mame 小話ぽいぽいしますリアクションとっても嬉しいです。ありがとうございます! ☆quiet follow Send AirSkeb request Gift Yell with Emoji POIPOI 100
mameDONEおみくじ:快新快※パスは解除しました左右は好きに読んでください。大学生設定。 mameDONEおみくじ:千ゲンSS※パス解除しました原作完結後のふたり。 mameDONEおみくじ:出ロデSS※パス解除しました未来捏造、プロヒ×パイロット mameDONEおみくじ:爆轟SS※パス解除しましたプロヒ同棲中のふたり Hide ads with PoiPass! mameDONEおみくじ:コラロSS※パス解除しました既刊のふたり(おにぎり屋さんのコラさんと高校生のロー)の未来軸の話です。ローがお医者さんになっています。 mameDONEおみくじ:エーサボSS※パス解除しました現パロのふたり。2023おみくじ:エーサボ 息を切らしながら冷たい地面を蹴る。吐き出す息は真っ白で、巻いていたマフラーはさっき取っ払った。手に持っているのも邪魔だが、弟からもらったプレゼントのため邪険にもできない。 人混みを縫うように走り抜け、エースはちらりとスマートフォンの画面をみた。バナー通知には待ち合わせ相手であるサボの名前が表示されていて「別に焦んなくていいからな」なんてメッセージも届いていた。その言葉に走っている負荷とは別にエースの胸の奥が締め付けられた気がした――そう。いま、エースは絶賛、恋人であるサボとの待ち合わせに遅刻中なのである。 言い訳をさせてもらうと、バイトのシフトが予想外に長引いてしまった。ただそれだけだ。 一月一日のエースの誕生日をサボが祝うようになってくれてから、もう数年になるが、毎年全力でサボが祝ってくれるので、あんまり自身の誕生日にポジティブな印象を持っていなかったエースも楽しみになってきたくらいだ。 2650 mameDONEおみくじ:ルサンSS※パス解除しました新刊と同設定のふたりですが、入籍して一緒に住んでるけど惚れた腫れたの関係ではおそらくない転生ルサン(サンジは店をやっててルフィは写真家)ということだけ把握していれば単品でも読めると思います。2023おみくじ:ルサン クリスマスから晦日にかけてサンジは家にほぼ帰ってこない。 なにせクリスマスのオードブルの予約をとり、年末の年越しそばを手打ちし、大晦日の受け取りに合わせて年始のおせちの準備をするのだ。しかも、ひとりで、店を通常営業しながら。 一緒に住みはじめた年は「やりすぎだろ!?」とさすがのルフィも度肝を抜かれたし、サンジ本人もやり過ぎたかもしれねェと大晦日の朝、屍のようになっていた。 へろへろになりながらもやけに楽しそうなサンジにこれはダメな気がする、と、ルフィが手伝いとして慌ててナミを呼び寄せたのはもはや懐かしい話だ。サンジ、ルフィ、ナミの三人でおせちと年越しそばの受け渡しを終え、御礼にお茶でもとナミをサンジが誘ったところ、サンジはナミに正座をさせられしっかり説教を食らった。 2388 mameDONE付き合ってない出ロデ プロヒ×パイロット前編:https://poipiku.com/1356905/5737838.htmlノック・ノック・ノック② さて即席で用意できるピッキング道具と言えばヘアピンなんかがド定番なのだが、昔は妹のヘアアレンジのために常に持ち歩いていたロディだったが、その妹が大きくなった今ポケットに入っているはずもない。腰に手を当てながらぐるりと柵の中を見渡せば、荒れたコンクリートの隅に投げ捨てられているビニール袋を見つけた。ピノが先に飛んでビニール袋に危険そうなものが入っていないか確認してくれ、こちらに目配せをする。まったく頼りになる。 「なんかいいのあったか」 「ピュル……」 「微妙?」 しゃがみこんでビニール袋の口を人差し指で開くと、中にはコンビニおにぎりを包んでいたらしい包装の残骸。そして紙パックに刺されっぱなしのストロー、水分がとんでカラカラのおしぼり。明らかな誰かの食事後にでたゴミである。 7434 mameDONE出ロデ プロヒ×パイロット※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり設定・過去作( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)完結の巻(後編)前編はhttps://poipiku.com/1356905/6192603.html 展望デッキ、と書かれている案内を頼りにたどり着いたそこは随分と開けた場所だった。 ターミナルの六階に設置された展望デッキは、ごげちゃいろの板張りの床が滑走路に沿って長く伸びている。眼下には旅客機が何機も並んでいて、出久が周りをみている今も一機、滑走路を離れ、轟音とともに空へ羽ばたいていった。 「こんなとこあったんだなあ……」 本日の天候は晴れ。真冬は過ぎ、わずかにソメイヨシノの蕾がつきはじめた。開花まではまだ時間がかかるが、ずいぶんと過ごしやすくなった。しかし飛行機が離陸すると同時に巻き起こる風はまだまだ冷たい。 空の下にある展望デッキには薄手のアウターを来た利用客がぱらぱらといて、中にはカメラを構える人もいた。一組一組の間に距離がしっかりあって、会話を聞かれることはないだろう。いい意味で他人に無関心であれる場所だなと思った。カメラを持っている人は飛行機を撮るんだろうか、とまた一機大空に向かって飛び立っていく飛行機を見上げていれば、後ろから声を掛けられる。 11749 mameDONE出ロデ プロヒ×パイロット※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり設定・過去作( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)完結の巻(前編) 出久がロディの制服姿を見るのは二度目になる。 一度目は再会当日。