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    まろんじ

    主に作業進捗を上げるところ 今は典鬼が多い

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    まろんじ

    DOODLE【エルモリ】ヴィクター・モリアーティ観察日記 ハロウィンの日 教授視点10月31日

     まだこんなものを書いているのですか。
     これで何冊目になるのです? この行為に何の意義があるのですか?
     私の様子を書き留めることがそんなに刺激的なのですか? では、私が私の様子を書き留めれば同様の刺激を得られますか? そのような刺激は決して得たくなどありませんが。
     ともかく、ハロウィンに研究所へ菓子をねだりに来るのはやめろと言ったはずです。名探偵を自称する貴方の記憶力でも忘れる可能性もあるかと思い、こうして貴方の日記とやらに苦情を書き残しておくことにしました。必ず目を通しておくように。さもなくば、私のマキナがこの日記帳を哀れな姿にします。貴方本人を哀れな姿にしないのは最後の慈悲です。
     毎年貴方へのハロウィン対策をしては、それをすり抜けられる身にもなってください。今年は、菓子を与えつつ体の動きを奪おうと、天井を開いて頭上から菓子を大量に降らせるように研究所を改造工事しました。これでしばらくは動けまいと菓子の山から背を向けようとしたら、何かが動くのが見えたのです。
     焦げ茶色の傘が、大きなきのこのようにニョキ、と山から頭を出していました。傘の下から覗いた顔の、満足そ 1144

    まろんじ

    PROGRESS星の声18──ここまで話してから気付いたけれど……七緒には、彼女の話を聞かせない方がいいのだろうか。
     聞いていて辛くなるようなら、次のトラックまでスキップして欲しい。それが最後のメッセージだ。
     彼女からどんな理不尽な目に遭わされても尚、七緒が彼女を慕っているのは、俺もよく知っている。
    俺のように広い世界を自分の目で見て歩いて触れる日が、お前にも必ずやって来る。俺が言うと、お前は微笑んだのだ。「うん、楽しみにしてる。そのときは、お母さまとクロも一緒に行こうね」。一人では寂しいだとか、どう歩けばいいか分からないだとか、そういった理由だったのかもはしれない。けれど、七緒が当たり前のように彼女を、人生を共にする家族と思っているのを見ると……俺は、罪悪感で胸がいっぱいになる。
    彼女を慕わずにはいられない、というのもあるのだろうな。十になったばかりのお前はまだ、大人の手を必要とする子どもだ。何から何まで世話が必要な赤ん坊ではなくとも、大人からの情というものをお前は注がれなくてはならない。ただ、彼女のそれは時にお前を苦しめている。傍にいることしかしてやれなくて、本当にすまない。
     俺がいなくなった後、お前 708