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    ひらさか

    @FrozenIce_apple

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    ひらさか

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    ネップリで出したジュニフェイ

    俺のかわいいおチビちゃん俺の恋人はかわいい。付き合って数年が経ち、出会った頃は文字通り「おチビちゃん」だった身長も伸びてもうすぐ俺を越すくらいになったけど、どれだけかっこよくなっても俺のかわいいおチビちゃんなことは変わらない。

    お互い働き詰めで、ようやく迎えた休日前夜。ヒーローという職業柄なかなか望んだ日程で休暇をとることは難しくて、2人の休日が重なるのは2ヶ月ぶりだった。

    研修期間が終わってタワーの外に借りた俺たちの家で、2人であーでもないこーでもないと迷った末に買った2人がけのソファに座りながらぼーっとテレビを見つめているとおチビちゃんが話しかけてきた。
    「フェイス、なに見てんだ?」
    「ん?ああ、バラエティ番組かな。あんまりちゃんと見てなかったから何してるかよくわかんないや」
    「なんだよ、疲れてんのか?最近やけに忙しかったもんな」
    おチビちゃんの手には湯気の立つマグカップが2つ握られていて、ん、と差し出された片方を受け取ると、ふわりと甘い香りが漂った。
    「ありがとう、おチビちゃんは何飲んでるの?」
    「おまえと同じの」
    「へぇ、おチビちゃんがココア飲むなんて珍しいね」
    「こ、これなら牛乳使わなくても作れるって書いてあったから...」
    少し恥ずかしいのか、そっぽを向いておチビちゃんが答える。
    「アハ、わざわざ俺の分と別で作ってまで俺と同じの飲みたかったの?」
    俺に差し出されたココアはいつも自分で牛乳を使って作ったものと同じ色をしていて、おチビちゃんの手の中にある方はミルクで作っていない分少し濃い色をしている。
    「...悪いかよ」
    ぼす、と音を立てて俺の隣に腰を下ろして、おチビちゃんは唇をとがらせてココアを啜った。アハ、照れちゃってかわいい。
    そんなおチビちゃんを見つめながら俺もおチビちゃんが作ってくれたココアに口をつける。いつもと同じ味だけど、「同じものが飲みたい」という理由だけで牛乳嫌いの恋人がわざわざ俺のために作ってくれたと思うと砂糖以外の甘さも感じるような気がして、冷めないうちに飲みたいのに飲み干してしまうのがもったいなく思えた。

    しばらくは何も言わず2人並んでテレビを見ていたけど、恋人と過ごす夜、しかも明日は久しぶりの2人揃っての休日。ただ一緒にいるだけで満足なんて言ってられるほどまだ大人じゃない。

    テレビを見つめるおチビちゃんの左手にそっと手を伸ばす。付き合い始めた頃よりはずいぶんと大きくなったけど、まだ俺よりも小さい、でも骨ばった男の手。指先で手のひらを撫でると、ぴくり、とおチビちゃんの指が跳ねた。
    「...なんだよ」
    「別に?」
    テレビからこちらに向けられた視線を無視して、さらにおチビちゃんの手に俺の指を滑らせる。指先まで届くと、硬い皮膚に触れた。おチビちゃんは趣味のバンドとヒーロー業の両方でギターを使っているからその指先には分厚いタコができている。皮膚が分厚くなっている分感覚も他の部分より薄いのか、俺の肌をなぞる指先はいつもとびきりに優しい。俺と付き合う前は「ピックじゃなくて素手で弾くこともあるから」と伸ばしていた爪も今では短く切りそろえられ毎日きれいに手入れされている。
    初めて恋人同士のそういうふれあいをしたときに俺が痛がる素振りを見せて以来どんなに強く指を押し付けても跡がつかなくなるくらい短く切りそろえられたそれは紛れもなく俺の為の行為で、ギターに情熱を注ぐおチビちゃんがギターよりも俺を優先してくれたのだと思うと嬉しくてたまらない。おチビちゃんは気づいてるのかな、もうすっかり毎日の習慣になったおチビちゃんの爪切りの音を聞くたびに俺が少し期待してること。
    おチビちゃんは言葉でも行動でもまっすぐに愛を伝えてくれるけど、おチビちゃんの身体の一部まで俺のためのかたちに変えてしまったという事実にたまらなく満たされた気分になる。
    「おまえ、それ好きだよな」
    「それって?」
    ずっと手を弄ばれてしびれを切らしたのか、テレビを見ていたおチビちゃんがこちらを向いた。
    「おれの手触るの」
    「ふふ、うん。好きだよ」
    両手でおチビちゃんの手を持ち上げ、見せつけるように指を絡ませる。
    「おチビちゃんの手、大きくなったね…。アハ、俺の背を越すのももうすぐかもね」
    突き刺さるような視線を全身に感じてぞくぞくする。もっと俺を見て、俺を欲しがって。
    おチビちゃんの視線を感じながらゆっくりと持ち上げた手に唇を落とす。ちゅ、ちゅ、と音を立てるたびに俺を見るオッドアイに熱が籠っていく。緩く指を絡めていた手を握り返された。我慢なんてしなくていいのに。もっと強引にしてくれてもいいんだけど、俺を越すにはまだ少し低い視点から「待て」をされた犬みたいに見上げてくる年下の恋人のかわいさは今しか味わえないだろうから今日のところは俺から言ってあげるよ。

    「ねえおチビちゃん」
    「...おれから言わせろ」
    「ふふ、いいよ」
    「今日、したい。いいか?」
    熱のこもった大きな瞳に見つめられて体温が上がる。俺はこれから、この雄に抱かれる。
    「アハ、大事にしてね?」
    出会った頃から変わらない熱量で俺を愛してくれる恋人が愛しくて、目の前の唇に勢いよく口付けた。
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