Heartaid contact──どうしてこんな事に…
目の前で両手を広げてこちらをじっと見つめ微動だにしない相手を前に、レイン・エイムズは内心頭を抱えていた。
時は週末、場所は恋人──オーター・マドルの家。世間一般に倣い魔法局も土日は基本的には休日となっている。ただし繁忙期はこの限りではないが。とは言え今はその例外には当てはまらないので、例によって2人はいつものように休日を穏やかに過ごしている…筈だった。
先程からオーターは斜めにソファに腰掛けこちらに身体を向けて小首を傾げ、まるで"何でもして下さい"とばかりに軽く両手を広げてレインの様子をうかがっている。きっかけはオーターの一言だった。
「お前に甘えられた事がない。」
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