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    hatake21st

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    hatake21st

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    ※年齢操作 20代のジェイフロ
    フは合コンに行ってますが恋愛要素はジェイフロのみです。
    フがお酒飲んでジにお持ち帰りされる話

    ##ジェイフロ

    身体が熱い。血液がミルクパンであたためられて全身をゆっくりと流れていっているような心地良い温さは、フロイドが陸に上がってから初めて知ったもののうちの一つだった。
     酩酊感と呼ばれるらしいこれは、アルコールによって引き起こされる反応の一種だ。身体をあたためるには良いが、過ぎたると毒なのだという。たとえ少量だろうが、毒を体内に入れるだなんて、人間は脆弱なくせに挑戦心ばかり旺盛だ。ただ、人間のそういうところをこそ気に入っているフロイドとしては、自らも人間となった今、その愚かとも言える挑戦を大いに楽しんでいた。
     お金はこっちで持つからと頼み込まれて参加した集まりは、男女の熾烈な狩り、いわゆる合コンと呼ばれるものだった。普段であれば聞きすらしなかった、街中の見知らぬ人間のその誘いに頷いたのは、お酒をタダで飲めるという以外に、ジェイドが夜遅くまでいないからだった。
     お仕事なんです、と告げて真夜中色のスーツを身に纏ったかたわれは、頬と額に物足りないほど柔いくちづけを落として、まだ返事をしていないにも関わらず、フロイドを置いて出て行ったのだ。朝一番、遅れてくちづけを返そうとして空を切った両腕の寂しさをどうしてくれる。
     むむ、と尖っていた機嫌を晴らすのに、酒というのはもってこいの道具だった。勝手に行ったあてつけとばかりに「CAR」の絵文字と位置情報を添えたメッセージをかたわれに送って、フロイドは浮上した気分のままに乾杯の音頭に乗った。
     飲み会、もとい合コンというものは、フロイドにしてみると興味深い集まりだった。海では基本的に、雌が選択権を持っており、より良い雄を求めて自慢の審美眼を光らせているのが主だった。選ぶものと選ばれるもの。その二択が絶対であり、選ばれるものは待つしかないというシビアな世界だ。しかし、どうやらこの合コンと言うものは、選ぶも選ばれるも自分で決めることができるらしい。雌たちは基本的にフロイドを選び、同時に選ばれようと必死に話しかけていた。また、雄たちは逆で、何とか選ばれようとして雌たちに必死にアプローチしていた。だが、確実にその輪から外れ、雌だが選ばれようとしているもの、雄だが選んでいるものも確実に存在していた。雌雄に縛られずに選択権を与えられ、それを行使する場というのは、海では見られなかった光景だろう。
     おもしれ、と、唇に弧を描いていると、海藻にでも掴まっているかの様にフロイドの隣から離れない小魚が、耳に慣れない高い声で話しかけてくる。
    「何か楽しいことあった?」
     栗色の髪をさらりと肩から流して見つめてくる。緊張による汗のせいか、少し化粧のよれているのを視界の端におさめながら、フロイドは酒に焼かれている喉を震えさせる。
    「んーん、おもしれって思っただけ」
     最後の方はほとんど音になっておらず、喉が空気を震わせている気配だけが伝わってきた。よくかたわれの出す音だ。フロイドが己の話をしっかりと聞いていると疑わない、甘えの含まれる声。毒の回っているときと同じなんだと思うと面白くなって、くつくつと笑い声が溢れた。
     そうしている間にお開きになって、一同が一気に店の外へと出る。己より下にある似た系統の色の頭がぞろぞろ動くのは、イワシの群れのようで面白い。フロイドが間を通るとさっと左右に避けるところなど、特にそっくりだった。
     次の店を検討する声を後ろにご機嫌なまま歩いていると、バックポケットが振動し、フロイドの耳に着信音を伝える。見なくてもわかる差出人の「HOP」というメッセージを画面に確認したフロイドは、喜びにわかりやすく甘える喉でイワシ達に声をかけた。
    「じゃ、オレかえる。あんがとねえ」
     車道に寄ると、タイミングを見計らったかのようにハザードをたいたセダンがフロイドの横に着く。ドアを開いて体を滑り込ませると、その全てのタイミングがわかっていたかのように、滑らかに発進した。
    「シートベルトだけお願いします」
    「ジェイド、ゴールドだっけ」
    「ええ、まだしばらくは維持したいので」
