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    mame

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    mame

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    超GLC2023夏の無配でした!

    #腐向け
    Rot
    #ルサン
    lucerne

    原作軸/夏のルサン「あっちィ~……」
    「舌をしまえ、舌を」
     じりじりと肌を焼く日差し。水分を過分に含んだ空気。不快感マックスな状態に、サンジの隣を歩くルフィは体を曲げ手をぶらりと垂れ下げている。
    「これは体温調節してんだ」
    「仕入れたばっかの知識を披露してるとこわりィが、てめェ一応人間だろ。それで体温調節はできねえぞ。アホ船長」
    「はえー? でもチョッパーがよ」
    「トナカイは汗腺がねェ。だからああやって体温調節してンだよ。ルフィは汗かくだろうが」
    「かく……そうなのか……ちぇっ、無駄に喉乾いちまった」
     ルフィがげんなりとした表情をする。相変わらず口から舌は出たままで、そういやコイツ今日に限らずよく舌出してるよなあ、なんて思う。
     昨日、サウザンド・サニー号は夏島の海域に入った。天候が晴れているのはいいものの湿度が異様に高く、あまりにもジメジメとしていて、まず真っ先に頼みの綱であるチョッパーがダウンした。毛皮が脱ぎてェと呻き、かわいそうに少しでも熱を放出しようと舌を出しながら。
     現在はウソップとフランキーが大急ぎで作った冷風機にあたりながら、サンジが用意したスポーツドリンクを飲んで医務室で回復中だ。ナミとロビンが看病していることについては回復後話し合いをしなければならないが。
     チョッパーにドリンクを用意したあと、この暑さなら全員こまめに水分補給するためスポーツドリンクの用意がもっと必要だな、とサンジが悩んでいたところ、ルフィが見張り台から海図にない島を見つけた。
     渡りに船だ、と材料の買い出しにさくっといってこようと空中歩行をするべく空気を数回蹴った瞬間、甲板から手を伸ばし、サンジにしがみついてきた。誰がって、もちろんルフィがだ。「おれも行く!」と勢いよく、大変よく伸びる腕を伸ばし腹に巻きついてきたのだ。
     邪魔だと蹴り落そうにもすでに海の上で、蹴り落したところで救出しに行くのも己で、サンジは「あっちィんだよ、クソゴム!」と悪態をつきながら、しぶしぶルフィを同行させ、今に至るわけだ。
     しかし本当に暑い。道路に並ぶ市場の店主たちも帽子をかぶり、うちわを仰いでいる。地面が熱気でゆらゆらと揺れていて、ルフィが参るのもわかる。がっくり項垂れるルフィに肩を竦めたサンジも、さすがにこの気候はキツイ。故に本日はスーツではなくTシャツハーフパンツスタイルだ。医者であるチョッパーが倒れた今、コックであるサンジまでいないとなれば、麦わらの一味の健やかな船上生活が崩壊してしまう。だからさっさと材料を調達し船に帰らなければならないの、だが――……ちらりとルフィを横目で見る。
     この暑い中なんでついてきたんだ、とか、思ったりもするのだが。言ってしまえば、この暑い中でもついてきてくれたわけで。サンジは煙草を咥えながら顎を軽く上げてううん、と眉間に皺を寄せる。
     WCIから戻って以降、ルフィはあまりサンジをひとりにしない。またサンジが勝手にどこかに行ってしまう、なんて心配しているわけなどではない。それはサンジにもわかる。わかるのだが、ルフィの本能がいまはサンジをひとりにしない方がいいとでも思っているのだろうか。
     そんな感じで、当たり前にルフィはサンジの隣にいるのだ。
     おかげでふとした拍子に思い出してしまうようになった過去の忌まわしい記憶にメンタルが引きずられることもなく、正直助かっているわけで。
    「船待たせてるからな……あんまり長居できねえ。休憩は無しだ」
    「うへー……でもしょうがねえよなァ」
     麦わら帽子の大きな鍔の下で、ルフィがしょんぼりとする。しかし腐っても船長。早く帰った方がいいのはわかっているらしい。どんなときでも仲間のための目的は見失わないやつだ。今回の買い出しもチョッパーや一味のためと理解しているのだろう。
     強い日差しがルフィの顔に作られた帽子の影を濃くする。普段冒険だ! と島に着くなり飛び出していく船長が隣にいる。それが、なんだか。なんというか。ベビースモーカーであるサンジが、自分の口元にタバコがないことに今更気付くくらいには。
    「……けどまあ、飲みながら歩くってんなら、あそこに売ってる飲み物を麗しのナミさんから頂いたおれの小遣いで買ってやらんでもねェ」
     自然、唇がとがってしまうのはしょうがない。なにせ隣でパッと顔を上げ、きらきらとした表情でルフィがサンジの横顔を見上げてくるのだから。
    「い、いいのかァ~~~~!? サンジィ~~~~!!」
    「だァ! あつい! 引っ付くな! 買わねェぞ!」
    「いやだ! でも嬉しいから引っ付きてェ! でもあちい!」
    「だから離れろって言ってんだろ!!」
    「サンジィ~~~~!」
     ぎゃあぎゃあ騒ぎながら、道を進む。引っ付き引っ付かれ、悪態をつきながらも先ほどより足取りはなぜか軽い。タバコを咥え、火をつけて。サンジは全力で引っ付いてくるルフィを引き離そうとしながら、微笑ましそうにみてくる島の住人からの視線を気づかなかったことにした。
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