そして今回が二度目――に、なる、はずだ。出久の計画通り、ことが進めばの話だけれど。 国際便の受付カウンターがある広いロビーの椅子に、落ち着かない様子で出久はマスクを外さないまま腰を落とす。顔の半分が隠れていたら、案外ヒーローがプライベートで空港にいてもバレないものだ。 ざわざわと騒がしいロビーには午前中ということもあり随分と人が多い。あの家族はどこに行くんだろうなあ、なんて視界に入った楽し気な一家を眺め、マスクの下で口元を緩めた。 記憶にある一度目のロディの制服姿を出久は思い出す。すらりと伸びる手足を覆うパイロットの制服。とてもよく似合っていた。あれはロディの夢の形だ。 4412 mameDONE出ロデ プロヒ×パイロット※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり設定・過去作( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)持つべきものは友の巻「やらかしたんだ」 この世の絶望をすべて集めたような声が出た。頭を抱えてテーブルに突っ伏す出久を、誰がプロヒーローのデクだと思うだろうか。 出久の隣に座る轟と、テーブルを挟んで向かいに座る飯田が苦笑している気配を感じる。実際「この前、協会への書類提出忘れてたときよりへこんでねえか?」「いや、オールマイトのフィギュア先行販売のチケットに外れたときよりへこんでいるんじゃないだろうか」なんて会話を、出久の頭の上でしている。うん、そう。そうです。そのときよりへこんでいます。だから、今日現場が一緒になったふたりがきっと飲みに誘ってくれたのだろう。きっとひどい顔をしていたから。昔からふたりは本当に優しい。 「まあ話は聞くから。とりあえず飲めよ、緑谷」 4391 mameDONEロディ誕生日小話。出+ロ(ロ不在)のブロマンス。おめでとう! 彼がハンドルを握りながら口ずさんでいた鼻歌を、いまでもよく覚えている。 何気ない、とりとめもない会話を、国境へ向かう道中たくさんした。その会話の中で誕生日の話題が出たのは自然だったのかもしれない。出久がロディに年齢を聞くと、意外とあっさり年齢を教えてくれた。 そこで同じ歳なのが発覚して、誕生日を聞きあって。自動車の運転していいの!? と出久が驚くと、オセオンは十六から免許とっていいと教えてくれて。日本は十八からだと教えると、お互いの国の違いに話題が流れて行って。病院の入院中、そういえば懺悔するけど、と子ども同士が内緒話をするように耳をよせて、ロディは「十六から運転免許とっていいけど、俺が免許持ってるとは言ってねえ」と宣い、出久の目をまるくさせた。もお、と出久がじとりとした視線を向け口を尖らすと、ロディがけらけら笑った。歯を見せて無邪気に笑うロディの顔は、まるで憑き物がとれたみたいだった。 1891 mameDONE出ロデ プロヒ×パイロット※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり設定・過去作( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)おわりのはじまりの巻 玄関に実家で持たされた大量の紙袋を床へ下ろして、出久は壁に手をつきながら片足ずつ赤いスニーカーを脱ぐ。いつのまにか出久のトレードマークみたいになっている赤いスニーカーを、以前ロディは「デクが赤って意外だよな」といって、出久が発言するよりもはやく、呆れた顔をして「ああ、オールマイトか」とひとりで一問一答し、納得していた。理解が早くて助かった。 そんなことを思い出しながら、ヒーロー活動よりも疲れた体で大量の紙袋を持ち直し、部屋に上がる。今日休みが取れたので、昨日は仕事終わりのその足で実家に帰っていたのだ。そして夕方にこのセカンドハウスに帰宅したわけである。 ダイニングテーブルにどさりと紙袋を置くと、持たされた品が視界にはいる。青色の蓋がされたタッパーには大根と手羽先の煮物、ホウレンソウのおひたし、ポテトサラダ、から揚げが入っている。昨晩の内に母親が作ってくれていたらしい。出久が滅多に自炊しないことを知っているので、実家の食卓でしっかりとおふくろの味を堪能させてもらったのに、さらに作り置きまで用意してくれた。付箋で作られた日付と何日以内に食べてねとぺたりと貼られているそれを見て、出久は苦笑する。大人になったと思っていても、母親にとって出久は何歳になっても子どもらしい。 6861 mameDONE出ロデ プロヒ×パイロット※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり設定・過去作( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)初の自宅へご招待の巻・後編(前作/https://poipiku.com/1356905/6157968.html の続き) 出久が選んできたお惣菜を食べて、出久が選んできた酒を飲んで。コンビニに行くかどうかふたりで悩んで。うだうだ言いながらダイニングテーブルからリビングのソファに移動して。ソファとローテーブルの距離が微妙と文句をつけたロディがラグに直接腰をおろして。じゃあ僕も、とその隣に出久も腰をおろして。座ってから、肩と肩が触れそうな距離なことに気づいて、鼓動がはやくなったりして――そんな、日常になったらいい非日常を笑いを絶やすことなく過ごした。 そうしてテーブルの上にあるせんべいを取ろうとして、ロディの指先と出久の指先が触れ合って、同時にピノがこちらに背を向け顔を隠したのは、ふたりとも随分酔いが回ったタイミングだった。まさに落雷。突然の出来事だった。そして出久はそのときにやっと自分たちが肩が触れそうな距離に横並びで座っていることに気づいた。近い。 