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    amgoenir

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    #ロスモ
    rossmo

    瓶パフェ渡された買い出し用のメモには、
    ・ホイップクリーム
    ・マーブルチョコ
    ・ミックスナッツ
    ・好きなアイス 3種類(カップのやつ)
    (ドライアイスをつけてくること)
    ・無糖コーンフレーク
    ・甘い系のお菓子
    と書かれていた。ぽいぽいと買い物かごに入れてお会計をし帰宅すると、サイコロサイズに切り分けられたスポンジケーキと綺麗にカットされた果物、そした大きめの瓶が二つ用意されていた。
    「パフェを作るぞ。白猟屋」
    ローはスモーカーの手からマイバックを奪い取り、アイスのメーカーを見て少し不満げな顔をした。こいつ...。
    「希望があるなら先に言え。バカ。で、パフェってなんだ」
    「見りゃわかんだろうが」
    次々とお菓子が皿の上に盛られていく。それをこの瓶に詰めろということなのだろう。
    「できたやつは交換するからな」
    「はいはい」
    ローは既に完成系が思い浮かんでいるのか、迷ったりせずにせっせと詰めていく。
    さて、自分はどうしようか。ヨーグルトベースにしてさっぱり系のパフェにするか、チョコレートベースの濃厚系のパフェにするか。うーん。チョコレート系で攻めよう。スポンジケーキを適当に放り込み、チョコレートソースと一緒に混ぜる。少しふやけたスポンジを箸で並べ、ホイップクリームで隙間を埋めた。ハッと閃く。積んでいこうと。食べるのはローだから問題ない。台所からピンセットを取ってきて、アポロチョコレートを三つ並べた上にクッキーを乗せる。安定を越したド安定。どれも同じ形をしているし厚さもある。イージーモードすぎないか?
    「アイス用のスプーンって持ってきたか?」
    アイス、そうか、アイスか...。
    キッチンからスプーンを取り、ローより先にチョコレートアイスをクッキーの上に乗せる。二段目が斜めになり、時間制限も付いた。よし、と呟いてローにスプーンを渡した。
    アイスによるタイムアタックはなかなかスリリングだった。土台が崩れるなんてことはなかったものの、徐々に斜めになる感覚は楽しいもので、気づけば瓶のふちまで積み上がっていた。隙間にマーブルチョコやホイップクリームを詰め込み、瓶の蓋を閉めた。ローがジト目で見ているが、素知らぬふりをして前に突き出した。ローは席を立ってキッチンに向かう。どうやら相当前に完成していたらしく、冷凍庫に入れてたようだ。わざと音を立て前に置かれる。若干気まずいが、まあ仕方ない。ローの瓶は外見も凝っていてフルーツとクリームの層が綺麗にできている。蓋を開けると白い平面の上にマーブルチョコレートが均等に置かれてポップなポスターのようだ。
    「いただきます」
    「いただきます」
    上からすくって食べ進めていけば、甘味と酸味がバランスよく配置されていて飽きない作りになっている。スプーンは止まることなく瓶が空になった。
    「美味かった」
    「だろうな。それに比べてあんたのパフェは三十点だ白猟屋。クリームは多いし、クッキーは邪魔だし、アイスはほとんど溶けてるし、バランスが全然なってない。俺はコーヒーを要求する」
    「...悪かったよ」
    「いいことを教えてやる。悪かったと謝るやつは大抵そう思ってない」
    「スミマセンデシタ」
    「右の棚の奥に隠してあるやつで許してやる」
    クソこいつ...と悪態をつくも自業自得なので大人しく少ししか減っていないコーヒー豆をマシンにセットした。少しすれば苦味の乗ったいい匂いが広がる。
    「ロー、タバコ」
    「ダメだ」
    「電子は?」
    「ダメだ」
    謝罪中なので大人しくローに従う。でも今吸ったら絶対美味い。
    「ダメだからな」
    「......わーってるって」
    サーバーに充分溜まったのを確認して、大きめのマグカップを取り出す。七分目まで注いで、余ったホイップクリームを絞りチョコレートソースをかけてやる。お子様ローくんにはこれがちょうどいいだろう。
    「まるで反省の色が見えない」
    「なるほど、こんなんじゃおれの気持ちは伝わらねェか」
    ホイップを追加し、ポッキーを二本、クッキーを半分に割って片方は砕いてふりかけ、片方はポッキーの隣に刺してやった。
    「夜、覚えておけよ。白猟屋」
    ひらひら手を振って、ベランダに出た。
    タバコに火をつけ煙を蒸す。今日もタバコが美味い。つまり、今日も幸せだ。
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    PROGRESS6月25日(日) 東京ビッグサイトにて行われるプチオンリー「極上の1杯を貴女に」で頒布を予定している、名探偵コナン/降谷零 夢小説のサンプルです。
    本文中、何度か視点が切り替わります。

    [あらすじ]
    黒ずくめの組織の壊滅まであと少し。
    妻を守るために自身の死を偽装し別れた降谷と、彼を亡くした日常のなかで必死に生きようとする妻が、もう一度出会うまでのおはなし。
    ハッピーエンド。
    拝啓 春へ置き去りにしたあなたへ おしまいはほんとうに突然で、それはよく澄んだ、春のおわりだった。

    「ご無沙汰しております」
     警察官の夫と、私と、それから子犬のハロ。ふたりと一匹暮らしのマンションに突然訪れたのは、篤実そうな男性だった。
     夫の部下だという男性は、『風見』さんと名乗った。彼と顔を合わせるのは確か、これが二度目。高い背丈と、あのひととは正反対に吊り上がった瞳がつよく印象に残っている。
     どうぞこちらへ。そう室内へ促した私に、春の空気をまとった彼は、ただ首を横に振った。
    「きょうは、こちらをお届けに伺ったんです」
     そうして手渡されたのは、真っ白な陶器の蓋物だった。私の両手のひらにちょうどぴったり収まるほどの、つるりと丸くて軽いそれ。薄い生成りで包まれているのに氷みたいに冷たくて、受け取った途端、言いようのない焦燥感が背を駆け抜けた。
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