     言われた通りお利口にしてやると、隣から律儀に礼を言われる。意外とゴールドとか気にしているのか。かたわれのそういう妙な完璧主義はフロイドには理解できないところだった。ドリンクホルダーの珈琲を口に含むと、焼けた喉が冷やされて心地良い。ストローを噛みそうになってへこませたのを誤魔化すようにもう一口飲んでいると、赤信号で止まったらしいジェイドがこちらをちらりと見た。
    「楽しかったですか」
    「んー、美味しかった。でもアズールんちで飲んだ方が美味しい」
    「値段が違いますから、比べるだけ可哀想ですよ」
     眉が困ったようにきゅ、となるのに、ジェイドの機嫌がよくなったらしいことを知る。信号の色が変わると同時に前を向いたジェイドは、知っている通りに出たのかナビを切ってラジオをかけはじめた。
    「あなたが楽しくなさそうでよかった」
    「何それ、ひどくね?」
    「だって嫉妬してしまうじゃありませんか。……ああ、それ飲み切っていいですよ」
     冗談とも本気とも取れる、恐らくは本気の声で呟いたあと、話題を変えるようにジェイドは珈琲を指さした。顔色や表情ひとつ変えやしないところがかえって素直だ。気分の良くなったフロイドは、かたわれの可愛らしい無言の訴えを聞いて、珈琲を吸いながらラジオに耳を傾けた。
     どうやらこの時間は音楽を流しているらしい。ドライバーが聞いても眠くならないような、キャッチーなメロディラインの曲がかかっていた。ドリンクホルダーに珈琲を返す。何度も繰り返されるフレーズは耳馴染みがよく、自然とフロイドも口遊んだ。
    「『真夜中過ぎの男が欲しい 夜を越えて朝日が見えるまで』」
     フロイドの知っている真夜中過ぎの男はひとりだけだ。ネクタイを少し緩めて、フロイドと揃いの帽子を後部座席に置き、ハンドルをグローブをはめた長い指でトントンと叩く、その唯一をじっと眺めた。
    「今日いつものじゃなかったんだ」
    「あれは左ハンドルなので拾いにくいかと思って、アズールに借りました」
    「汚したら怒られちゃうね」
    「ええ、残念です」
     ああ、汚しちゃうようなことはしたいのか、と、フロイドは薄く笑みを浮かべる。むずむずと、腹の底から湧き上がってきた欲求のままに、毒に侵された声で誘った。
    「ね、今オレすげえちゅーしたい」
    「奇遇ですね。僕もそう思っていました」
     視線ひとつ逸らさないまま呟いたジェイドが、かち、とウィンカーを倒し、駐車場に入っていく。随分と飛ばしたのか、予想より早い帰宅となった。切り返しのまえ、相変わらず少し急なブレーキがアトラクションのようでひゃあと声を上げる。そのままくふくふと続けて笑っていると、一発で駐車を決めたジェイドがシートベルトを外して覆い被さってきた。
     押し当てられた唇からは珈琲のにおいがして、ジェイドもしっかり飲んでいたらしいことを知る。ひょっとしたら二杯目だったのかもしれない。ちう、ちう、と吸われ、自分からも擦り合わせながらそんなことを考えていると、ジェイドの手がシートベルトを押さえた。
    「『欲しい』と」
    「ん、な、ぁに」
    「『真夜中過ぎの男が欲しい』と言っていましたが、いかがです?」
     つ、と顎を指で持ち上げられる。まだ舌も絡めていない、互いの呼気で湿り気だけを帯びた唇が薄く開くのを、ジェイドが笑って見ている。
     これはなんだ、訪問販売というやつだろうか。それとも実演販売?
     酒でバカになった頭にあまり賢い買い物は期待できないが、販売員は手練れで、フロイドの耳に甘い言葉を吹き込む。
    「僕ならば、必ずやあなたを飽きさせず朝までご一緒しますよ」
     いかがですか、と、やらしく脚を撫でられて、はふ、と熱い吐息が唇から溢れた。それを飲み込むようにまたキスをされて、フロイドの言葉がジェイドの口腔に吸い込まれていく。上がっていく体温、籠もっていく欲、それらをシートベルトの上から押さえられて、フロイドは喉を震えさせて不満を訴えた。音はてんで外れているが、聞こえているはずなのだ、何せ三度も『ちょうだい』と叫んでいるのだから。はやく、と、唇を舐めると、ジェイドの身体が引かれていった。
    「……これ以上は流石にいけませんね」
     続きは部屋で、朝まで。
     シートベルトがはずされて、珈琲がホルダーから持ち上げられた。立ち上がる前にと贈られたキスは今朝と同じものだ。ただ、ジェイドが拗ねたように「自分の車で来ればよかった」と呟いて降りていくから、フロイドは自分の機嫌とその可愛らしさに免じて、お買い上げの証としてお持ち帰りを要求してやった。
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    hatake21st