7417 mameDONE出ロデ プロヒ×パイロット※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり設定・過去作( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)初の自宅へご招待の巻・中(前作/https://poipiku.com/1356905/6121882.html の続き) 仕事を終わらせ、一度セカンドハウスに寄り、部屋を片付けた出久が最寄り駅についたのは、ロディがトークアプリに送ってくれた到着予定時刻からして十分前だった。ちょっと気合が入りすぎているだろうか、なんて照れ臭くなりながら、ロディに出久が中央改札前で待っていることを送れば、すぐ既読が付き、シンプルにAightと返ってくる。これはよくロディが使う単語だ。初回はどういう意味かわからず調べたところ、日本でいう「りょ」と一緒の意味だとわかった。わかったと同時に、かわいいな、と反射で考えた時点で出久は大分末期だと思う。その癖にロディへの想いを自覚したのは最近だ。 そんなことを考えていれば、改札の向こうに一気に電車から降りてきたのだろう乗客たちが押し寄せていて、その中にキャメルのロングコートと暗めのワインレッドのマフラーを巻いたロディを見つける。ロディが出久の生活圏に足を踏み入れてくれたことが嬉しくて思わず大きく手を振ってしまい、ICカードを改札に押し付けたロディが出久に気づくと同時に息を漏らしながら笑った。白い息が冷たい空気に溶ける。ロディが改札を抜けたタイミングでピノが先行して人の間をすり抜け、出久の元へ小さい羽をパタパタと動かしながら飛んでくるのが酷く愛しい。ふにゃりと笑いながら、手袋をつけたままの右手を持ち上げると、ピノはすっかり慣れた様子で止まり木替わりに着地する。 3812 mameDONE出ロデ三千世界の鴉はお前がころしてくれた ある時から、昼寝をすると決まって悪夢を見る。 例えば知らない人間が誰かに追われて殺される夢。例えば知ってる人間がビルの屋上から落下する夢。 いつだってその悪夢の中にロディはいなくて、目が覚めたとき、やけに存在を主張してくる心音と、ただただ居心地の悪さがそこに転がっている。 ーーーーあの悪夢のどこかにも自分はいるのだろうか。 路地裏に転がって、殴られた痛みを頭の端で消化しながら見上げたやけに青い空に、ロディはそんなことを思った。多分ここで意識を手放せばまた悪夢を見るんだろうと思い至ったので。だから、先回りして昼間に見る夢について考えたのだ。 ロディが昼に見る悪夢の中では常に自分が当事者になることはない。しかし、なぜか登場人物の感情はすべて自分のものだ。登場しないのであれば映画を見る観客のような立場でありたいのに、殺される人間の感情も、殺す人間の感情も、落下する人間の感情も全て拾ってしまう。全員ロディでなくて、全員ロディだった。 1496 mameDONE出ロデ プロヒ×パイロット※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり設定・過去作( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)初の自宅へご招待の巻(前作/https://poipiku.com/1356905/5991012.htmlの続き) 突然の再会から、数えること五回。時間にしておよそ三ヵ月。 木々を彩っていた広葉樹の葉がすっかり歩道に落ち、日によっては灰色の街に雪がちらつく。ロディと出久が再会してからあっという間に時が経ち、初回で出久が連絡をしてくれとお願いしたのが効いたのか、ロディは日本に仕事で来るタイミングでメッセージを送ってくれているため、日本の四季のひとつを一緒に味わうことができている。ただ、ロディが出久に連絡をくれるタイミングが早くて二日前、基本的にフライト直前、そして下手すれば日本に着いたあとだったりするので、出久は連絡をもらった瞬間に毎度大慌てでシフトを調整している次第だ。約束を取り付ける連絡をするとそのたびにロディには「予定空けれたのか」なんて驚きの反応を返されるので、それならもっと早くに連絡頂戴よと思う出久である。 3037 mameDONE出ロデ プロヒ×パイロット※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり設定・過去作( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)ふたりの再会後の夜の話(はじめての飲み) ロディと再会したその日、すっかり日本の居酒屋に慣れている素振りで「とりあえず生で」とアルコールを注文したロディに、衝撃を受けながら出久は根掘り葉掘り聞くことになった。 不躾かもしれないとは思ったがしょうがないだろう。なにせ十年ぶりの再会、かつ、ロディが日本にいて、しかもすでに慣れていた様子というのは、何から聞けばいいかわからないくらい疑問しか出久には芽生えてこなかったのだから。 「日本にはいつから……?」 「今年の春から」 ジョッキをぶつけあってから尋ねた最初の質問のロディの返答から出久は目を丸くすることになってしまったのだけれど。 「もう半年は来てるの!?」 「そういうことになるな」 「えっ、なんで連絡……」 4319 mameDONE千ゲンみくじパスはおみくじの番号 2199 mameDONE出ロデみくじパスはおみくじの番号です 2430 Hide ads with PoiPass! mameDONE出ロデスターライトシリーズ(https://www.pixiv.net/novel/series/7739629)の番外編、後日談です。新刊読んでなくてもいけます。ハッピーメリークリスマス! 一日目はチョコレート。 二日目は飴玉。 三日目はマシュマロ。 四日目はクッキー。 五日目はーーーー……。 それが届いた時、出久はひどく喜び、そして驚いたのだけれど、同時に「らしいな」とも感じた。 頻繁に会うことはない。それに対し残念だけれど不満はない。月に一度か、ふたつきに一度。もちろん予定が合わなければあもっと間隔が開く。ドタキャンだって多い。