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    Tonomi_ygr

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    Tonomi_ygr

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    八真 オーダーメイドのスーツをましたさんにプレゼントするおじさんが書きたかったのですがしっくり来ないので没です

    ◆仕立ての話

    「真下。背中、破けてるぞ」
     八敷がそう声をあげたのは買い出しに行こうと玄関の重い扉を開けようとした時だった。言われてジャケットを脱いで確認してみる。さほど大きい穴というわけではないが、何かが引っかかったような傷から生地が裂けている。
    「参ったな。これしかないわけじゃないが……新しいもんでも買うか」
    「なら、これから見に行くか?」
    「そうだな。どうせ大した予定もないし……」
     買い出しと言ってもどうせ数日分の食料くらいでこの後も予定はなく、二人でたまにはゆっくりしようかなどと話していたところだ。タイミングとしては丁度良い。
    「真下はいつもどこでスーツを買っていたんだ?」
    「量販店だ。現場を駆け回ったりホシを追っている内にこうしてだめにしてしまうことが多々あるから安物でいいんだよ」
    「そうか。ふむ……」
     ハンドルを握っていた八敷が何かを考えるように髭を撫で、手帳を取り出しパラパラとめくる。それを不思議そうに真下が眺めていると、しばらくして手帳を閉じいつもとは反対方向へとハンドルを切った。
     向かう先は八敷に任せているので口出しこそしないが、見える景色がどんどん都心に近付いてきて何やら嫌な予感がした。
    「おい、八敷どこへ……」
    「ん? 俺が……というよりも九条家が世話になっているオーダースーツの専門店だよ」
    「ばっ……」
     オーダースーツの専門店? 聞き慣れない響きに血の気が引いたような気がした。なんだって八敷はそんなところに連れていこうとするんだろうか。
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