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    mame

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    プロヒ爆轟(全年齢)
    「ベッドから出られない爆轟の話」

    足先を擦り合わすと肩までかけていた布団がずれ、肌寒さを感じる。轟はまだ重たい瞼を無理やり押し上げて、もぞりと顔を動かしヘッドボードの時計を見やった。はらりと落ちてきた横髪が鼻にかかってむず痒い。それを雑に払い除けて時刻を確認する。
     現在、朝の六時四十三分。昨夜きっちり閉めた遮光カーテンからは少しの光も漏れていない。カーテンなんてなんでもいいだろ、という轟に対し、寝室は絶対に一級の遮光カーテンじゃないとダメだと譲らなかった爆豪のお陰で、轟は案外夜になっても明るい住宅街で早い時間からでも安眠を貪ることができている。
     今日はプロヒーローとして活躍するふたりのオフが珍しく合った。特に何をするかは互いにここ数日忙しく話せていないが、どうせ手が回っていなかった家の中の掃除から始まるのだろう。それでも同じ時間を過ごせるならいいと思う。
     上体をむくりと起こしてから轟はまだ覚醒し切らない脳で隣で眠る爆豪に視線を落とす。眠っている時は比較的穏やかな顔をしている爆豪だが、いま轟の視界に入る爆豪の表情は少々険しい。
     寝苦しいのだろうかと暗いままの部屋の環境を確認してみた。キングサイズのベッドで寝室はほぼ埋まっているが、そのおかげでガタイの良い成人男性がふたり一緒に寝ても問題ない程のゆとりがあるためその線はない。
     じゃあなんだ、と轟は首を傾げる。昨夜、轟がベッドに入った時はひとりだった。爆豪からは遅くなる、とスマートフォンに連絡が入っていたので今日は休みだしと働き詰めだったこともあり、さっさと寝たのだ。ただ、爆豪がいつ帰ってきたかまったくわからなかった。もしかしたら明け方に帰ってきて熟睡できていないのかもしれない。
     その線が強そうだな、と答えを勝手に仮定する。もしそうだったとしたら昼前まで起きないかもしれない。そうだったら家の掃除は済ませといてやるか、なんて思いながら、轟はトイレ行ってからコーヒーでも淹れようと足をベッドから下ろそうとした──その時。

    「出んな」

     ぱしりと手首を掴まれる感触。皮が熱い掌はこれまで何度も限界を突破して個性を酷使されてきた証拠だ。いきなりの行動に驚き、轟が目を見開いて爆豪を見やれば、眉間の皺を深くし身体を先ほどよりも縮こませている。

    「さみい」

     瞼は閉じられたまま爆豪が淡々と告げた。その様子が面白くて、轟は自身の口元を緩める。

    「俺は湯たんぽか」
    「……強いて言うならカイロ」
    「もう七時だぞ」
    「俺が寝たのは五時だわ」
    「俺は日を跨ぐ前に寝た……そんな遅かったのか、おつかれ」
    「おー」
    「別に爆豪は昼前まで寝てていいぞ。部屋の掃除もしとく」

     意外にも柔らかいミルクティーのような色の髪の毛を撫でる。緩んだ轟の口元はいつのまにか小さな笑みを浮かべていて、無意識のうちに笑っていた自分に気付き轟は改めて笑う。
     爆豪の薄い瞼が僅かに開いた。暗さに目が慣れた轟は、眉間に作った皺はそのままに赤い瞳が轟の姿を捉えたのを理解した。

    「じゃなくて」
    「ああ」
    「テメーもここにいろってことだ」
    「おお」

     むっつりした表情で言ってくる爆豪が面白くて、轟はバレないように肩を震わせた。もちろんバレて爆豪のむっつり具合は上がったわけだけど。どうやら、この男。珍しく甘えているらしい。

    「寒いから?」
    「さみーから」

     寒さを理由にされてはしょうがない。轟としてはしっかり寝たので活動したいが、こんな日があってもいいのかもしれない。
     そっと轟は爆豪の手を自身の手から外し、足をベッドから下ろす。シーツの上にぼとりと落とされた爆豪の手がずいぶん寂しそうで、爆豪からの非難めいた視線が大変痛くて、轟はとうとう我慢できずくしゃりと笑った。

    「トイレ行って飲み物持って戻ってくる」
    「……おー」

     轟の言葉にやっと納得できたらしい爆豪がもぞりと寝返りを打ち、轟に背を向けた。つまり戻ってきたらこの背中に抱きつけということだな、と理解し、綻ばせたままの唇で弧を描く。
     ぺたりとフローリングに素足をつけて、轟はそっと寝室を出た。ひんやりとした廊下にほんの少し肩をすくめて、飲み物は牛乳たっぷりのホットカフェオレにしようと決めたのだった。
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