九十九パーセント、原因は緑谷だけれど。 それが出久の婚姻関係を結んだ相手であるロディ・ソウルと会う頻度だ。 そして師走である今月は会えない月である。なにせ事故発生率が高く、同時にヒーローとして参加するイベントごとがとても多いのだ。休みらしい休みもほぼない。元日なんて犯罪率も上がるから大晦日は基本的にヒーローたちは特別警戒パトロールをしている。 4626 mameDONE付き合ってない出ロデ プロヒ×パイロット副題:ろで~そ~るの脱出大作戦ノック・ノック・ノック① 昔から、物の構造を把握したりするのは得意な方だった。おごり高ぶることなく、ロディは自身のことをそう評価している。 父親がパズルを与えてくれたり、家で飛行機や車のプラモデルを作ったり、飛行機の操縦教本に載っていた図解を食い入るように見つめていたりと、おそらくそういうことが影響していたのだとロディは思う。 だからといって、まさか自分に『鍵開け』なんて芸当ができるとは露ほどにも思っていなかったのだけれど。 ロディがそんな自分の知られざる才能を知るきっかけになったのは運び屋時代だ。言ってはなんだが、間抜けなヴィランとの仕事の時だった。 その日のロディの仕事は街外れのレストランの店主から受け取ったスーツケースを反対側の街外れの酒場に持っていくこと。どうやら貸し切っているらしい酒場に入る前にピノをコートのポケットに隠し、引き渡し相手であるヴィランに鍵付きのスーツケースを渡して、酒場の中で報酬の支払い待ちをしていたのだが、どういうわけかロディがケースを渡して以降、やけに焦りはじめたヴィランがなかなか支払いをしてくれなかった。 4023 mameDONE出ロデ プロヒ×パイロット※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり設定・過去作( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)小雨が降った夜の話の巻(好き放題書いてるので情報は真に受けないでください)「あれ? このスープなんだか……」 「お、気付いたか?」 両手で持ったマグカップから白い湯気が立ちのぼる。出久はふうと息を吹きかけその湯気を散らしてからマグカップの中身を一口含んだ。熱すぎるくらいのそれは出久が知るものよりも随分とコクがあって目を見張る。 透明で黄金色の、わずかに波立つスープを見つめてから、出久が顔を上げ問いかければ、ダイニングテーブルを挟んで向かい側に座ったロディがにんまりと得意げな笑みを浮かべてみせた。その表情にくすりと笑いながら、もう一口。舌の上でで熱々のスープを転がしてから、片肘で頬杖をついて変わらず笑みを浮かべるロディに首を傾げた。 「コンソメスープ、だよね?」 「ん、そう」 5302 mameDONE出ロデ プロヒ×パイロット 三ヶ月記念日の話 なんとなく、浮かれて、花束を買った。 その花束を購入した花屋がたまたまプロヒーローである恋人が勤める事務所の近くで、自身の腕に嵌る時計の文字盤を見れば、もう彼の定時間近で。今日は絶対に定時で上がるから! とトークアプリに朝早くからメッセージが届いたことを思い出して、迎えに行ってみるか、なんて、気紛れに思った。 だからロディの耳に、恋人の働く事務所の前でヒーローコスチュームから着替えた私服姿の恋人本人と、おそらくその恋人の先輩ヒーローらしい人間との会話が聞こえたのは、本当に偶然だったのだ。 「今日、記念日なんですよ。だから飲み会はすみません、また今度誘ってください」 眉尻と頭をを下げた恋人である出久の姿を認めて、ロディが反射的に隠れてしまったのは特に理由はない。ただ、堂々と聞いてはいけない会話かもしれないと思ったのは確かだ。だからといって、隠れて聞いていいのかは定かではないのだけど、この時のロディはそれを良しと判断した。 2426 mameDONE爆轟小話(11/7、パス外しました)※プロヒ※同棲軸※劇場版3のネタバレを若干含みます10/31イベント無配 大きな紙袋を持って帰ってきた轟に、爆豪はなんだそれと言いかけてやめた。有名海外旅行会社のロゴが大きく入っていたからだ。ここのCMに起用されたと先日言っていた。今日は撮影だったのだろう。 「なんかパンフレットいっぱいもらったんだ」 「ハッ。押し付けられたの間違いだろが」 「そうともいうかもしれない」 「素直に認めろや」 本日爆豪は早番だった。そんなわけですでに風呂も夕食も済ませてある。轟も撮影のときに弁当が出たらしく、じゃあ軽く飲むかと轟がシャワーを浴びてくるのを待って、グラスと瓶ビール、先日遠征で行った地方の珍味なんかを出してリビングのローテーブルを二人で囲んだ次第だ。 乾杯をした直後に起きっぱなしにしていた紙袋をずるずると引き寄せ、轟が中身をテーブルに広げた。それらは4ページから12ページくらいの、旅程金額がずらりと並べられた小冊子だ。20冊くらいはあるだろうか。 2019 mameDONE出ロデ🎃※プロヒ×パイロット※遠距離恋愛中 1832 mameDONE出ロデ 未来捏造、付き合わないふたり 厚い雲を抜けた先に突然開ける視界。 眼下に広がるまるでミニチュアのように見える街並み。 雲が地上に落とす巨大な影が、飛行機のコックピットからはよく見える。 雲間からさす光の柱は黄色なんかではなく、いくつもの色彩が混ざりそれでいて透明で。 機体を傾けぐるりと方向を変えて、行き先を見据える。 辿る空路の真下にある緑に覆われた山だって、人の足で歩けば登って下りるまで一体何時間かかるんだろう。それを文字通り軽く飛び越えていく。 次第に地上が近づいてきて、足元にあった雲の位置が頭上に移動すれば重力がぶわりとかかり、徐々に人間に戻っていく。高速道路を走る車の姿を目視してしまえば、もう己はただの人でしかなくて。 2459 mameDONE出ロデ 付き合ってる未来ねつ造軸のふたり(プロヒ×パイロット) シュンシュンとか細く湯気を吐き始めたケトルが目にはいった。出久はすかさずコンロの火を消し、壁掛け時計を見やる。