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    hatake21st

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    hatake21st

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    歌って弾くoktがいるだけ
    当然のようにジェイフロ
    ※注意※
    世界観に合わない曲を歌わせています
    th 1st tαkeではるをつげるを聴いた結果、ジくんストリングスのazrくんピアノのフくんボーカルでやってくれないかなぁ〜〜〜〜〜〜〜〜ってなってしまうわけですよね、オチが読めましたね。ここから先は幻覚です。

    ##ジェイフロ

    冷たさが沈黙を彩る中、ふう、と肺から空気の流れ出ていくのが聞こえる。ジェイドがその音の方へ視線をやると、ちょうど瞳を閉じていたらしいフロイドが、吸い込んだ酸素を身体に慣らすようにゆら、ゆらと揺れていた。その様子を見ているのは一人だけではなく、ピアノの前で背筋を伸ばし準備ができたことを伝えてくるアズールもまた、じ、とフロイドのことを待っていた。
    「あ、ぁー……あ」
     今日、この声帯が震わせるのはここだ、と確認するように出されたニ音。それらが空気に混じって消えたと同時に、フロイドが二人を交互に見た。準備はいいのか、と瞳で問うアズールと、どうぞ如何様にも、と微笑むジェイド。この二人が一緒なら何も問題ない、と表情を綻ばせるフロイド。楽しい遊びの予感を共有する空気は、存外の緊張感があった。
     そして、フロイドがくい、と今日の装いでもある寮服の帽子を触るのを合図に、アズールが一度肩を上下させる。力の入り方をきちんとコントロールし、ひとつ息を吸い込み、グローブの外された指を鍵盤に添えた。
     白い指先が沈められる。やさしく、耳朶をくすぐるメロディが始まりを告げる。小さい、しかし芯の通った和音。そして、その後に続けられた、きいん、と響く高音が、フロイドに準備をしろと声をかける。そんなに何度も言われなくとも大丈夫なのに、と綻んだ頬を引き締めさせる低音のパスに、大きく息を吸い込んだ。
    「深夜 東京の六畳半 夢を見てた」
     ピアノの余韻が消えるか消えないかのときに発せられた声は、甘さとともに冬の寂しさを聴くものに届けた。くわん、と空間を包み込み、あっという間に世界を冬の海へと変えた人魚は、遠くを見て伏せられていた睫毛をそうっと持ち上げた。
     そして、ジェイドの方を見、弓を握る右手の期待に応えて息を吸い込む。呼吸という、陸で新たに手に入れた合図はジェイドの耳にも心地良かった。
    「開幕戦打ち上げて いなくなんないよね」
     合流したヴァイオリンが歌声に差し出された手を取り、穏やかに踊り始める。
    「ここにはだれもいないから」
     徐々に強くなるヴァイオリンの音。これから、この声をもっと楽しいところへと連れていこうとする音だ。しかし、あくまでも声が望むままにと奏でられるそれは、演奏者の心をそのままに映してのびのびとしていた。
     息を吐き切って目を閉じていたフロイドが、ゆっくり目を開けていく。隣にいるふたりの気配を感じとると、やがて、再び息を大きく吸った。
    「ーー深夜 東京の六畳半 夢を見てた」
     先ほどとは打って変わり、跳ねるようなピアノのリズムに合わせて歌声を遊ばせるフロイドは、顔に笑顔さえ浮かべてひどく楽しげだ。一方で、変わらず部屋に漂うもの寂しい雰囲気は、不思議と全てを投げ捨てて踊りたくなってしまうような感覚にさせた。タンタン、タンタン、と一定に刻まれる音は、ジャズのように跳ねて踊っている。伸びやかな声を決して邪魔することなく、しかしどこかへ行ったままにさせない強さがあった。
    「ここには誰もいないから」
     喉の奥から思わず力を抜いてしまったフロイドは、歌声とともに意識もどこかへと放り投げてしまったのか、瞳はここではない遠くを見ていた。その投げ出された歌声が、ジェイドのヴァイオリンに抱きとめられて、メロディとなり続いていく。ピアノの旋律を擽り、フロイドの声を真似するように跳ねるそれは、「楽しい遊びはこれからですよ」とでも言わんばかりの様子だ。端端から素直に伝えられる楽しみにつられて戻ってきたフロイドが、丁寧に投げられたジェイドの音を受け取り、くるりとターンをするようにまた歌い始めた。
    「ここに救いはないよ」
     と、歌った後に沈黙が流れる。ピアノも音を止め、耳に残る無音を奏でたあと、何もなかったかのようにピアノと歌声はセッションを続けた。フロイドは、歌いながらアズールの元へと近づき、ピアノを弾くその背を見下ろしてひどく楽しそうに笑った。
    「とりあえず上がって酒でも飲んでさ」
     胸の奥からこぼれ落ちたような、それでいて喉に押し出されたような、そんな声だった。悪い遊びに誘っているという自覚のあるフロイドが酒を呷るしぐさをすれば、見ていたジェイドがくつくつと背中を震わせた。リズムと共にゆら、ゆらと揺れる身体さえをも楽しんでいるフロイドは、アズールからの素気無いぴしゃりとした断りのリズムにまた笑った。
     ジェイドがゆったりとリズムを取る。ピアノがどう動くのか、どう歌声をリードするのかを高みで見物するつもりだったが、そんな彼を煽る高音がタンと弾かれる。ちらりとアズールの方を見れば、視線に気づいた彼は唇の端に薄く笑みを乗せて「お前たちこそ乗り遅れるな」と軽やかに鍵盤を叩く。軽やかなスイングは、双子の脚を自然と動かしてみせた。
    「いつもだれにでも言うことを」
     そこで、一度音を止めたフロイドは、二人の視線の間を縫うように遠くをじい、と見つめた。
    「くりかえしてる」
     密かに、空気だけを吐き出すように始まったフレーズは、そのままフロイドの肺の空気の全てを使って終わりを遂げた。悪いことをひとりでしてしまったときと同じで、居心地の悪さを誤魔化すように、視線をちら、と二人と一瞬だけ重ねてみる。アズールは何も言ってこなかったが、ジェイドはすこし拗ねたように瞳を細めていた。
    「完璧な演出と 完璧な人生を」
     刻まれるストリングスの音色に、ウインクでさらりと謝ったフロイドは、そのまま流れでアズールの方を見遣り視線を流す。弦の強さを嗜めていたピアノが、一瞬フロイドの方に意識を持ってきたので、言葉の意味というものを考えずにはいられないアズールを揶揄ってやろうと喉の形を殊更丁寧に整えた。
