顔の横にピッタリと耳もくっついた。ローは満足度に抱きついてきたが、普通に意味がわからない。痛いし、重いし、邪魔だ。
    「俺とお揃いにしといたから、変える時は12Gのやつを買えよ。ただし、1ヶ月はそれをつけてろ」
    「......そりャどうも」
    セックスよりも体力を使った気がする。前と変わらず乾いた精液が張り付いていたが、とてもシャワーを浴びるなんてことはできそうになかった。

    翌朝、珍しく早く起きていたローが得意げに手鏡を持ってきてスモーカーの横に寝転んだ。寝ぼけ眼を擦って見れば金色のフープピアスがピッタリとくっついていた。手鏡の角度がずらされローの耳を映すと二つ付いていたはずのピアスが無くなっていた。どう見てもファーストピアスにつけるものじゃない。
    「外すなよ」
    と言う声を無視してシャワールームに向かった。髪を洗う時に手が当たってまたじんじんと痛みだす。史上最悪のバスタイムだ。部屋に戻るとベッドはもぬけの殻でシーツには染み一つない。時計を見るとまだ余裕がある。存在を主張し続けるピアスを外そうと手をつけるが装飾品の構造なんてわからない。ただ痛いだけでよくあるボールや留め金の感触が伝わってこなかった。よけいに熱くなった耳をおさえて部下に詳しそうなやつことを思い出して宿を出た。

    「おい、あんたこのピアス外せるか?」
    「は、はい!」
    「頼む」
    指が通るほど穴を拡張している部下は、スモーカーのピアスを見て顔をしかめた。
    「いったいどうされたのですか、これ」
    「無理やり開けられた」
    「ロックですね...。外す時に出血すると思うので医務室に行きましょう」
    人の体に勝手に穴を開けるようなやつはただのサイコであってロックではない。ロックに生きているやつに失礼だと思った。
    真っ白なベッドに腰掛けると、アルコールのツンとした臭いが鼻につく。部下が慎重に針を外すと圧迫感が無くなった。カランと音がして、テーブルに置かれた血まみれになったピアスを見やると、不機嫌になったローの顔が思い浮んだ。少し上機嫌になって葉巻を取り出した。
    「医務室は禁煙ですのでもう少しだけ待っていてください」
    ガーゼを耳に当てて血を拭き取る部下は、案外しっかり者らしい。耳の大きさにカットされたバンドエイドを貼り付けると諸々の注意事項を述べた。
    「その、余計なことかもしれませんが、恋人さんとの関係を見直した方がいいと思います」
    「あァ、もう会わねェよ」
    「ならよかったです。ピアスは自傷行為ですから、それを人にやるだなんてありえないですからね」
    舌から覗くピアスに目を向けながら空返事をした。視線に気づいた部下は
    「俺のはファッションです」
    そう言って片付けを始めた。

    2.0mmの穴は目視で見えないほどになったが完全に塞がることは無かった。あれ以来すれ違うこともなかったし、G-5支部に来てからは噂のひとつも流れてこない。麦わらと同じく、息を潜めているのだろうか。
    冷めたコーヒーを飲み干して、不気味なほどに平和な海へ見回るために十手を掴んだ。
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    amgoenir

    DONEアイスバースロスモ。去年書いたやつを修正したやつです。死にません。
    そしてまた、二人は出会う。その日はうだるような暑さだった。ジュースに入った氷も一瞬で蒸発してしまうような、そんな日だった。

    「スモやん冷てえ。最高」
    ベタベタと男が男に張り付いていた。まさに地獄絵図。たしぎはドン引き。スモーカーは青筋を何本も立て拳を握り、ドカドカ殴りかかっていた。海兵の汗で沈没しそなほど異常に暑い中、冷たいと言われた男は汗ひとつかいていなかった。
    スモーカーは、体温が異常に低い体質をしていた。世間ではそれをアイスと呼ぶ。アイスは数千人に1人の割合で生まれる珍しい人間だ。気温に左右されず汗もかかなければ凍えもしない。生まれた時から低体温を保ち続ける。そんな体質だ。そして対となるジュースと呼ばれる体質がある。こちらは数万人に1人生まれるかどうかというアイスよりも希少な人間だ。ジュースは普通の人間とほぼ同じ。しかし決定的に違うのは、恋愛を封じられたことだった。ジュースは特定のアイスにしか恋心を抱けない。しかしそのアイスと結ばれた時、アイスは恋という熱で溶けて無くなってしまう。ジュースはその時初めて、自分がジュースだと自覚できる。出会ったが最後、永遠にひとつになることの無い悲しき運命を背負っていた。
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