短針がもう少しで七に差し掛かりそうだった。 リビングの灯りはまだ点けておらず、点けているのは出久がいるキッチンの蛍光灯のみ。薄暗い部屋の中で吐かれたその湯気は、昨日よりもはっきりと見て取れた。 遮光カーテンを開けレースカーテンのみにしているが、朝日はまだわずかに気配を滲ませているだけだ。ここ最近、朝の訪れが随分とゆっくりになった。スリッパを履いた素足にありえないはずの風を感じながら、出久はコーンスープの素の封を切りマグカップに投入していく。用意したマグカップの数はふたつだ。 自宅で気を張ることなんて早々ない。だから朝食の準備をのんびりとしているところに突然、背後からずぼっと勢いよく自身のTシャツの中に入ってきた冷たい両手があれば「ひゃ!?」と出久が奇声を上げてしまうのはしょうがないと思う。 2779 mameDONE出ロデ 数年後プロヒ×専門学生 空港ロビーで多言語のアナウンスが響いているのを、どこか遠くの出来事のようにロディは聞いていた。聞く、というよりも、耳にただ入れているだけと表現したほうが正しいかもしれない。音は拾っているが、意味のあるものとして脳が処理していないのだ。 五度目になるオセオン訪問から出久が日本へ帰ったのは約十分前。いつも搭乗時刻ギリギリまでこのロビーにいる出久のことだ。ロディの目の前にあるエスカレーターを駆け上がっていった出久は、きっと今頃保安検査場を駆け抜け、出国審査に息を切らして挑んでいるところだろう。ロディと別れてからボーディング・ブリッジを渡るまで毎回最短速度を更新しているなんて笑っていたが、パイロットを目指す航空専門学生のロディとしては到底許せるものではない。落ち着いて搭乗手続きを済ませてほしい。 1920 mameDONE出ロデ 付き合ってる未来捏造軸のふたりお題:煽るように「なあ、ヒーロー?」「デーク?」 「……はい」 「この期に及んで、なあに怖気付いてるわけ?」 ベッドに押し倒され、ロディの顔の両サイドに手をついた出久が熱の籠った瞳でロディを見下ろしはじめて早数分。 濡れたままのロディの髪の毛が散らばるシーツは、既に湿りつつある。後頭部にじとりとした感触を覚えながら、数分間。欲に満ちた色を変えることなく、しかし己の中の獣とひたすら戦っているらしい自身を見下ろす出久のエメラルドの瞳を、ロディは薄く笑いながら見つめ返す。 シャワーを浴びて髪の毛を拭きながら廊下に出たところで、ちょうど出久が帰宅したのが事の発端だった。玄関の土間に立つ、酷く疲れを見せている出久にロディがおかえりと声をかければ、いつもはきちんと踵を揃える赤いスニーカーを雑に脱ぎ捨て、足音を立て出久が廊下を歩きはじめた。常なら見せないその行動に驚くロディの手首を強く掴み、出久はそのまま寝室にロディを引き摺り込んだ。寝室の明かりはついていないけれど、廊下とつながるドアを開けっぱなしなので出久の切羽詰まった表情はよく見えた。 2269 mameDONE出ロデ プロヒ×パイロット※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり設定・過去作( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)ふたりの再会のはなしの巻(時系列でいうと一番最初の話になります) その日の出久は早番で、仕事を終え足取り軽く事務所を出たときには正しく晴天であった。ヒグラシが鳴き始めた、空と街に青とオレンジが入り混じる時間帯。肌を焦がすような夏の暑さは先日訪れた台風が連れ去っていってくれた。随分涼しくなったなあと秋の入り口がやってきた気配に頬を緩めながら、出久は夕飯の買い物をすべく自宅近くのスーパーに立ち寄った。 お目当ての総菜を何パックか購入して店を出た。そういえば米のストックがないとレジに並ぶ直前に気付き、無洗米も十キロの物を購入したのでしっかりと脇に抱える。基本的に自炊をあまりしない出久だが、米だけは炊くようにしている。実際これも面倒なときは電子レンジでチンするだけで食べられるパックのものを使ってしまうのだけれど。まあ、便利なものは使うに限るので。安い早い旨いの三拍子は忙しい社会人にとって最強の味方だ。総菜だってバランスを考えて購入すれば体にだっていいし、自炊に慣れていない自分が作るよりよほどコストパフォーマンスがいいと出久は思っている。 8683 mameDONE出ロデ未来捏造、再会のプロローグ 378000㎢ この数字は日本の国土面積、らしい。 だから、まあ、はっきり言って。会えるなんて、微塵も思っていなかったのだ。 ロディは頭上にパチパチと光る緑の残像を呆然と目で追いながら、フライトの担当が決まってから叩き込んだ情報を頭の中で反芻する。肩に乗っている己の魂が、ピィと僅かに鳴いて震えているのを感じて、しかしどうするわけでもなく。網膜と脳に焼き付けるように高層ビルの合間を走っていった眩い閃光を見つめた。 「ピノ、見たか」 「ピピッ」 「笑ってたなあ、デク」 目の奥がじわりと熱い。視界が滲みそうになって、ロディは消えゆく閃光の更に向こうにある青空を見る。口角はあがったが、唇は戦慄いていた。 オセオンにまた来ると言った出久に、二度と来るなとロディが言ったあの日以降、ふたりの間でなにもやりとりはなかった。一方的にオセオンに届くワールドニュースの欠片をひとつひとつ拾い集めて、ロディは出久が生きていることを祈るような気持ちで確かめていた。文字や映像、媒体越しに見ては安堵して、また無茶してるんだななんて呆れて、勝手に勇気づけられて。しまいには一度諦めた夢だったパイロットになって、この度日本便の副操縦士にまでなってしまって。 1573 mameDONE出ロデ 付き合ってる未来捏造軸のふたりお題:そんなこと言うのは君くらいだよ リビングの真ん中に鎮座するテーブルに頬杖をつきながら、胡乱げな目でロディはそのページをめくった。そのページにあるのはヒーローについての街頭インタビューを100人にし、ランキング形式にしたというものだ。 