    「幼少期の面影は 誰も知らないんだ」
     首を傾げて、残った空気を口から零れ落としながら「ほんとうかな?」と笑えば、当然、意図に気づいたジェイドは困った眉の意地悪を隠すことなく微笑みを返す。アズールはといえば、表情や視線こそ動かなかったものの鍵盤をやや強く跳ねさせることでうるさいと突っぱねてみせた。
     フロイドは伸ばした音の流れるままにふらりとジェイドの方へと近づいていく。まるで水の中を泳いでいるかのようにリズムに揺蕩っている身体は、ジェイドを明確に誘っていた。
    「僕らはマイノリティな」
     やがて、ジェイドの目の前に辿り着くと、少し姿勢を屈めて目と目を合わせる。ジェイドの世界で一番楽しいことを見つけるのが上手な瞳が、きっと楽しいよと輝いた。
    「タイムトラベラー!」
     旋律を絡め合わせる。ストリングスと一体になった歌声はくふくふと笑ったように震えて、それが弦の響きの伸びやかな美しさと情熱的な強さを自慢していた。
    「ほら真夜中はすぐそこさ」
     音をフォールさせる弦が笑う。高音と低音で揺さぶるピアノも楽しげだ。そして、再び二人の間に立ったフロイドもまた、楽しくて仕方がないとばかりに深く息を吸い込んだ。
    「深夜東京の六畳半 夢を見てた」
     高らかに歌いながら激しい波に揺られるのを楽しんでいるように身体を揺らしている。歌声と一緒になってワルツでも踊り出さんばかりのストリングス、それを受けてなお軽やかになる歌声はどこまでも心地良い。それらの手綱を握るように己のリズムを保ち続けるピアノは、全体の調和を司っていた。
    「開幕戦打ち上げて …いなくなんないよね」
     すこし、声が奥まりを見せた。どこかへ放ったわけではない歌声に対して、伴奏は旋律を沿わせて返事をする。手を引き、動きを合わせるように変わった演奏に気付きながら、フロイドは淡く微笑みの形を浮かべた唇と、寂しさを滲ませた瞳でもう一度「ここにはだれもいない」と歌った。
     音を遠くに向けて伸ばしながら、伴奏の間にゆらゆらと揺蕩うフロイドに対して、弦が語りかける。此方を見て、もっと遊びましょう、と言わんばかりに、メロディをそのままフロイドの歌声のようにきゅ、きゅ、と跳ねさせた。ジェイドの音に少しつられたのか、高音がわずかに跳ねてしまって、アズールは不満げに目を眇める。
     そんな、ジェイドのわるいメロディを聴いてると、じわり、笑みの形に表情が動く。二人の遊んでいる中に混ざりたい、ムズムズと動く唇を舐めてなんとか誤魔化した。
    「明日世界は終わるんだって」
     ピアノのもとに近づき、鍵盤の上下するのを見つめる。思いの外に優しい音を出すので、自ら仕掛けることのできなかったフロイドは、手持ち無沙汰になった指先を空中で遊ばせた。
    「小さな記憶の箱は 夜の海に浮かんでいる」
     ついておいでよとアズールに向かって声を震わせながら、そんな言葉一つで動く男ではないとわかっているので、フロイドはふわりとかたわれの元へと向かった。
    「僕らを描いたあの絵の中に」
     ジェイドの方へと歩みを進めながらマジカルペンを振って、空中にうつぼの絵を描いてみせる。
    「吸い込まれるように」
     それを手で払って消してしまう。即席にしてはなかなかの力作だったそれを消してしまうのは勿体なかったが、ジェイドの顔が向いたのならば問題ない。そして、ジェイドの顔に自分の顔を近づけたフロイドは、明確に、ジェイドに向けて話した。
    「週末旅行を楽しもう」
     それはもう、歌というよりは音を紡いだ語りかけのようで。うっとりとジェイドの瞳が細められるのに成功を確信したフロイドは、パッと振り返って今度はアズールの元へと向かった。
    「どうせぜんぶきょうで 終わりなんだから!」
     アズールの肩を、とん、と指先だけで触って誘う。二人とも行くのだから、きっとアズールもいればもっと楽しいことが増えるに違いない。明暗に思えたが、それを否定するように低い音も高い音も混ぜ合わせているアズールは、どこまでも真の強い男だった。「ふられちゃった」と、言葉にしないまま肩をすくめる双子。そのピアノのぴりりとした雰囲気のままに、フロイドは一足先に合流を果たした。
    「深夜東京の六畳半 夢を見てた」
     誘いを突き放していながら、フロイドを決して飽きさせないような、普通に調和するのではない不思議な音で歌声を引っ張る。存外、アズールのそういうところが嫌いではない二人は、揃って薄く笑みを浮かべた。
    「明日には消えてる電脳城に」
     触発されてうずうずしているのを隠そうともしないストリングスが、とうとうフロイドに呼ばれた。瞳を閉じて、ジェイドはさらに感覚を研ぎ澄ませる。最後に向けての開放感と上がる音の圧の予感にわくわくしたままに、だれにもないしょでこのわくわくを、三人だけで死ぬほど楽しもうよと言わんばかりに、フロイドが声をすこしだけ潜めてくる。ジェイドは、了承の返事の代わりに、合図までじいと堪えるように抑えて弓を引いた。
    「ここには誰もいない ここには誰もいない」
     そして、フロイドの呼吸音と同時にアズールが高い方からグリッサンドした。
    「深夜 東京の六畳半 夢を見てた」
     やがて、フロイドの喉から開放された音とジェイドのストリングスが、手を取り合ってまた踊り始めた。あなたの音が好きだと余すことなく訴えるような、自身の主張も忘れないがそれ以上に歌声のリードを何よりも楽しんでいる、そんな高音だった。全身を包みこむ音を聴いて、それこそ瞳を弓形にしならせたフロイドが「夢を見てた」と歌うので、ジェイドも一緒になって瞳を愛情に蕩けさせる。
     その二人のそばに沿っているように、支えているように、あるいは道標となるようにずっと刻まれているピアノは、二人の癖をすっかり理解していて、タンタンと、決して単調ではないそのリズムがゆりかごのようにまた二人の身体を揺らしていた。
    「ここには誰もいない から」
     歌声が止まると、労るように優しいリズムへと変化し、音もすっかりやわらかいものになった。ジェイドはピチカートで、アズールもまた眠気さえ誘おうとしてきているようなしっかりとしたリズムで、終わりを引き連れていく。やがて、最後にピアノの凛とした音がくわんと響いて、三人は顔を見合わせてほう、と息を吐いたのだった。
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    hatake21st

