焼女地獄 ➁狭い派出所の中、一日の終わりを日誌に綴り終わればもう時計の針は8の文字を通り過ぎようとしている。
小さく伸びをすれば、ややサイズの合わない制服がきしと軋む。今日も、異常はない。実に平和な一日。
…警官になってまだ日が浅く、こうやって書類仕事と簡単な相談事ばかりの日々ではあるが、最初先輩に脅され、身構えたような凶悪な事件が起こるわけでもなく、ただただ人々の暮らしを見守れるような仕事内容に安堵のため息を吐く。
……ふと、デスクに置かれた新聞の文字に目がいったのは、最近発生している連続婦女失踪事件の内容が載っていたから。
…連続、婦女、失踪…そんな言葉を見ると、連想して心配してしまうのは、自分の大事な妹の事。
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