ヒーローに持つイメージをランキング化したらしい、そのいくつかのランキングの文字を眺めながら、ロディは気怠さを隠すことなく片眉を上げ口を開く。 「誠実そうなヒーローランキング2位、奥手そうなヒーローランキング1位……ねえ……?」 ハッと息を切りながら笑い声を短く吐き捨てると、するりと背中に温もりがまとわりついた。ラグの上であぐらをかくロディの腹に綺麗に筋肉のついた腕がするりと回される。 「これのどこが? って話なんだよな」 1035 mameDONEお題箱 出ロデセリフお題「これがジャパニーズカルチャー…?」「……デクがいっぱいだ」 ぽつりと呟いたロディの視線の先を辿るとそこにあったのは、とある女性の鞄だった。ロディの発言を出久は脳内で繰り返す。ちらりと隣を見ればロディとピノが同じような表情で怪訝な目をしていて、出久は息を詰めて肩を二度ほど細かく揺らした。 人が行き交う繁華街。そこにある歩道で出久の隣を歩くロディの視線の先には、相変わらず見ず知らずの女性が持つバッグがある。 「あれは痛バだね」 「イタバ?」 「痛いバッグってことなんだけど」 出久からしてみれば結構見慣れたものであるのだけれど、どうやらロディは初めて見たらしい。女性の持つ鞄には大量の同じ顔をしたヒーロー・デクの缶バッジが飾られ、大中小のデクぬいも複数ぶら下がっている。世に言う典型的な"痛バ"である。 1059 mameDONE出ロデ 遠距離恋愛中の付き合ってるプロヒ×パイロット「身体に良いものは値段が張るんだよな」 スーパーでカートを押す出久の隣で、ロディがそんなことを言った。ロディの視線はというと陳列棚に並べられたオーガニック食材へ向けられている。そのうちのひとつの野菜を手に取り、眉間に皺を寄せるので出久も足を止めたロディの隣で足を止め、ロディの手の中にある野菜をみやる。 「……そんな意識で見たことなかった」 一見して普通の玉ねぎであるそれは、入店直後に山積みにされていた玉ねぎの三倍の価格で、出久はなるほどと思う。ポップを見ると無農薬、通常の玉ねぎの5倍の栄養価と謳われていた。 「俺もこの職を本気で意識し始めてから健康とか栄養価とか気にし始めたから、気付いたのは最近だけどな」 2212 mameDONE出ロデ プロヒ×パイロット※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり設定・過去作( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)晩酌と夢のはなしの巻 ※今回、未来ねつ造だけでなくロの過去捏造・個性への独自の解釈が多分に含まれます「ロディ、この夏すごく焼けたよね」 目に入ったロディのすらりと伸びる上腕を見ながら出久はぽつりとつぶやいた。 出久の家に泊まりに来たロディは既にシャワーを浴び終え、すっかりリラックスモードだ。普段腕時計がはめられている手首には、周囲の肌の色とは違うロディ本来の肌の色が残っている。それがくっきりと見て取れるほど、周りの肌が焼けているのだ。 寝る前に晩酌しようぜ、とシャワーを浴び終えたロディが出久の家の冷蔵庫から缶ビールをとってきて、それを出久に差し出したことで日焼けが目に入り、最近感じていたことが出久の口から飛び出したわけである。 「ん? ああ、機体点検のとき今年は特に日差しと照り返しすごかったから……日焼け止め塗ってても限界あったな。コックピットは紫外線対策だいぶされてっけど、外は流石に……」 7228 Hide ads with PoiPass! mameDONE出ロデ プロヒ×パイロット※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり設定( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)秋到来、の巻「なんかさ……そこの道、めちゃくちゃ臭ってたんだけど、ゴミ収集車が事故でも起こしたのか?」 猛暑続きだった夏の暑さが少しマシになってきたのではというタイミングで、南シナ海で台風が発生し日本列島を横断した。どうやらその台風は、わずかに残る夏の気配も一緒に連れて姿を消したらしく、ここ数日で一気に気温が下がり過ごしやすくなっている。秋の訪れである。 そんな中、オセオン-日本便の副機長として日本を訪れたロディは、顰めっ面で出久のセカンドハウスを訪れた。そのときの出久といえば、ロディが来ることを前もって知らされていたためロディが好きな日本の惣菜を最寄りのスーパーでいくつか見繕い、夕食としてテーブルに用意しているところだった。そうして合鍵を使って入ってきたロディにいらっしゃいと声をかける前にその表情に驚き「どうかした?」と尋ねたのだ。そこに返ってきた言葉が冒頭のものになる。 2857 mameDONE出ロデ未来捏造、プロヒ×パイロット仲のいい友人関係の出(31)とロ(31)の話 仕事が早めに終わり、出久はひとり暮らしするマンションに戻ってきた。背中にはリュック、手には近くのスーパーの惣菜が入ったビニール袋。人気の総菜が残っていてラッキーだった出久は上機嫌である。 オートロックをカードキーで開き、ロビーへ入る。軽やかな足取りで集合ポストに寄って、中を開けばいくつかのダイレクトメールに紛れて茶色い封筒が入っていた。このマンションの所在地である区役所からの便りだということが宛名面の下部の印字で分かり、出久は首を傾げながらトレーニングがてら八階までの階段を駆け上がる。 八階の角部屋、そこが出久の部屋だ。2LDKの部屋は一人暮らしでは少し持て余しているが、セキュリティ面が優秀なのと、出久がフリーのプロヒーローとして拠点にしている貸テナントが近いため、このマンションを選んだ次第だ。再びカードキーで自身の部屋の扉のロックを解除し、部屋に入る。スニーカーを脱ぎながら、一旦手に持っていた郵便物をシューズボックスの上に置いて部屋にあがり、手を洗いうがいをしっかりとする。 