    DOODLE歌って弾くoktがいるだけ
    当然のようにジェイフロ
    ※注意※
    世界観に合わない曲を歌わせています
    th 1st tαkeではるをつげるを聴いた結果、ジくんストリングスのazrくんピアノのフくんボーカルでやってくれないかなぁ〜〜〜〜〜〜〜〜ってなってしまうわけですよね、オチが読めましたね。ここから先は幻覚です。
    冷たさが沈黙を彩る中、ふう、と肺から空気の流れ出ていくのが聞こえる。ジェイドがその音の方へ視線をやると、ちょうど瞳を閉じていたらしいフロイドが、吸い込んだ酸素を身体に慣らすようにゆら、ゆらと揺れていた。その様子を見ているのは一人だけではなく、ピアノの前で背筋を伸ばし準備ができたことを伝えてくるアズールもまた、じ、とフロイドのことを待っていた。
    「あ、ぁー……あ」
     今日、この声帯が震わせるのはここだ、と確認するように出されたニ音。それらが空気に混じって消えたと同時に、フロイドが二人を交互に見た。準備はいいのか、と瞳で問うアズールと、どうぞ如何様にも、と微笑むジェイド。この二人が一緒なら何も問題ない、と表情を綻ばせるフロイド。楽しい遊びの予感を共有する空気は、存外の緊張感があった。
     そして、フロイドがくい、と今日の装いでもある寮服の帽子を触るのを合図に、アズールが一度肩を上下させる。力の入り方をきちんとコントロールし、ひとつ息を吸い込み、グローブの外された指を鍵盤に添えた。
     白い指先が沈められる。やさしく、耳朶をくすぐるメロディが始まりを告げる。小さい、しかし芯の通った和音。そして、 4953

