飯よりメシ朝のリビング
少し遅めの朝食を用意するリツ。
(今日のフレンチトーストはうまく焼けたな〜、熱々のうちに食べよ!)
テーブルにセッティングし、いざ食べよう…とした所で音を立てて荒々しく開くドア。
そこへ明け方まで仕事をし、仮眠しているはずの晃が入ってくる。
「ヤらせろ」
(第一声がそれ!?)
リツの反応など意に介さず、晃は続けた。
「…ムラムラして寝れねぇんだよ」
苛立ちからか、いつも以上に剣呑な雰囲気の晃に身構えつつも、ほかほかと湯気を立てるフレンチトーストを諦めきれないリツ。
(ていうか、遅くまで好き勝手したじゃん!まだ足りないの!?)
「…僕、これからご飯食べるとこなんだけど?」
「…飯なんて後でいいだろ?」
晃は聞こえるか聞こえないかの小さな声で舌打ちをした。
「チッ…さっさと食っとけよ…」
(はぁ!?なにそれ?そもそも朝ごはんが遅くなったのだって、コウのせいで寝れなかったからなんだけど!?)
あまりの仕打ちにムッとし、反抗するリツ。
「…やだ、熱々のうちに食べたい」
ドア付近に立ったまま、ただリツに射抜くような視線を送っていた晃の口元が、わずかに歪んだ。
「せっかくうまく焼けたんだから、熱々のうちに食べたい…っ!」
思わぬリツの反抗に、晃の口元はさらに歪む。
その反抗に苛立ちは限界に達し、怒りに満ちた殺気にも似た視線でリツを捕らえ、ズカズカと近づく。
「…チッ、うるせぇな。お前のメシは俺だろうが?」
そう言い放った晃に乱暴に抱き上げられ、問答無用で寝室に引き摺り込まれていくリツ。
(…お昼ごはんになっちゃうかなぁ、あれ)
そう思いながらも、いつも以上に激しく抱かれそうな予感に胸が高鳴るリツだった。