7275 mameDONE出ロデ(プロヒ×パイロット)自我強め善良モブ視点このモブ視点と同じ世界線です(https://twitter.com/mamemane_open2/status/1435895803646644225?s=20) 大通りから道を三本挟んで、さらに二つ目の角を曲がる。そんな、少し――というか結構、人通りが落ち着いた路地に俺の両親が営むコーヒー焙煎所はある。 両親の趣味であるブルックリンスタイルの落ち着いた色合いの店内には、これまた両親の趣味であるブラックミュージックが音量を押さえて流れている。基本的に五種類のコーヒー豆を常に販売している店で、店内に飲食スペースはないが、テイクアウト用のコーヒー販売はしている。これが結構好評だ。混雑することはないが、まったく人が来ないという日もない。大繁盛と言うわけではないが、店の経営を難なく維持できる程度には利益が上がっている。そんな店である。 俺は大学四年生で、無事就職も決まり、卒業単位も無事とれる見込みがあって、あとは卒論の準備に本腰を入れるだけなのだが、友達とお祝いだと称して夏休みに連日飲み歩いたせいで激しい金欠に陥っていた。夏休みが終わったところで、居酒屋のアルバイトだけではおそらく来月あるサークルのハロウィンパーティーの金が足りないことに気付いて絶望した。どれだけシフトを詰め込んでも、給料日的にハロウィンに間に合わない。そういうわけで母親に相談したところ、じゃあ給料を現金で払うから連休中、店番してと言われ、現在、俺は店のカウンター内に立っているわけだ。 6294 mameDONE出ロデ プロヒ×パイロット※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり設定( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)ロ、風邪をひくの巻 ロディが風邪をひくというのは、両親がおらず、ロディの収入でなんとか暮らしているソウル家では死活問題だった。 なにせ金がないので風邪をひいても病院にいけない。病院に行く金があったら弟と妹にまともなものを食べさせてやりたい。しかし風邪をそのままにしておくと弟と妹がひどく心配する。下手したら泣き喚く上に自分たちの食べ物をロディを元気付けようと寄越してこようとする。優しすぎるふたりは自慢の弟と妹だが、これは最悪の悪循環なのである。 そんなわけで、ロディは絶対に風邪をひくわけにはいかなかった。まだトレーラーハウスの暮らしに慣れていない幼い頃、何度かそれを経験したおかげで、とにかく風邪をはじめとする体調不良にだけはならないようにと心掛けてきた。 5765 mameDONE出ロデ(プロヒ×パイロット)デクガチ勢モブ視点※善良なモブとは別に腹が立つモブも出てきます 最近、デクのファンサが垢抜けてきた。 デクファン界隈に住む全員が頷くレベルで垢抜けた。 ヒーローのときは眩しい笑顔で頼もしく救ってくれるというのに、いざ救助が終わると、テレビがある所では一気にぎこちない笑顔になり、ファンには照れながら手を振りかえす。 「それが! 最高のギャップ萌えだったのに!!」 ダンッと音を立て、中身が半分に減ったビアジョッキをテーブルに叩きつければ、正面に座っている同期も深くうなずいている。私はそれに「だよねえ〜」とテーブルにべちゃりと頬をつけた。火照った頬に、冷たいテーブルが気持ちいい。 この同期とは入社式のときに、互いが日常使いできるわかる人にはわかるという大人のファンには有難いデクグッズを身に着けていたことにより、アイコンタクトを交わして以来の仲だ。入社式が終わってからしゃべったこともないのに自然と集まり、そのまま酒を飲みに行った。以降、デクファン仲間として定期的に集まっては酒を飲んでいる。 6770 mameDONE出ロデ プロヒ×パイロット※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり設定( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)なんでもできちゃうロの巻「でーく、んな気にすんなって」 「無理だよ……気にするでしょ……」 通路脇にある椅子に腰かけながらかけられる声に、出久は情けない声で答えた。体勢は自然と項垂れ、現在そんな出久の背中をロディがぽんぽんとやさしく叩いてくれている。 平日の日中から広がる不思議な光景を、空港の職員が遠巻きに見ていることはわかっているが、出久の気持ちはなかなか浮上しなかった。 出久とロディが日中一緒に出かけられることなんて、なかなかないことだ。 なにせロディが日本へ来るときは日本時間の早朝に空港へ到着する国際便のパイロットとしてやってくるわけで、ゆっくりできる時間といえば到着日の日中がメインだ。その時間は基本的に睡眠をとることになるし、さらに言えば出久のヒーロー活動も基本的に日中から夜までで。そしてロディは大抵その次の日の昼くらいには空港へ向かってしまう。往路のフライトのためだ。そういうわけで、出久とロディの会う時間というのは主に夜になる。 4779 mameDONE出ロデ プロヒ×パイロット※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり(設定:https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)出、おつかれの巻 これは、一体。 出久は目の前の光景に思わず固まる。帰宅すると同時に手に持ち替えていたリュックをどさりとリビングの入り口で落としたが、構うことはない。 「ええ……? ロディがいる……? なんで……? 僕の見てる都合のいい幻覚……?」 目を擦ってみても消えないその幻覚は、ソファでコーヒーを飲みながら寛ぎ、テレビを見ていた。 「おっ、お疲れヒーロー。なんか大変だったみたいだな」 髪の毛を首の後ろでお団子状にまとめたリラックスモードのロディの幻覚は、どうやら幻覚ではないらしい。だって喋ったし、出久に笑いかけているし、これが幻覚だったらやってられない。 