愛した人「木兎さん、起きてくださいよ。」
彼は眠そうに目を擦る。それから枕元のスマホで時計を見る。時計は9時半を示していた。
「あ、起きた起きた。朝ごはんどうしましょうか?」
そのまま何も返事をしないまま、彼は寝室を後にする。バシャバシャと水の音がする。顔を洗っているのだろうか。仕方が無いので先にリビングに行く。トーストとコーヒーを2人分。ちょうど目玉焼きが焼きあがった頃に、彼はリビングに来る。まだ眠たいのだろうか、ぼーっとしているようだ。
「木兎さん、いくら眠いからって無視しないでください。さすがの俺でも怒りますからね。」
返事はかえってこないが、まぁ分かってはいるのだろう。
「じゃ、いただきます。」
いつも朝は米派の赤葦だが、木兎はパンの方が好きらしいのでたまにはトーストも悪くないだろう。あまり自分で焼くことがなかったので、すこしコゲている。
1960