    hatake21st

    CAN’T MAKEジェイフロ
    ますかれ~どに参加してるジがモブ相手にフくんのこと惚気る話
    深夜だというのに光のもとに出て、その中でまた己の顔を隠す。矛盾だらけの行動を楽しむためだけの空間は、お決まりのクラシックを流して今夜も嫌味なほどにシャンデリアを煌かせている。
     飲み物に口をつけるふりをしながら壁の花となっているジェイドは、案外こういった空間が嫌いではない。もともと煌びやかなものは好きだ。何より、白日の下に曝すようでその実一切を秘密にしたままでいるというのは、ジェイドにしてみるとたいへんにそそられる催し物だった。目元を覆ったマスクの間から視線を感じる度に、その奥にある後ろ暗さを照らして引きずり出したくなる。目の前をちらちらされるほどに煽られるのはどうしようもない捕食者としての性だった。
    「ミスター、お隣よろしいかな」
     ジェイドが僅かに体をずらしてやると、声をかけてきた男は人ふたり分ほどの間を空けてジェイドの隣に立った。そのままボーイを呼びとめて、もらった飲み物に口をつけた彼は、場慣れした雰囲気を敢えてジェイドに見せつけるようにして自然と会話を始めた。
    「日頃の疲れが癒されるね」
    「それは良かった」
    「ありがとう、こういうご褒美が無いとやってられない」
     探りをそっとか 2284

    hatake21st

    DOODLE※年齢操作 20代のジェイフロ
    フは合コンに行ってますが恋愛要素はジェイフロのみです。
    フがお酒飲んでジにお持ち帰りされる話
    身体が熱い。血液がミルクパンであたためられて全身をゆっくりと流れていっているような心地良い温さは、フロイドが陸に上がってから初めて知ったもののうちの一つだった。
     酩酊感と呼ばれるらしいこれは、アルコールによって引き起こされる反応の一種だ。身体をあたためるには良いが、過ぎたると毒なのだという。たとえ少量だろうが、毒を体内に入れるだなんて、人間は脆弱なくせに挑戦心ばかり旺盛だ。ただ、人間のそういうところをこそ気に入っているフロイドとしては、自らも人間となった今、その愚かとも言える挑戦を大いに楽しんでいた。
     お金はこっちで持つからと頼み込まれて参加した集まりは、男女の熾烈な狩り、いわゆる合コンと呼ばれるものだった。普段であれば聞きすらしなかった、街中の見知らぬ人間のその誘いに頷いたのは、お酒をタダで飲めるという以外に、ジェイドが夜遅くまでいないからだった。
     お仕事なんです、と告げて真夜中色のスーツを身に纏ったかたわれは、頬と額に物足りないほど柔いくちづけを落として、まだ返事をしていないにも関わらず、フロイドを置いて出て行ったのだ。朝一番、遅れてくちづけを返そうとして空を切った両腕の寂し 3552

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