    DOODLE歌って弾くoktがいるだけ
    当然のようにジェイフロ
    ※注意※
    世界観に合わない曲を歌わせています
    th 1st tαkeではるをつげるを聴いた結果、ジくんストリングスのazrくんピアノのフくんボーカルでやってくれないかなぁ〜〜〜〜〜〜〜〜ってなってしまうわけですよね、オチが読めましたね。ここから先は幻覚です。
    冷たさが沈黙を彩る中、ふう、と肺から空気の流れ出ていくのが聞こえる。ジェイドがその音の方へ視線をやると、ちょうど瞳を閉じていたらしいフロイドが、吸い込んだ酸素を身体に慣らすようにゆら、ゆらと揺れていた。その様子を見ているのは一人だけではなく、ピアノの前で背筋を伸ばし準備ができたことを伝えてくるアズールもまた、じ、とフロイドのことを待っていた。
    「あ、ぁー……あ」
     今日、この声帯が震わせるのはここだ、と確認するように出されたニ音。それらが空気に混じって消えたと同時に、フロイドが二人を交互に見た。準備はいいのか、と瞳で問うアズールと、どうぞ如何様にも、と微笑むジェイド。この二人が一緒なら何も問題ない、と表情を綻ばせるフロイド。楽しい遊びの予感を共有する空気は、存外の緊張感があった。
     そして、フロイドがくい、と今日の装いでもある寮服の帽子を触るのを合図に、アズールが一度肩を上下させる。力の入り方をきちんとコントロールし、ひとつ息を吸い込み、グローブの外された指を鍵盤に添えた。
     白い指先が沈められる。やさしく、耳朶をくすぐるメロディが始まりを告げる。小さい、しかし芯の通った和音。そして、 4953

    hatake21st

    CAN’T MAKEジェイフロ
    ますかれ~どに参加してるジがモブ相手にフくんのこと惚気る話
    深夜だというのに光のもとに出て、その中でまた己の顔を隠す。矛盾だらけの行動を楽しむためだけの空間は、お決まりのクラシックを流して今夜も嫌味なほどにシャンデリアを煌かせている。
     飲み物に口をつけるふりをしながら壁の花となっているジェイドは、案外こういった空間が嫌いではない。もともと煌びやかなものは好きだ。何より、白日の下に曝すようでその実一切を秘密にしたままでいるというのは、ジェイドにしてみるとたいへんにそそられる催し物だった。目元を覆ったマスクの間から視線を感じる度に、その奥にある後ろ暗さを照らして引きずり出したくなる。目の前をちらちらされるほどに煽られるのはどうしようもない捕食者としての性だった。
    「ミスター、お隣よろしいかな」
     ジェイドが僅かに体をずらしてやると、声をかけてきた男は人ふたり分ほどの間を空けてジェイドの隣に立った。そのままボーイを呼びとめて、もらった飲み物に口をつけた彼は、場慣れした雰囲気を敢えてジェイドに見せつけるようにして自然と会話を始めた。
    「日頃の疲れが癒されるね」
    「それは良かった」
    「ありがとう、こういうご褒美が無いとやってられない」
     探りをそっとか 2284

    hatake21st

    DOODLE※年齢操作 20代のジェイフロ
    フは合コンに行ってますが恋愛要素はジェイフロのみです。
    フがお酒飲んでジにお持ち帰りされる話
    身体が熱い。血液がミルクパンであたためられて全身をゆっくりと流れていっているような心地良い温さは、フロイドが陸に上がってから初めて知ったもののうちの一つだった。
     酩酊感と呼ばれるらしいこれは、アルコールによって引き起こされる反応の一種だ。身体をあたためるには良いが、過ぎたると毒なのだという。たとえ少量だろうが、毒を体内に入れるだなんて、人間は脆弱なくせに挑戦心ばかり旺盛だ。ただ、人間のそういうところをこそ気に入っているフロイドとしては、自らも人間となった今、その愚かとも言える挑戦を大いに楽しんでいた。
     お金はこっちで持つからと頼み込まれて参加した集まりは、男女の熾烈な狩り、いわゆる合コンと呼ばれるものだった。普段であれば聞きすらしなかった、街中の見知らぬ人間のその誘いに頷いたのは、お酒をタダで飲めるという以外に、ジェイドが夜遅くまでいないからだった。
     お仕事なんです、と告げて真夜中色のスーツを身に纏ったかたわれは、頬と額に物足りないほど柔いくちづけを落として、まだ返事をしていないにも関わらず、フロイドを置いて出て行ったのだ。朝一番、遅れてくちづけを返そうとして空を切った両腕の寂し 3552

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