ミナトは何かの気配で目を開けた。目が覚めたというよりは、泥沼の中からなんとか頭だけ這い出したような、酷く中途半端な覚醒だ。目に光が入ることに、体全体が抗議しているのを感じる。
何時かも分からないが、カーテンの奥が明るいので朝なのだろう。だからと言って起きる気はなく、逆にベッドに顔を押し付ける。暖かくて、少し湿っていて、柔らかい弾力があって、とても肌馴染みがいいベッド──
ん?と飛んだ疑問符はすぐに氷解した。少し顔を起こせば目に入るライムグリーンの髪。微かな吐息。嗅ぎ慣れた匂い。
ああ、大和と寝てたのか
乱れた前髪にピアスも着けたまま。そういえば昨日は二人で宅飲みして、明日は休みの免罪符を盾に色んな種類の瓶やら缶やらを空にして。気分よく酔ったそのまま寝てしまったんだろう。汗に交じるアルコールの残り香が、相当深酒したことを物語っている。
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