【温度差曦澄4】「曦臣兄はさぁ…なんで江兄の事が好きなの?」
ど直球に告げる聶懐桑に、ぶふっと呑んでいた酒を吹き出すのは雲夢を守護する蓮花塢の主である江晩吟。
聶懐桑は、居候している藍曦臣に声をかける。きょとんとしながら、茶杯を降ろす。
今夜は、雲夢近くの世家が遊郭で宗主を招いて宴会を開いていた。
「何度も何度も失恋しましたよ」
「そうなの?」
「ええ、それでも会ってしまえば、新しく恋をしてしまうんです。私の今までの恋は全て、晩吟に捧げてますね」
とてもうれしそうに笑いながら言う藍曦臣に、うわぁまっぶしい…と言う様に目を反らす。
目を反らした先にいる江晩吟は、噴出したお茶で口元を濡らしながら青ざめている。
「なんでこの人、俺をこんなに好きなんだよ。
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