ソファに背もたれ足を組むロディは出久のセカンドハウスに置きっぱなしのVネックシャツと細身のスウェットを着ていた。しかもロディが見ているテレビに映っているのは、紛れもなく出久自身だ。 2630 mameDONE出ロデ プロヒ×パイロット※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり(設定:https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)ロくんの納豆チャレンジの巻「あ、ナットウってどこにある?」 ロディがそう尋ねてきたのは、出久とふたりで今晩の夕食はどうしようか、なんて相談しながらスーパーへ足を踏み入れたときだった。 出久はロディから初めて出てきた単語に目を丸くする。思わずピノの反応を確認するが、ピノはフライトの時差ぼけでロディの頭の上で眠っている。ロディ自身も眠いのだろうが、それでも出久と一緒に買い物にきてくれるのだから出久としては嬉しい。ただ、いまの問題は。 「え、納豆……? 納豆好きだったの、ロディ」 「いや、食べたことねえ」 「だ、だよね?」 少なくとも出久は自分といるときロディが納豆を食べているのを見たことがない。日本にロディがフライトでくるときは四六時中出久といるわけではないので、そのときに食べたのかと思い聞けば、ロディはあっさり首を横に振った。 3353 mameDONEいつかの電話の話https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15860702 のおまけいつかの電話の話 恒例の旧友たちとの集まりだった。本日の個室には八人が集まっている。皆んな成人してアルコールを楽しく飲むようになり、話題も高校生の頃とは随分変わった。そんな中で、轟は遅れてやってきた出久が轟の隣に座り、ビールジョッキを一杯開けたタイミングで、ふと思い出したことを口に出した。 「そういや先週ロディと会ったぞ」 「えっ」 肩をびくりと跳ね上げ、元々丸い目をさらに丸くし、轟を出久が凝視してくる。 「お互い時間があったから居酒屋で一杯飲んできた。座敷席だったんだが、正座しなきゃなんねえのかって最初慌ててて面白かった……緑谷?」 ざわざわと騒がしい個室の中で、出久の動きだけが完全に止まっていた。なにせ、きゅうりの叩きを取ろうとしていた箸さえ微動たりともしない。 1839 mameDONE数年後設定、出ロデ プロヒ×パイロット設定:https://twitter.com/i/events/1431533338406178824?s=21 明日はロディが日本にやってくる日だ。 事務所からの帰り道、出久は軽やかに二十四時間営業のスーパーの入り口を潜る。タイムセール中の惣菜を買おうとデリカコーナーにいけば、ロディが気に入っている梅じそチーズフライが残っていて、出久は上機嫌でカゴに入れる。最近、ロディは梅がブームらしい。最初酸味と塩分に驚いていたというのに、なんだかクセになるなと真面目に呟きながらよく食べている。とてもかわいいと思う。うん。 ロディは現在オセオンの航空会社に副操縦士として勤めていて、入社時に下っ端だから本数こなさなきゃなんねえんだと言っていた通り、いつもいそがしくしている。若手は短距離フライトが基本らしい中で、相当苦労してオセオン-日本の直行便のフライト担当をもぎ取ったらしい。アジア便は一度のフライトで長時間運転になるので、割りがとても良く年功序列で埋まってしまうそうだ。 2751 mameDONE出ロデ 書きたいとこだけやりたい放題fateパロ ドアを開けたと同時、ロディの髪を強い風が攫った。 しかし構うことなく、高層ビルの屋上に飛び出したロディはそのまま全力でコンクリートの床を蹴る。辺りを見回すが、隠れられそうなところは無い。ビルの淵まで駆け寄るが、転落防止の柵の先にはなにもない夜の海が広がるのみでなんの助けにもならない。隣のビルに飛び移るには距離があり過ぎるし、挑んでみても落とした熟れたトマトのようにロディは生を終えるだろう。 ドアが締まる音が耳に届き、ばっと振り返るとこちらにも絶望が広がっていた。ロディは唇を噛み締める。 なんだってこんなことに。 ロディは数メートル先に立つ男を見つめる。男が持つ手には拳銃が握られており、その銃口は間違いなくロディに向けられていた。男の隣にはロディの弟と年齢があまり変わらなさそうな幼い少女。ただ、クリーム色の長く美しい髪の毛を強い風に踊らせる少女と、脳裏に浮かぶロディのかわいい弟とでは決定的に違うところがある。混乱するロディにだって理解できた。 2579 mameDONE数年後設定、出ロデ(プロヒ×パイロット)これを(https://twitter.com/mamemane_open2/status/1430099072191369219?s=21)この設定でhttps://twitter.com/mamemane_open2/status/1429816321965842433?s=21)書きました 目が覚めたら小麦の焼ける香ばしい匂いがした。 カーテンの隙間から朝日が差し込んでいて、そこから伸びた黄色の透き通った光が出久の頬を撫でていた。重い瞼を押し上げ、沈んでいた意識を浮上させる。 目覚まし時計で時間を確認すれば、出勤時間を大きく超えていて慌ててがばりと上半身を起こしたと同時、今日は久しぶりの休みだったことを思い出した。出久は焦りで上がっていた肩をすとんと落とし、一度ぐっと両手を組んで天井へ向けて持ち上げた。背筋がぎゅうっと伸びて、弛緩させると身体がすっきりとした。そこで気付いたのだ。漂ってくる小麦の香りに。そして優しい人の気配に。 わずかに開かれている寝室の扉は、誰かがそっと開けて音を立てないよう締め切らなかったのだろう。少しの音でも反応して起きてしまう出久を気遣ったものだし、そんな芸当が出来るこの家にやってくる人間なんてひとりしかいない──ロディだ。 3702 123