🔮と🐑が高三の夏に逃避行に出る話②ep.3
雨粒が屋根から落ちていくのをただぼんやりと見ていた。
機械の手足を持つ彼は、人一倍人に優しいし、人一倍努力家だ。
なんでも出来る兄と比べられる事が多かったからか、面倒事を避けるその性格からか、彼は入学当初から優等生というレッテルが貼られていた。
そんな彼のレッテルを自分が外すことを何度夢見た事か。
家庭環境に恵まれず、いつもどこか違う場所からみんなを見ている自分にさえ優しい彼。
彼が準備してくれたタオルを頭にかけ、彼シャツをしようとして出来なかった結果破ってしまった彼のシャツへ視線を移す。
身長差はあるのに、彼は短めのトップスばかり着るからか、憧れの彼シャツはできなかったし
そもそもズボンがぶかぶかとかではなく普通に入ってしまったのでシャツ1枚でいるわけにもいかなかったのだ。
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